北アルプス;打込谷 夢と希望と執念の焚火

山行実施日;2011.08.03-08
参加メンバー;Hi.T、Sh.S、G2

8月3日(水)

明るい沢がいいな。職場の若い人がボーナスをはたいて沢道具を購入した。丹波本流で徒渉訓練をし、古い靴をあげたが、この他、90リットルのザックからシュラフ、ハーネス、バーナーヘッド等々買いあさってきたのだ。今年こそは夏の沢に入りたい。候補は、朝日の沢か北アルプス。芝ちゃんにとっては、初めての沢となるので、長い山行になるが明るい北アルプスにする。場所を決めると、気持ちがその気になる。中ちゃんも沢の腕を上げ、装備も着実に揃えている。今回は、ウォータークライムⅢを購入し、何でも入れられると喜んでいる。徳さんも打込谷に行きたいといっていたので誘うとのってくれたので心強い。私は、親父の見舞いをしてから集合場所の上尾駅に向かう。親父もどうにか食事が食べられ始めたので、ひと安心する。中ちゃんと芝ちゃんは仕事を終え、大きなザックを背負ってきたところで徳さんの車が到着した。夢と希望は途中で買うことにして、さっそく荷物を車に積み込め出発だ。桶川から圏央道に乗ると、順調に松本だ。すぐにコンビニに飛び込む。夢と希望は多いほうがいい。明日はほとんど林道歩きのアプローチということで、大きいザック一杯に中ちゃんと芝ちゃんが半ケースずつ詰め込むことになった。道の駅に着き、隅の方で入山祝いをして、明日からの山行を夢見ながらそのまま寝た。

8月4日(木)

台風はこちらに来ないようだ。天気は薄曇りで晴れている。8時に双六ダムのゲートを出発する。3時間ぐらいで取水堰堤の広河原に着く。夢と希望を詰めたザック重そうで、流す汗を拭いながら進み、小倉谷出合いを見る。この後は踏跡をたどるが、河原に出て藪を漕ぐ。「これが林道ですか」と、汗だくの芝ちゃんだが、重いザックに耐えかねて言いながら、「体を鍛えます」と、一言。Maxに重い中ちゃんザックを見るとそうは言えなくなったようで、夢と希望の力は偉大だ。上を見上げると軌道跡を見つけ、ほっとする。どうにか双六谷出合に着く。さて、どこで徒渉をするかが問題である。さっそく、中ちゃんと徳さんが大岩の前をお互いに肩をつかんで渡ろうとするが、流心の手前で流されそうになる。流れれば、白波渦巻く中に落ちて這い上がれないだろう。他を探る。白く沸き立つ双六谷の方にへつってから、私が岩から岩へ飛び移り、流心を飛び越えて、ゆるく渦巻く水の中に飛び込むと足がついた。ようやく、これで打込谷の遡行ができる。もうすでに17時を回っており、すぐ上の河原を幕場とした。流木が山ほどあり、焚火のやりたい放題。夢と希望のビールで乾杯だ。1日目の食担は中ちゃん。岳の漫画を見てパスタに限ると思ったとのこと。焚火を起す中ちゃんの顔には満面の笑みが溢れていた。ビールを味わい、タープを張りながらも、みんな焚火を囲って横になり朝を迎えた。

8月5日(金)

辺りが明るくなり目を覚ますと、久しぶりにまぶしい陽の光と青い夏の空が広がっていた。快晴である。朝食は、お決まりの棒ラーメンだ。ゆっくり準備をして8時に出発。一つひとつ大岩を越えていくのも楽しい。18m滝は右岸を巻いて行く。その後もショルダーで越え、泳ぎへつりや巻きなどを楽しむ。いよいよ仙ノ淵15m滝である。遠目では難しそうだが近寄ってみると行けそうだ。ザイルを引いて空身でリードをする。途中滑りそうなので、ハーケンを打って確保をとって越える。抜け落ち口が振り子トラバース気味に降りる。登り返しが難しく残置ハーケンで抜けることができた。灌木まで出るとビレーヤーの声も届かない。フィックスをして下まで戻り、ザックを背負って、もう1本ザイルを引いて上り返す。後は順繰り確保をして上った。時間はかかってしまったが、私としては楽しめた。ここで、17時を過ぎたので、わずかな河原を幕場とした。滝の間だけに流木は湿っており、なかなかつかない。雨も降り出し、タープの下でカレーとご飯、そしてサラダを準備する。まずは夢と希望のビールで乾杯だ。放っておいた焚火に炎が上がった。中ちゃんの執念がついに雨にも負けず勢いをつけたのだ。その後、雨も上がり、塗れた服を乾かすことができた。中ちゃんのおかげである。酒も日本酒にウィスキー、梅酒、焼酎とよりどりみどり。カレーがあっという間になくなり、ビーフンをつくって足しにした。空には星が瞬き、飛行機がよく飛んでいくのが見えた。

8月6日(土)

朝は晴れていたがすぐに曇る。朝食にうどんに餅と揚げ玉等を入れて食べる。8時。出発頃には雨っぽくなってきた。すぐに、釜に入って階段状ナメをシャワーで登る。次の10mナメ滝の向こうに大釜15m滝が見える。左脇から回り込んでうまく巻けた。この後は河原が広がり、徐々に高度を上げていく。インゼルや枝沢の出合い、流木がダムのように積み重なっているところもあった。幕場としてはこの当たりがよかった。二俣に着いた頃、沢が狭くなり、この先に幕場は難しそうだ。ガスもかかり天気が怪しいし、まだ高度が低いものの登って小屋に入る気もしないので、出合いの上の高台で幕を張ることにした。すると、急に雨が強くなり、雷が鳴り出す。急いでタープの下に逃げ込む。上で行かずによかったとホッとする。酒はまだ残っているし、非常食も充分ある。残りの酒を飲みながら、棒ラーメンとジフィーズで、ラーメンライスである。夕方になると雨が上がる。また、濡れた薪を集めて中ちゃんは執念の焚火に燃えた。そして実際に火が起きて焚火ができた。もうどんな状態でも焚火ができそうだ。ガスがとれて稜線が広がり、見晴らしが最高である。最後の夜と思いながら横になった。

8月7日(日)

夜中に少し、雨が降ったが朝には上がっていた。中ちゃんは寒かったようで、ほとんど寝られなかったようだ。シュラフから顔を出した芝ちゃんの頭に羽毛がついている。新しいシュラフの生地が少し切れたようだ。糸と針を貸して一所懸命に縫っていた。朝食は、徳さんがもっていたそう麺と私のビーフンを食べた。視界はすっきりと、たどる沢筋が稜線まで延びているのが見えて気持ちがよい。残りの行動食を準備して出発する。この間の天気では昼を過ぎると雷がくるので、早いところ稜線に出ようと話す。しかし、最後の登りは急なガレと這松でなかなか稜線に届かない。ちょうど12時に笠ヶ岳のキャンプ場の裏に飛び出した。辺りはガスって、すぐに雷が鳴り出す。急いで山荘に飛び込む。雨がつよくなり、ちょっと休憩が、泊まって明日朝の下山に変更となった。下山の時間もかなりかかるし、雷の中、稜線を歩きたくはない。みんな予備日でもう1日確保されているので小屋泊まりとしたのだ。すると、人がどんどん増えてきた。食事も出るし、布団もあり寒くもないが、落ち着かない。どうも、人が多いというのはなじめないようだ。高い酒を少し買って消灯まで時間をつぶし横になる。

8月8日(月)

3時頃から騒がしくなる。トイレは行列で廊下に人が溢れている。我慢をしながらしばらく様子を見て、4時ぐらいから準備をし、5時に出発をする。昨夜のうちにお弁当を注文してあったのでザックにしまった。外はガスで視界がないが、笠ヶ岳を上がっていくと、陽の光が差し始める。雲の間からわずかな稜線が見え始め、槍から前穂、御岳等、雲海の上に顔を出す。すばらしい山の姿を見せてくれて今回の山行の締めくくりとなった。急な道を下り、久しぶりに足が大笑いをしている。中野高原口まで雨もなく、下はかなり暑い。タクシーを呼んで、車を回収し、平湯温泉で汗を流して食事をする。甲府や関東はかなりの豪雨のようだ。渋滞の中央道につかまりながら、どうにか帰埼した。

久しぶりの長い旅であったが、ゆっくり時間が流れ、贅沢な沢を味わうことができ、こんな沢の楽しみ方もいいように思う。初めての芝ちゃんの力強さと中ちゃんの頼もしさを感じさせられ、これからいろいろ楽しめることだろうと思った。今回、徳さんも一緒で2人にアドバイスをしてくれ、また、最後に楽しかったとの一言がうれしかった。     (Sh.S記)


ルート;双六ダムのゲート~双六出合~打込谷~笠ヶ岳~クリヤの頭経由中尾高原口
装備;30mザイル×2本
日程;8/3()20:00上尾駅圏央道中央道長野道松本-00:00道の駅奥飛騨温泉郷上宝BP
8
/4()6:00BP-7:50双六ダムのゲート-10:00小倉谷出合-16:00双六谷出合-17:30徒渉をして対岸でBP
8/5()8:00BP-10:10 18m-15:00仙ノ淵-17:17– 仙ノ淵上BP
8/6(土) 8:15BP-8:20ナメ2条10m-8:54大釜15m滝右岸から巻く-9:45 6mナメ滝-12:3035mナメ滝13:30二俣手前の30mナメ滝-13:40二俣BP
8/7(日)8:10BP-8:30奥の二俣-12:00稜線-12:15笠ヶ岳山荘BP
8/8(月)5:00BP-5:15笠ヶ岳山頂尾-12:00中野高原口タクシーで車回収平湯で温泉と食事-21:30帰埼