和名倉山を登る

山行実施日;2013年11月1日~3日
参加メンバー;Su.M、To.H、Ka.I、Se.O、Ju.S、Zu.O、G1

和名倉山は標高2036m、埼玉県の内部に頂上がある山の中では一番高い山で200名山の一つ。M田さんが、仙丈の訓練山行として計画してくれた。

秩父の川又からヒルメシ尾根を登り、二瀬尾根を下るルートで、ヒルメシ尾根は地図にも登山道の表示はない。標高差は約1400m。 「渡るのは禁止、それでも渡りたいなら自分の責任で」

前夜、東京大学の学習施設のある出逢いの丘で仮眠、2台の車の1台を下山口に配車して、8:00に出発。車道の肩から階段が降りていて、下ると荒川にかかるつり橋に導かれた。渡るのを遮るようにトラロープが張ってあり、張り紙もある。曰く「渡るのは禁止、それでも渡りたいなら自分の責任で」。で、ロープをくぐって自分の責任で渡ったけど、スリル満点であった。

橋に使われている木は、完全に腐食していて、足の置き場によっては今にも踏みぬきそう。橋を吊っているワイヤにつかまり、橋桁の上に足を置き、慎重に渡った。ただI丸さんは・・・[見ていた我々は絶句]

谷の地形の中を、植林管理用、道案内用、伐採用の各種テープを追い、踏み跡を辿ってヒルメシ尾根を目指して進む。古い5万分の1地形図には、ヒルメシ尾根にも登山道を示す破線の記載があり、事前に行動用の地図に落としてきたのだが、それとは全然違うところを進んでいる。地図とコンパス、高度計を使っても、現在地の確認は難しく、GPSのお世話になる。

標高1700m位でヒルメシ尾根に出てからも、それを登るのではなく、今度は尾根の右、南西斜面を延々とトラバースしていく。荷もあり、初老の身には辛い。他方若い、W邊さん(三郷山の会、27歳)は全然違う。跳ぶように進んでは、すぐ見えなくなる。しばらくすると、歩を止めて寒いと言いながら待っていてくれる。

途中の沢で幕営中に使う水を補給し、将監峠と和名倉山を繋ぐ登山路上の川又分岐に16:00、少し北に行ってテン場に16:30に着いた。

夕食は、S々木さんの献立で、具沢山のキムチ鍋。心も体も温まり、H竜さんの家族内序列の話、それに和するO川さんの合いの手で、知らぬ間に闇が深くなっていった。

夜、トイレに起きた。ヘッドランプの先に小さく光る二つの点があった。少したち、目が闇に慣れてきたら、点の上に耳の輪郭が現れ、やがてそれは鹿の形に広がった。豊かな自然の中で、人に苛められず育ってきたのだろう。ほんの4~5m先にいるが、逃げるそぶりは見せず、テントに戻る時もそのままそこにいた。

翌朝、6:00起床。山中では嘗てないほどよく眠れた。朝食は、フランスパンにチーズを載せて、スープに浸したもの、美味。ウインナー、リンゴ、柿。鹿3頭が着かず離れず、周りで草や枯木を食んでいる。餌の少なくなる冬を控えて、食べためているのかもしれない。8:00テン場発。二瀬分岐に荷物を置いて、山頂往復。途中に切り開かれた場所があり、そこから富士山が大きく望めた。

頂上は展望なし、写真を撮る。後は登ってきた標高差1400mの下り。穏やかな天気で、紅葉の中、敬愛する串田孫一の『山のパンセ』にある「寂しい山に黙って登ってください」を思い起こしながら歩いた。それにしても下りも長く、車のデポ地二瀬に着いたときは、大腿部が悲鳴を上げていた。

学ぶことの多い山行でした。係分担、装備や食料の調達と分担、M田さんの計画はすべて緻密。今までの私の計画の杜撰さを反省する良い機会になりました。会の中にもその緻密さを広げていきたいと思います。それから情けないことに、途中で、共同装備のテントポールを、O川さんに代わって持ってもらいました。有難うございました。   (Zu.O記)

「和名倉山一言感想文」

谷川ジャンクションピークトレーニング山行が雨により中止。リーダーの機転でヒルメシ尾根からの和名倉山となりました。登り約10時間と急な下り。冬山のトレーニング初回として十分と思います。
この山自分は初めて。埼玉県最高峰だが登ってみておっとりした感じの山と思いました。今年はクライミングに励み体力が落ちた感じだったので良いトレーニングになりました。リーダー及び皆さんお疲れ様。   (To.H記)

たき火を囲んでの団欒やシカの熱い視線を感じながらの朝食など色々と貴重な体験ができ、楽しい山行でした。 (W邊記)

共同装備において個人の負担を強いる事無く均等割りに調整ができた。又ザックの軽減化を図ることができて膝への負担が少なく順調に歩けた。しかし下山の際は、膝に負荷が掛かり痛かった。反省としては、もっと脚への強化訓練が必要である。今回の訓練は内容の濃いと共に楽しく充実した訓練山行が出来ました。  (Se.O記)

大きな荷物を背負っての、久しぶりの山行。のっけから危ないつり橋を渡り、そして、いきなりの急登。それも、ふみ跡があるような、ないような・・・・・・・。気をつけて歩いているつもりでも、ふと道を見失い、後ろから何度かM田さんに軌道修正していただきました。足の攣りそうな急登では息が切れてどうなる事かと思いましたが、ゆっくりペースに合わせていただき、お陰様で、何とか登りきる事が出来ました。連休にもかかわらず、昼メシ尾根の登りでは誰にも会わず、本当に静かな山行を楽しめました。和名倉山まで、あと少しというところに、広々とした良いテン場があり、ゆったりとテントを張り、くつろぎました。テントの周りには夜、鹿が、ウヨウヨ現れ、朝になっても全く逃げる気配もなく、鹿に見守られながら?朝食を食べました。夜はキムチ鍋、朝はオニオンスープにとろけるチーズをのせたフランスパンを浸して食べるという、とっても、お洒落で美味しい食事でした。メニューは全て佐々木さんが考えて下さりちゃんと一人分ずつ均等な重さに分けて持ってきて下さいました。しかも、可愛い花柄模様のジップロックに、これまた花柄のロールペーパー。山で使うにはもったいなさすぎと言った私に「山だからこそ、これなんですよ!癒しが必要なんです。」とS々木さん。なるほどねえ~!
小物の演出も大事ですね。充分癒されました。帰りは二瀬へ下山しましたが、途中、奈良の弥仙・八経ヶ岳を彷彿とさせるような苔の世界にも遭遇しました。緑の苔に朝日があたり、神々しいまでに幻想的な雰囲気を醸し出していました。紅葉も、それなりに綺麗で楽しめました。派手さはありませんが、色々なコース取りが考えられ、また訓練にはうってつけの奥の深い山域だなあと感じ入りました。
今回、装備の分担も全て重さを測った上できちっとできており、素晴らしい配慮だと感心しました。
メンバー一人一人の細やかな心配りのお陰で、本当に安心感のある楽しい山行となりました。リーダーのM田さん、本当にお疲れ様でした。皆さんありがとうございました。    (Ka.I記)

和名倉山訓練報告

私自身の懸案として、南アルプス地蔵尾根を雪山で踏破するには、まず歩き辛くて長い道のりを、今季、事前訓練として経験しておく必要があると考えました。

ヒルメシ尾根の登高・・今回参加したメンバーのパーティとしては、楽過ぎず、しかしハード過ぎることもなかったと思います。Hサブリーダーの「もう少し長くても・・」という意見もありましたがm(__)m

今回の山行でポイントとしたのは、メンバー全員が何らかの役割を担い、全員で山行を造っていくという点でした。
単独行でも登れる力のあるメンバーの寄せ集めではなく、かといって自分のことを考えるのに精いっぱいで、あとはパーティに着いて行くだけでもありません。

ちょっとした体調不良であっても、間違えれば命取りになりかねない雪山では、体力や経験量の違いはあっても、各メンバーが、自身の持てる力をパーティの為に結集せざるを得ない場面が想定されます。更に体力や経験の豊富な方であっても、山では何が起きるか解りません。

チーフリーダー、サブリーダー、装備計画担当、食料計画担当、先行担当、衛生担当、気象観察担当、タイムキーパー担当、記録担当などなど、事前に決めて役割を細かく割り振った係もありますが、今回参加されたメンバーは、みなさん経験豊富な方ばかりでしたので、チーフリーダーが至らず気づかないことを、山行中に見いだし、パーティ行動がスムーズに行くよう、ご配慮頂きました。

2日間ありがとうございました。    (Su.M記)

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