初の北アルプスは初雪の燕岳と大天井岳

皆さんには笑われるかも知れませんが、4年前にほぼ初心者で何と山岳会「大宮労山」に入れてもらい、いろいろな山に登ってきましたが、なぜか機会に恵まれず北アルプスへの登山は実現せずじまいでした。会報十月号にK籐さんより北アルプス(一泊)の山行予定が出たため、渡りに船と思い、ご一緒させていただくこととなりました。私が初の北アルプスだと知って、親切なK籐さんからは、奥穂~前穂、上高地~蝶。立山、三俣~常念~蝶、中房温泉~燕岳の5案を示して頂きました。

最初が穂高や立山だとなぜか、申し訳ない気持ちになったのと、温泉からのピストンであれば、絶対に温泉に入れるな、との単純な理由で燕岳にさせていただきました。これが後で二重の幸運となったのですから人生分かりません。さて、早朝、穂高神社でお参りした後、バスに乗り込み登山口である中房温泉まで。バスから地面に降り立った瞬間、不吉にも何か白いものが・・。思わずK籐さんと顔を見合わせてしまいましたが、まさに雪でした。この二日間はピーカンの予定でしたから信じられませんでしたが、その内やむだろうと、たかをくくって歩き始めました。

今回の合戦尾根はアルプス三大急登とのことで、事前に労山のベテランⅠさんより脅かされていたので少し緊張していましたが、一時おさまった雪がだんだん強くなるにつれて、登りのつらさはまったく気にならなくなり、黙々と登り続けました。合戦小屋で上下雨合羽を着込み、目指すはいよいよ本日の宿である稜線の燕山小屋です。これも時間の感覚があまり無いまま、あっという間に到着し、しばし休みながらK籐さんの顔を見ると、この強風の中、燕岳をあきらめる、という選択肢をまったく持たない態でした。実は次の日の行程(大天井岳~常念岳)を考えると、この日中に燕岳に登っておかないと、明日は難しかったのです。

燕岳頂上

幸い、時折燕岳の姿が見える好天(?)となり、荷物を宿に置いて、ピークハントに出発しました。これが、ものすごい風!雪はほとんど降ってなかったものの、私が経験するもっとも過酷な風でした。百戦錬磨のK籐さんにお聞きしても、すごい風とおっしゃっていたので、まあまあなのでしょう。頂上で写真だけ撮って、這う這うの体で宿まで戻ってきました。

燕山荘の夕飯は、(そこまでに相棒とたしなんだ日本酒・焼酎のせいか、ほとんど覚えていませんが・・・)話に聞く北アルプス小屋に相応しい大変すばらしい食事だった・・・ような気がします(汗)。次の朝はまだ暗い5時半にヘッドランプを着けて燕山荘を出発しました。大天井岳のみならず、あわよくば常念岳にも登らせてあげたい、とのご厚意で早立ちしたのです。

コースタイム

11/3:燕岳登山口(中房温泉)9:00→燕岳下13:20→燕岳山頂14:00→燕山荘14:30(燕山荘泊)

11/4:燕山荘5:30→大天井岳着9:30発9:45→常念乗越13:00→一ノ沢・ヒエ平16:40

さいわい、雪はほとんど降っていませんでしたが、遠くの視界は悪く、まだ見ぬ白馬・剣・立山・水晶・槍・穂高などもまったく見えませんでした。

けれども出発して一時間ほどで風は少し強いものの、すべての視界が開け、天上の夢のような世界に包まれて極上の気分で歩くことができました。K籐さんにしても「一週間前ならまだ雪がなく、一週間後では私の力ではもうこの雪山に入れない。登山を始めて四十年になるけど、今までで最高の北アルプスになった。」と喜んで頂き、私の方も感激しました。

大天井岳まではコースタイム3時間の所を雪だったからでしょう、4時間近くかかり、結局最後は常念岳をあきらめ、常念乗越から下山することになりました。4時間もかかったのはK籐さんのバリ魂が発揮され、大天井岳山頂への夏道を(ほぼ確信犯的に・・)失い、冬道を探しながら夏だと歩けない這松の上を縦横無尽に歩きながら登って行ったことも一因ではないか、と思います。

いずれにしても、今回の初の北アルプス山行では、冬の厳しさ楽しさと、この時期・この場所でしか味わえない(といったら語弊がありますが)雪景色と遠く白馬・立山・槍・穂高連峰の絶景を経験することができて、大宮労山に感謝しきりの山行でした。

(山行実施日:平成28/11/3~4) O知 )

 

 

コースタイム

11/3:燕岳登山口(中房温泉)9:00→燕岳下13:20→燕岳山頂14:00→燕山荘14:30(燕山荘泊)

11/4:燕山荘5:30→大天井岳着9:30発9:45→常念乗越13:00→一ノ沢・ヒエ平16:40

 

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