伊豆・城山フリークライミングの3日間

今年のマルチピッチの初登りは恒例の城山のバトルランナーから始まる。昨年は事情があって計画出来なかったけれど、今年はメンバー7人が揃って6日の夜から竹D邸をベースにして計画実行です。今年で3回目、全員揃って4ピッチを登攀出来た事が無かったので、今回こそメンバーが完登出来るパーティー構成・日程を考えた。7人を2日に分けて登る、早めに取り付いて午前・午後に分けて登る、あるいはまだ登っていないメンバーを「バトル」、登った経験のあるのは「西南カンテ」に分けて登る、様々な形を考えて、当日の混み具合も勘案して取り組むことにした。

前夜の打ち合わせで、菊Tさんの体調も有り、最終的にはI村さんも3人パーティーでは時間がかかるのでと辞退したので、「バトル」は竹Dさん・島Dさん、K坂さん・結Kさんの2パーティーで登り、私とK池さん、I村さんの3人はショートルートに転進することに決まった。と言う事で6時半に出発し城山に向かったが下の駐車場はすでに満杯、相当な混み具合とみて先に上の駐車場まで送ってもらい、城山の登山道から「ポンポコランド」のエリアに行くことにした。さて、10年前の記憶を辿りながらアプローチを求めたが気がつけば頂上に着いてしまった。どこかで標識を見逃したか?このまま頂上直下の「クッキングワールド」に転進するか2人に聞くが登り返しが嫌だと云うので、再び戻り右往左往してやっとエリアにたどり着いた。富士山が正面に見えてロケーションはいいが、殆どのルートが苔むしているけれど「登りますか?」・・・・。

まあ、せっかく苦労してここまで来たのだから1本くらいは登ってみようと言う事で、「ぽん」のルート「ベネッセ」10・Cにロープを張った。「難しいグレードだったら登らない!」とI村さんがいうので「10・A位だよ」と言って登ってもらう。3ピン目あたりが核心で、細かいフットホールドに立ち込むのが悪い。K池さんテンションしながらもトップアウトしてついでに回収してもらった。

もう1本登ろうと「ぽこ」の易しいルートへと移動するも、半ば崩壊した取り付きで敗退して撤収することにした。「ぽんぽこランド」アプローチ悪い、ビレイ地点悪い、ルートも苔むして悪い、最悪な条件が揃っていて、多分もう2度と行かないエリアになりそうです。

アプローチを戻って一般登山道から南壁に降って行くと丁度バトルランナーのラインが目の前に現れた。もうとっくに登り終えていると思いきや、結Kさんの赤い上着が核心の手前で見えた。休憩しながら高みの見物と相なった。先行パーティーの竹Dさんはすでに終了点で島Dさんを確保している。流石に経験豊か、安心して見ていられる。K坂さんが核心部でもがいていて思わず「ガンバ」コールしてしまった。やはり小ハングの乗り越しは10・Bだけあって簡単ではなさそうだ。それでも何回目かに突破し結Kさんをビレイして、3・4ピッチ目を結Kさんがリードで登り始めた。岩場からコールが聞こえて「ヌンチャクが5本しかないけど」とか竹Dさんに言っている、ぐいぐい登っていて、最後のピッチではノープロテクションで進んでいる。殆どフリーで登っているように見える。それを見ていた我々は「危ない!」「なんでピッチ切らないの」「何考えてるの」と口々に非難の嵐、終了点に達するまで、心臓の鼓動が鳴りやまなかった。「登れたから良いと云うものではないよね!」「これは絶対に許せない」と言いながら南壁の基部まで上がって、懸垂するパーティーを待った。

待っている間に3人で「とんとん拍子」を登っていると、SLの竹Dさんが降りて来たので早速状況を詰問した。「なんでヌンチャクが無いのに登らせたの?」と聞くと「私が大丈夫だと云った」と言う、「登れる技術があるからとか、そういう問題でない!」と声を荒げて追及すると「ピンは飛ばしてないよ」と、「いや、完全に飛ばしていた」と言い合いになり、不穏な空気が漂った。よくよく聞いてみると最終ピッチはかなりランナウトしていて、結Kさんとの間でやり取りがあり、結Kさんの「ヌンチャク後5本しかない」のコールだけが聞こえていた我々の誤解と判って、何とか落ち着いた。

本当に我々には殆ど20m近くノーピンで登っているように見えたので、気持が穏やかではなかったが、我々の勝手な誤解で済んでほっとした。

まだまだショートルートが登れる時間だったが、マルチピッチの登攀は精神的にも疲労感があり、早めの撤収となった。いつもの温泉「一二三荘」で汗を流し、これまた定番の「シーダー・マウンテン」でステーキを戴いて竹D邸に戻った。

2日目(日曜日)曇り後雨

午後から雨の予報、竹Dさんの提案で近場のエリアに行くことに。トップロープがセット出来るエリアと言う事で城ヶ崎の「ふなむしロック」でクラッククライミング、8時前に岩場に着いて早速3人でロープのセット、微動だにしない立木で支点を作り、クライミング開始。「樹氷」「純」「鬼ごろし」「オバステ正宗」、久し振りだとジャムの効かせ方を忘れている、10以下のルートなのだけれど、皆さん苦労しています。それぞれ2本位ずつ登ると、大島に雲がかかり、間もなく雨が降ってきて試合終了です。やはり予報通りの天候で致し方なし。当初の予定ではこの日はレスト日で温泉三昧&グルメツァーだったので午前中だけでも登れたので満足かな?川名駅の先のお魚料理屋で昼食、いろいろメニューがあって迷うところだが、一番人気はマグロ? か鰤の荒煮で、私はサザエ丼を戴いたが、刺身定食にすれば良かったかなと後悔。それでも半端ない量で満腹です、帰りの温泉が開くまで時間があるのでスーパーによって夜の鍋の具材を買い出しです。

富戸の温泉は500円小さな温泉で、客が多い時には窮屈でしょうか?浴槽は木の香りがして、洗い場も清潔で良い温泉です、料金も羽竜価格? でOKでしょう。竹D邸に戻って鍋の準備、勿論お酒は充分、お野菜やつみれ、餃子も入って美味しい鍋料理に舌包みを打って、訳のわからない激論で夜は更けてゆきました。

3日目(月曜日)雨のち曇り

前日の雨が遅くまで降っていたが、朝には止んでいた。いろいろ作戦はあったけれど、取りあえず予定通り湯河原・幕岩に行ってみることにした。庭に鈴生りの夏ミカンを収穫して7時過ぎにお世話になった竹D邸を出発、夏ミカンはママレードにすると美味しいらしい。太平洋の海原はそこそこの波、伊東から網代の海岸ではサーフボーダーがセイウチのようにウヨウヨいた、そして真鶴道路からは丹沢山塊が真っ白な雪に覆われて、今まで見た事のない景観です。丹沢も雪を被ると壮観です。

さて湯河原に着いて幕岩の駐車場に到着、流石に前夜の雨で車の数が少ない、それでもボルダーマットを背負ってアプローチを進む若者たちがいる、わずかな希望を胸に取り敢えずザックを背負って桃源郷を目指した。一部早咲きの梅林の中を進んで取り付きに到着、うん?岩場は結構濡れている。唯一登れそうなのは「サンセット」でしたが、終了点手前は濡れているようだ。「セルダ」や「割礼塔」で登っているパーティーもいたが、モチベーションが上がらず、しかもアリババを偵察した後に雨が降ってきて、

迷いもなく撤退することにした。まあ、次回来た時の下見と言う事で、BCに転進することにした。思いのほか時間がかかってBCに1時過ぎに到着、石村さんはお疲れモードで武蔵藤沢の駅まで送迎。早速登り足りないメンバーでクライミング開始、入って正面のエリアが新しくなってそれぞれOSトライで5・7から5・9まで問題なくクリア、Y城さんが絶好調で難しい10・Bを1トライでRP、「ちょっと疲れても登れた」と余裕のコメント。バトルランナーのマルチクライミング効果でしょうか。休憩をはさんで何だかんだで6時くらいまで登り、Y城車で送ってもらい、3日間のクライミングの終了です。今回は全員がバトルランナーには登れなかったが、K坂さん、島Dさんは3回目で初めて終了点まで登る事が出来ました、自然の岩場やジムでのトレーニングが実を結んだと言っても過言ではありません、トレーニングは嘘つかない、皆さんの頑張りに感動致しました。来年は今回登れなかったメンバーがリベンジです。そしてメンバーの皆さんお疲れ様です、また3日間別荘を提供して頂いた竹Dさんに感謝です、ありがとうございました。(記 塩D)

返信を残す