奥秩父小川山クライミング

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素敵なクライマーに勇気をもらう

廻り目平のキャンプ場は、クライミングやボルダリング目的のクライマーの姿が多い。深夜に到着したが、朝早くから準備をしてクライミングエリアに出かける。今日は午後から雨の予想なので、キャンプ場から比較的近い「ソラマメスラブ」、塩Tさんにとっては嫌な思い出のあるエリアである。スラブはごつごつした岩ではなく一見平らなザラザラした岩である。小さな突起やくぼみなどを探して登らなければならない。足先をぐっと岩に押し付ける脚力と、小さなカチを掴む指先の力、腰を岩に沿わせる体幹力、思い切った素早い登りと身体バランスが必要である。私は久しぶりの外岩と苦手なスラブで初めから調子が悪い。簡単なルートをリードで登り始めるが、怖くなって途中で敗退。トップロープでどうにか登り切る。今回初めてご一緒した他会のAさんは岩場のトポを見ながら、意欲的に次々とマスターリードで登っている。私が難しいと思っているルートを躊躇せず思いっきり良い登りでトップアウトしている。そんなAさんの積極的な登りを見て、勇気をもらいリードで一本登ることができた。四本登ったところでぽつぽつ雨が降ってきた。私とH竜さんは急いでテン場に帰る用意をするが、ほかのメンバーはかぶった岩に挑戦している。テン場に着く途中から土砂降りの雨になる。テン場に貼ったタープからはポツリポツリと雨漏りが。雨脚が弱くなった頃合いを見て、村営の温泉で汗を流し、スーパーでお総菜など買って夕食にする。高原レタススープがおいしかった。翌朝は素晴らしい青空、すがすがしい空気である。今日のルートは八幡沢周辺のスラブ状岸壁。易しいルートから難しいルート、マルチピッチまである。今日も朝早くから出かける。雨のために岩が乾いていないかもしれないけれど、早くいけば好きなルートから登れる。今日もAさんは積極的である。乾ききっていない岩に躊躇せず足先を押し付け、リズミカルに登り始める。気持ちの良い登りである。私達が岩の乾きを待ちながら易しいルートを順番に登っていると、にぎやかなおしゃべりトと共に十二、三人のクライマーが到着する。視覚障害の方々とそれを支える方々である。その中には、視覚障害者のクライミングの普及に力を注いでいる盲目のクライマー小林幸一郎氏の姿がある。小林さんについては以前塩Tさんのファイスブックでその存在を知った。視覚障害を持った方が次々と、私達が登ったルートをトップロープで登り始めた。ビレーヤーや他の方が、手や足の位置を大きな声で教えている。登っている方は、探りながらどうにかポイントを見つけて手足を置いている。足をあちこち動かしながら登っている方もいる。皆さん本当に楽しそうに、暖かな言葉で励まされながら、一生懸命登っている。小林さんも登り始めた。次の足の場所を手で探りながら、的確な指示を得ながら、確実な手と足でトップアウトした。驚いたことにリードである。無駄のない美しい動きに私は言葉が出なかった。午後になってやっぱり雨になったが、視覚障害の方々は諦めずに登るらしい。帰り支度をしたH竜さんと私も小雨になり徐々に上がったので、最後の「かわいい女5.9」にリードで挑戦した。私は途中詰まってしったが、視覚障害の方が諦めずに登っていたルートなので、絶対あきらめられない。塩Tさんに足の置き方をアドバイスしてもらい、何度かテンションがかかったが、トップアウトできた。今回のクライミングでは、Aさんのクライミングに対する積極的かつ真摯な姿勢と、視覚障害を持った方々が、アプローチだって大変な外岩のクライミングに臆することなく取り組んでいる姿にとても勇気を頂いた。勇気をもらったからと言って私のクライミングが上手になることはないけれど、その方々の姿を思い出して、諦めずに目標のルートを登ってみようと思う。(記 島D)

八月五日~六日

L塩T、SL竹D、H竜、島D 他会員一名