矢筈川:今早出川ガンガラシバナ~割岩沢 念願のガンガラシバナとジッピ

2018年7月21~23日

7月20日(金)

気象庁から、毎日「危険な暑さ」と死者の状況が報じられる。今朝も外に出ることは控え、学校では郊外での活動は原則中止である。温暖化の危機感が濁流のように寄せてきている気がする。しかし、これから冷たい泳ぎを強いられる沢に向かう我々にとっては願ってもない暑さと言えるが。

さて、初めて計画してからもう15年もたった。何回も書いた計画書も忘れ去られ諦めかけていたがNさんとGWに約束できたことで、一気に計画が進展をした。まあ、毎年のように計画を立てていたものの、天気が安定せず実現してこなかったので、今年も可能性は3割と思っていた。しかし、今年はうれしいことに私の予測を裏切って6月から暑い夏がやってきた。ほっぺたを摘まみたくなるような気持ちである。

いい年になって、体力的な心配があり、釣りはNさんに任せ、この暑さにシュラフも持たず、荷物を減らした。コースも2泊3日、下矢筈手前でジッピに直行するというショートカットコースだ。急峻な壁に何が待っているかわからないが、早出川に足を入れるこのワクワク感をどれだけ待ったであろう。心配は沢遡行というよりも乗越である。ルートがうまく拾えるかである。

一ノ俣沢から入り、大滝に出て手前の枝沢から巻き道があった。すぐ上でトラバースがあったが、そのまま直上し、尾根を目指した。下田川内は急峻である。それほど濃い藪ではなかったが、ようやく稜線に出て、眼下に広がる早出川の姿を見ると嬉しくなる。しかし、足元は一気に下っていて、ここを降りるのかとルート選びの間違えたか感があった。まあ、下っていけば本流に合流できるから、大きな滝に出会わないことを願って降りていく。

なんとか、広々とした河原に出た。ついに今早出沢だ。延々と続く河原。雨が降らなければどれだけ穏やかなことだろう。きょうはどこまで歩けるのか、心配しながら進んでいくが、滝らしい滝はなく、途中で釣り屋パーティー2人に会う。尋ねてみると、申し訳なさそうに、「昨日から入って奥まで行ってきた」とのこと。魚影は濃いので心配されることはないのだが。どんどん進み、魚止め沢出合いからの水は雪渓が解けたようで冷たかった。そのまま奥まで詰めると、冷気が漂ってきた。ガンガラシバナの出合いの方から強大な冷蔵庫を開けたような冷気が流れてくる。さすがに、冷気の直下では寒くて寝られないので、少し手前に戻った。

適当な幕営があり、流木や倒木のブナを切って焚火の準備をした。いよいよである。きょうはポトフを食べてゆっくり体を休める。冷気の中では夜の寒さに寝られないので、タープにツフェルトを張り温かく寝た。空には天の川にアルタイルが輝いていた。

7月21日(日)

冷気に包まれた今早出沢のどん詰り。大滝を前に雪渓を歩きガンガラシバナへ。

取り付きは微妙な草付きトラバースだったが、次は右に左にと自由に登り、最後の1ピッチまで快適にノーザイルで登る。

そして、草付きからザイルを引いて30mいっぱい灌木でフィックスを張り、セカンドが登ってくる間に10mもう一つ上まで補助ロープを伸ばす。そのまま落ち口に滑り込みガンガラシバナを上から一望した。快適なスラブ登りに気をよくしたが、本番はここからだった。いくつもの雪渓が待ち受けていた。テンションが上がる。こうでなくては面白くない。雪渓を登ったり下りたり潜ったり。そして、稜線を目指して藪を漕ぐ。これが楽しいと思えるのは・・・。生きているなー、呼吸をしているぞー。と実感できるひと時である。そして、稜線に立ち割岩沢やこの山域を見渡し、深く息を吸い込んだ。

さて、しばらく稜線の藪を漕いでドゾウ平沢へと滑り込んでいく。この山行の核心はこの乗越にあると言えるのではないだろうか。雪渓の水で泳ぎ吠えた。目が覚め心躍る何かが蘇って気がするが、体はへとへとである。そして出合いえた割岩沢ジッピの感動は、こみ上げるものがある。ここにたどり着けた喜び。忘れられない。

    ジッピを見れば、泳いで中に入っていきたいところだ。しかし、もう16時。この歳では体を冷やせない。これまでの雪渓の水とは違って暖かいのだが。若いU君はまた来ることが出来るであろう。期待を残して下る。割岩沢の方が遡行には楽しそうだ。ジッピ付近には幕場はなく、下っていくと河原があってホッとする。焚火の準備をしていると、もう辺りはうす暗くなってきた。急いでNさんとU君がイワナを釣りに行く。ここで釣らなければいつイワナを食することができようか。暗くなる寸前に2尾。天ブラにしてフワッとした触感を堪能する。この沢の中に身を置き、遠い昔から営んできた暮らしの一旦を味わうことができた。疲れた体に焼酎が体に沁みる。焚火の脇で体が沈んでいく。

7月22日(月)

下界に戻る時が来た。うれしいような寂しいような。だが、まだ室谷に帰るには一ノ瀬乗越がある。だんだん無口になりながら、滑る岩で足を痛めたNさんはぐいぐい進んでいく。術後初めての2泊の沢となる私も、ゆるゆると後を追った。余裕かと思っていたさすがのU君も「疲れた」の一声に、壊れそうな私の気持ちを支えてくれたかな。

いや~~~楽しかった。生きていることをあらためて実感できた。ありがとうございます。

メンバー; S木、N、U

期日; 2018年7月21~23日 前夜泊

ルート;一ノ俣橋~一ノ俣沢~イチノ俣乗越付近~赤ッパ沢隣の沢~今早出沢~ガンガラシバナ~下矢筈岳~ドゾウ平沢~割岩沢~今出~今早出沢~赤ッパ沢~一ノ俣沢~一ノ俣橋

日程;7/20(金)19:30上尾-24:30御神楽岳登山口バス停

7/21(土)5:40PB一ノ俣橋~8:43一ノ沢乗越付近~10:04今早出沢~13:591魚止沢出合い~14:57ガンガラシバナの手前BP

7/22(日)7:09BP~7:26ガンガラシバナ~10:06ガンガラシバナ上~13:39稜線~ドゾウ平沢下降~18:11割岩沢ジッピ~18:48 514m付近BP

7/23(月)6:39BP~10:32今出~12:22赤ッパ沢出合い~14:01一ノ俣乗越~17:14一ノ俣橋

記:S木