下田・川内;矢筈岳 やっと迎えた春

 

山行実施日;2012.04.28-30
参加メンバー;Sh・S、T

4月27日(金)

大宮労山のTさんと今年の沢はどこがいいかと話すなかで、今早出川のガンガラシバナが出された。確かにいってみたい1本だ。そこで、まずは残雪期に矢筈岳を踏んでみたいと考えた。矢筈岳は、2002年の岳人「マイナー12名山」に紹介され、一躍メジャーになった気がするが、それでも北アルプスのような渋滞となることはないだろうと、魅力を感じていたい。欲を言えば、新潟と会津を縦走してみたいところだが、まずは手頃に室谷からのピストンということにした。メンバーは川口や上尾のメンバーも仕事の都合により参加できずとなったが、どうしても矢筈岳を踏みたいという気持ちで決めた。4月というのに寒気が入り続け、積雪量がなかなか減っていかない。津川の積雪量は気象庁のデーターによると137㌢ほどである。4周に入ってようやく気温が上がり、雨が降って、土曜からの3日間は晴れが約束された。3月の気温が続いていたので、春の到来が信じられないが、この雨で雪も締まったことだろうし、藪も少ないのではないかと期待する。職場の周りも着実に木々は芽吹きだし、この1週間の変化は勢いがある。そんな自然の変化に後押しされ、4月の仕事に忙しさにばたばたしながらも上尾を出発する。出発前にネットで目的地を検索すると、福島周りで行った方が近いということがわかった。これまで下田・川内や飯豊というと新潟周りしか頭になかったが新たな発見である。久喜から東北道で北上し磐越道の津川で降りた。道の駅で泊まるつもりだったが、天気もよくなり、明日の出発を考え、車止めまで入ることにした。現地に着いてみると、林道は路肩が崩れ工事をしていて、室谷の洞窟までしか入れなかった。工事は6月いっぱいかかるようだ。雪の状態や林道の状態は入ってみないとなかなか把握できない。道路は除雪されていたが両脇には30㌢ほどの雪が積もっていた。とりあえず、車の中で入山の乾杯をして仮眠をとり翌朝を迎えた。

4月28日(土)

気持ちのよい青空である。残雪の上に太陽が昇り、もやが針葉樹にかかって幻想的だ。車から出ると暖かさを感じる。昨夜、一緒に到着した釣屋のメンバーは本流を目指してすでに車の中は空だった。われわれが出発しようとしたとき、1台車が到着し、3人パーティーが先行していった。室谷の洞窟を覗き込みながら、杉林の間を抜けていく。ところどころに2本の杉の間を同じ長さに切られた間伐材が几帳面に並べて1mほどの高さに積まれていた。薪に使うようだ。この辺りでは薪を使う生活が残っているようだ。林道にはかなりの残雪が残っている。雪が消えて土が見えるところにはふきのとうが顔を見せ、夕食の天ぷらに摘んでいく。室谷川は雪代でうなるように流れていた。太陽が上がりまぶしくてサングラスをつける。着ていた服も厚くてすぐに脱いだ。1時間ぐらいして林道倉谷始点の表示があり、右に入っていく。林道の2回目の屈曲したところで、東向きになり、朝日がまぶしく飛び込んでくる。右の灌木にピンクテープが下がっており、3人の先行パーティーが登り始めていた。テープが至る所につけられ、迷う心配がない。確かにはっきりした尾根ではないので迷いやすいようだが、人が多く入っていることが伺える。尾根に出ると藪が少し出ているものの、ほとんど雪を拾って登れた。気温はぐんぐん上がっている。サングラスがくもって見えづらい。Tシャツ1枚になったが、鼻の頭から汗が垂れる。持ってきた水分は全く足らなかった。空になったペットボトルにお湯と雪を入れて増やしながら飲む。急斜面だが先行がトレースを付けてくれているので、アイゼンを履かなくても登っていける。

途中で日よけの笠を被り、矢筈岳のピークでビールを飲み翌朝のご来光を楽しみにしているという人がすたすたと抜いていった。魚止山に着いたときにはへとへとである。矢筈岳が姿を見せ、今早出川が覗けて正面にガンガラジバナが堂々と水を落としていた。両脇の雪渓が時折雪崩ている。これが登れるのかと目を疑ったが、地元の人は「たいしたことはないよ」という。さて、重い腰を上げて出発だ。太陽に照らされ隠れるところもなく辛い。1120m地点の先から三川分水峰まで藪が続いていた。地元の人の話ではあと2時間ということだったので、早々とテントを張ることにした。銀マットを広げての揺らぐこともなく全く風がない。どこを見ても雲はなく、矢筈岳と下矢筈岳が堂々とした姿で迎えてくれている。少し休んだところでテント脇に雪のテーブルを作り、ふきのとうの天ぷらを揚げ乾杯だ。陽が矢筈岳の脇に落ちていくとようやく冷えてきた。持ってきたきんぴら用のゴボウと人参をふきのとうに加えたかわりふきみそを作り、炊いたご飯にウナギを入れて蒸し櫃まぶしにして食べ早めに寝た。

4月29日(日)

4時頃、日帰りの人がテント脇を通って行き驚いた。今日も晴れていて暑そうだが、風が気持ちよい。すでに初夏の陽気である。きのう焼けた腕がひりひり痛い。薄雲が見られるが、天気の崩れはなさそうだ。三川分水峰まで藪だが一気に進む。踏み跡もしっかりしていた。途中、岩が出ているところを越え、三川分水峰に着くと先行パーティーのテントがあった。下矢筈岳の稜線に視線を向けると、3人パーティーは下矢筈岳を登り始めていた。日帰りの人は我々との中間の位置にいたので、1時間間隔の位置しているようだ。三川分水峰の先に青岩と言われているところがあり、切り立っているのかと思ったが、脆い岩でクジラの背中のようであった。下矢筈岳の急登はアイゼンを付け快適に登れた。ちょっとした藪を越えていくとすぐに矢筈岳に着いた。ピークからは、北に飯豊連峰が控え、東には御神楽岳、三川分水峰の後方には駒形山が見える。北西の青里岳の後ろに粟ヶ岳があり、また青里岳から北東には五軒谷岳が続いていた。遠く南には平らな浅草岳があり、脇に守門岳である。浅草岳の後ろに毛猛岳や未丈ヶ岳が続くのだろう。さらに遠くには越後駒ヶ岳が見えているようだった。辺りを見回しているだけで飽きることがない。青里岳から来た人と、この時期にしか入れない山のことで話が盛り上がったが、そろそろ引き上げねばならない。尾根をつなげて縦走することの楽しさを思いながら、始めて見る矢筈岳周辺の山並みを頭に焼き付けた。きょうは、水をたっぷり持ってきたので、頭がくらくらすることもなかった。いや、一人だと水分補給を忘れてしまうが、時折、水分補給とTさんが声をかけてくれるので、こまめに水分を取ることができた。15時には幕場に戻ることができ、このまま下山もできたが、下山後の時間が読めないので、予定通りゆっくりする。テントは周りから10㌢ほど高くなっていたので移動させる。1日で全体が10㌢ほど溶けて下がり、テントが張ってあるところだけが溶けずに残っていたのだ。周りの谷には雪崩れる音が絶え間なく響いている。靴の中や靴下が濡れているので乾かす。風に吹かれすぐに乾いていった。Tさんが持ってきてくれたビールが、乾いた体に染み渡り、実にうまかった。夕食にはカレーをいただき、藪こぎで張った腕を感じながら早い眠りに着いた。

気温は暖かいが天気は曇りである。下山といってものんびりはできない。Tさんは、夜から仕事が入っているというので、急いで降りる。登って来るときはあまり感じなかったが、尾根が不明瞭なので、赤布がとても助かった。林道近くはブナが並び、たくさんの実を落とした跡が残っていた。林道に落ちて見上げると、もえぎ色のブナがとても美しかった。2日前はまだ赤茶色で芽吹いていなかったが、すっかり春めいていた。みやげのふきのとうを摘みながら、長い倉谷林道を歩く。残雪の下を、雪解け水が音をたてて流れていた。まさに、音を立てて春を迎えていた。帰りに、かのせ温泉に飛び込み汗を流し帰埼した。温泉のオープンが10時だろうとおもい、その時間に合わせて下山してきたのだが、ぴったり10時の開店と同時に入館した。連休ということで、すぐに洗い場がいっぱいになり、1番に入れたのは大正解であった。が、お湯はとても熱く、隣の人が櫓で水を出しながらかき混ぜてくれて、私は体が真赤になりながら胸まで浸かった。久しぶりに熱い湯に浸かったのも印象的だった。津川インターに向かう途中、雪代で濁流となっている阿賀野川に驚いた。河原に止めたあったユンボは水の中で、しばらくは取りに行けないようだ。流されなければよいがと。今年の豪雪のすごさを物語っていた (Sh.S記)

ルート;倉谷林道~魚止山~三川分水峰~矢筈岳(ピストン)

日程;
4/27(金) 19:00上尾駅-東北道-磐越道-~23:30室谷洞窟BP
4/28(土) 6:00BP~8:00登山口~11:30魚止山~12:30~ 1120mBP
4/29(日) 5:20BP~6:55三川分水峰~8:33下矢筈岳~9:16/9:40矢筈岳~
10:28下矢筈岳~12:10三川分水峰~14:50BP
4/30(月) 5:10BP~6:44登山口~7:45倉谷林道始点~8:50室谷洞窟-1
0:00かのせ温泉-15:00上尾