【会山行】北八ヶ岳天狗岳 ビール流出事件イン本沢温泉

2018年5月25日 

車窓に硫黄岳の爆烈火口を見ながら、八ヶ岳ロードを快適に飛ばす。山頂付近には雪渓も見え、青空・新緑・そよ風に、絶好の山日和だ。

五月の会山行は天狗。今日の予定は、本沢温泉入口に車を置き本沢温泉まで約二時間ゆるく登るのみだ。テントを張り、温泉に浸かりその後は宴会の予定。明日は、天狗を往復して帰るだけ。お天気はいいし、マッタリ山行だ。

「今どこ?」とY城車から電話。「今、八ヶ岳ロード。あと十分位で着くよ」「こっちは林道で迷っちゃって。稲子湯で待ってて」「迷ったの?」「了解。待ってるね」

稲子湯で十分待つ。来ない。私達より四十分位は早く行っているはずなのに。すると「本沢温泉入口に着いちゃった」と電話。「なーんだ。じゃ行くね」。後で聞いた話によると道を二回間違え、切り返しもままならないような林道に入り込んでしまったそう。初っ端から大変な事。

Pで支度を整え出発。「ねね、H竜っち、さっきも言ったけど、フライ持ったよね」ニターッ。「にわか雨の予報あるよ」ニターッ。「カッパ着て宴会するの?」ニターッ。

一日目 本沢温泉へ。
本沢温泉までは緩い二時間の登り。樹々の新緑、木漏れ日、春蝉の音に迎えられながらのーんびりと歩き、難なく本沢温泉到着。沢に塩ビ管が通してあり、下流の小さな徒渉点で取水できるようになっていた。綺麗な水だ。その上部の塩ビの方の取水口の下流部に缶ビール三本とワイン二本を冷やす。そして受付を済ませ、テン場探し。別々の場所でペグを二本見つけた。もちろん使わせてもらう。設営完了。

時刻はまだ二時前。ロープワークでもしようとなり、まずはインクノットから。もやい結びにグローブヒッチ、更に流動分散・固定分散。「いざと言う時必要だね」と、段々真剣さを増してきた。更にリュックや雨具を使った怪我人の運搬法等々。

気づくと二時間が過ぎていた。あら大変。お風呂、お風呂。露天風呂料金を払った男性四人がレッツゴー。

ところが、一時間たっても帰って来ない。順番待ちをしていたとの事。しかも温泉の中でお酒を飲んできたって。先にビールを飲んじゃうとグズるH川さんをなだめてずっと飲まずに待ってたのにな。でも山々を見ながら温泉に浸かって温泉酒!いい気持ちだったろうなぁ。

ではでは。全員揃って宴会を開始すべく、温泉帰りの四人が沢に冷やしてあったビールを取りに行ってくれた。やっと冷えたビールが飲めるよぉ。H川さんよかったね。すると、S田とさんの大声「大事件!大事件!」何?「ビールに穴が空いてる!」ん? 何? すぐには現状が把握出来ない。差し出された缶を見ると、三本の缶ビール全てに、直径二~三ミリ角の穴が空いている。穴の形からペグで刺さしたのかも?

せっかくのビールが…。当然、中味は流出済み。担ぎ上げたのに…。誰が? 何故? 山やる人がこんな事するの? 黒い悪意を感じる。全員意気消沈。ワインは? 無事。……気をとり直して沈んだ心で宴会開始。「大丈夫だよ。(保冷剤で冷やした)冷たいビールがまだあるから」とY城さん。U田さんも持っている。とりあえず乾杯ができた。それだけでもよしとしよう。でも、そこは飲んべえ集団。ビールは無くとも日本酒ありワインあり焼酎あり。“Kゆりおでん“も出来て宴は続く。が、皆ビールの痛みが心に残った。誰が? 何故? いつ?

テントを出ると月が出て星が見えている。8時過ぎ、また温泉に入るという。月見温泉だね。行ってらっしゃい。出て行った二人が戻らぬうちに雨音が聞こえてきた。えっ。雨! 雨! 雨! 「このテント、フライ無いんだよ。あーあ」「だからフライ持ってこって言ったのに」温泉組の二人も濡れながら帰って来た。それを機に、おやすみなさい。女性はフライのあるテントに引き揚げた。が、その後も外で「靴が濡れてる」ドタッ「痛てー」「ワワ、ワン(U田語)」うるさい事うるさい事。

雨は十二時前には止んだ。フライの無いテントの中では雨漏りが続き、U田さんに襲いかかったらしい。それを本人でなくS田とさんが一晩中拭いていたそうな。
まだ登ってないのに、なんか色々あった一日だったなぁ。

二日目 天狗岳へ
四時起床。昨夜の雨は本当?と言うような晴天だ。缶ビール事件があった事もあり心配だが、綺麗なY城テントなら大丈夫だろう、と変な確信のもと荷物をデポして出発。その時、拾ったペグが一本無い事に気付いた。もしかして、ペグを取られたと思い、腹いせにビールに穴を空けた? でも、ビールの持ち主は分からないんじゃない? 謎は解けない。

K池さんが、穴の空いた缶を持って小屋に行き、注意喚起してもらうように話してくれた。「弁償しろって言う事?」開口一番にそう言われたそう。「いえいえ。そういう事でなくて他の人に注意喚起してもらって…」小屋のおじさんによると、ビールが盗まれる等、色々なトラブルがあるとの事。「なんだか嫌だね」

青空を見上げて気を取り直し、夏沢峠を目指す。下の沢を見下ろすと、露天風呂が見えた。「あんな所にあるんだ」「登山道から丸見えじゃない。ビキニ必要だねー」「昨日、ビキニのカップルが入ってたよ」「景色よりビキニ見てたんでしょ」云々。

口も脚も動かして、夏沢峠到着。

阿弥陀岳の爆烈火口を背に、樹林帯の中、根石を目指す。原生林と苔、八ヶ岳らしい風景だ。この感じ大好き。箕冠山の下りに雪渓があったがほんのちょっぴり。樹林帯を抜けると視野が広がり、登り返して根石岳に到着。岩の先っぽに登り万歳! そこそこに天狗を目指す。岩場を過ぎ、山頂着。なんと、意外な事にY城さんは天狗初登頂だそうな。ガスってはいるが、南・中央アルプスが見える。北もうっすら。

「西天狗に行くのぉ?」「行こうよ」時間もあるし、よし行こうとなり西天狗へ。こちらはハイマツがあり、展望はイマイチ。

少しの休憩の後に東天狗に戻り、根石との鞍部へ。ピストンせずに白砂新道を下りる事になった。五十m位のザレ場を下りればハイマツと針葉樹林帯。来た道とは違って急坂だ。地図では五十分で本沢温泉着となっている。

脚は動いているが、口は暇。またビール事件の話題になった。塩ビの飲み口より上に冷やしたからかな? でも取水口よりは下だったよ。ペグの腹いせ? いつペグを抜いた?

テントには誰かがいつもいたよ。じゃ内部犯行? 動機から言ったらKちゃんだ。自分は飲めないのに、なんでビールばっかり冷やしてるのって。いやいやH川さんは一人で沢に行ったからその時だ。でも、ビール好きのH川さんが穴空ける? 動機がないよ。ううん。温泉組を待っててって言われたから腹いせだよ。それとも、何か人に言えない恨みがあるかも。違うよ。第一発見者が犯人だよ。じぁS田とさんだ。だから疑われないよう、自分のビールだけが空っぽだったんだね。他の人のは少し残ってた。他にも疑わしい人が二人いるよ。誰? 自分でビールを持ってた人。あ、自分だけいい思いが出来るって? Y城さんとU田さんが結託してやったのかぁ。ロープワークやってた時、ちょっとの間、居なかった人いたんじゃない? それじゃ全員容疑者じゃない。やっぱり内部の犯行だったのかぁ。缶の指紋取らなくちゃ。水で指紋はきれいになっちゃったかもよ。“科捜研の女”じゃないんだから。内部犯行説はいいけど、何でここまで話が広がるの? 等々、バカ話を続けているうちに沢を渡渉して、本沢温泉に着いてしまった。テント無事かなぁ。不安がよぎる。が、無事だった。良かった。

テント撤収。あとは車まで帰るのみ。下山中、S田とさんが指をさすっている。「どうしたの」「昨夜テントの外で転んだ時打った」「酔っ払って転んだ? クライマーが大切な指を痛めちゃダメじゃない」「あの音、転んだ時の音だったんだね」ダラダラ坂を下り、車まで無事にたどり着いた。車は無事。その後、 H竜価格の温泉に浸かった。
U田語に笑い、缶ビール内部犯行説に笑い、大腿四頭筋より腹筋を酷使した山行だった。いろんな事があったねー。

山行日
5月25日〜5月26日

コースタイム
1日目(5月25日)
本沢温泉入口発10:40-本沢温泉着13:00
二日目(5月26日)
本沢温泉発6:30-7:30夏沢峠7:40-根石岳8:00-9:00東天狗岳9:20-9:40西天狗岳9:55-東天狗岳10:10-白砂新道分岐10:25-本沢温泉着11:30(テント撤収・昼食)発12:30-本沢温泉入口着14:00

メンバー
L:Y城・SL:H竜・SL:H川・U田・K池・S田と・T中た

記:T中た