花と歴史の里山 姥穴山―小俣城山

2016年3月27日
今年最初のカタクリとヤシオツツジを見に、足利と桐生の県界尾根の里山を歩く。
足利市小俣、叶花の公民館の広い駐車場に車を置かしていただく。カタクリ群生地の標識に従って、沢沿いの山道を登る。イノシシが多いようで、イノシシ除けの銀色のテープがギラギラ続いている。夜行性のイノシシの対抗策なのか山にギラギラは似合わないと思ったが仕方ない事なのだろう。カタクリの球根もイノシシの好物なのだ。里山の景観を守って暮している住民の方々に感謝である。
ちらほら咲いているカタクリを見ながら二十分も歩くと尾根の鞍部に着く。丁字路を右折し姥穴山に向かう。アカマツと岩まじりの急斜面を登るとヤシオ山に着く。小さな山頂には木々の芽吹きの前、春一番に咲く、ヤシオツツジが数本、淡いピンクの花を満開に咲かせていた。茶色一色の冬枯れの山をピンクに染めてくれるヤシオツツジの花を見ると、気持ちが明るくなる。ヤシオ山から尾根を西にとり,三二七メートルの岩のピークを過ぎ、県境を下って鞍部に着く。目の前の急斜面にはロープが張られている。落ち葉が滑って登りにくい。一〇〇メートル程登ると山頂尾根の一角に着く。
山頂は右に五分ほど歩いた所にあった。姥穴山(御嶽山)380.2mの標識と古い石仏、石祠があった。里山ならではの、ほっこりした懐かしい雰囲気を醸し出していた。静かな山頂で休憩後、山頂尾根に登ってきた所まで戻り、南南東の尾根に下る。ここにはかつて参道があって地元の人達に登られていたようだ。今、下部はゴルフ場になっていて、時代の変化を感じる。「やまなみあるき」というガイドブックにあったように、参道の石碑を探しに下ってみる。すぐに「武尊大権現」の石碑が見つかる、さらに下っていくと,「大江女護神」の石柱が立っていた。さらに下ったところに石碑が倒れており、「火産(ひむすび)神社 」とあった。小ピークを右に下り岩の上に「三笠山大神」「立山大神」と読み取れた石碑もあった。もっと下ると、「八海山大神」の石碑もあるそうであるが時間切れ、ここで中止とする。明治時代の初期に作られたものもあった。「八海山」「立山」「三笠山」「大江山」「武尊」山頂に「御嶽山」と地元の人達が参道を作って、登っていたようだ。今は踏み跡もない。とても楽しいパズルを紐解くような、ひと時だった。 
下りは登った道をカタクリの里の尾根までもどって、真っ直ぐ南下して小俣城山に向かう。雑木にアカマツが混ざって、所々に咲き始めの、山ツツジのオレンジ色が綺麗だった。堀切を三つ超えるとちょっと広くなった台地の小俣城山についた。眼下に早咲きの山桜が数本とミツバツツジが咲いていた。さいごの下りは宝珠橋コースにする。あまり歩かれていないようで、滑りやすい急な下りで藪っぽいところもあって、今回の山で、一番難儀したところだった。標高四〇〇mにも満たない里山だが花あり、展望あり、岩場ありで十分楽しめた歩きがいのある山行だった。名前も知られていないような地味な山行に参加してくれたメンバーに感謝。
    三月二七日(日)歩

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