宿題二つ 仙丈岳

当初の計画は空木岳だったが、天気予報が思わしくなく北沢峠からの仙丈岳に変更した。。10年以上前になるが、この時期に2回登っている。天気が良ければ、さほどの困難はないという記憶があった。

12月23日未明、Y城さんとH谷川さんが自宅まで迎えに来てくれる。北坂戸で塩Dさんを乗せ、全員終結、戸台を目指した。順調に走り9時頃戸台河原の駐車場に着いた。荷物を分け、出発、天気は曇。林道はすぐ消えて、戸台川の河原に付けられた赤布を頼りに進む。少し進むと、遠くに10人位の先行パーティが停滞している。近づくと流れが行く手を遮っていた。渡渉だ。彼らが渡った。Y城さんと塩Dさんは靴を履いたまま何とか渡る。私は、靴の中に水が入る危険があったので、決心して靴を脱ぎ、裸足で渡った。5mくらいの距離だが、くるぶし上までの雪解け水は冷たく辛かった。H谷川さんも私に倣った。このあと3回同じような渡渉があり、Y城さんは靴の中をわずかに濡らし、塩Dさんも靴を脱ぐ羽目になった。以前有った林道は、大雨で寸断されていたのだ。その上に、前日の雨で増水、それで想定外の渡渉というわけだ。河原の道も尽き、左岸の平坦な道を辿る。雪が降ってきた。丹渓山荘には13時頃到着。予定時間を大きくオーバーだ。ここから登り道、北沢峠を目指す。困難はないが、重荷で、はかどらない。夕暮れも近づき、峠を諦め、途中の林道上にテントを張った。こんな筈ではとの思いはあったが、テントに入ればそれも楽しい話題となる。

24日、5:45体調不安の塩Dさんを残して、三人でテン場を出る。北沢峠6:30、月が出ている。仙丈への案内板を確認、6:45登りだす。積雪はくるぶしくらい、踏み跡はない。周囲が明るくなりだし、樹林の間から鋸岳らしい尾根が見える。1時間くらい登ったところで、単独行の人が先に行った。雪が膝下位になり、ワカンを付け、Y城さんがトップで進む。アイゼンを付けた一人の先行者だけでは結構なアルバイトだ。間もなく、若い3人組が追い付いてきた。一緒にラッセルできるかと思いきや、先に行こうとしない。我々が休むと彼らも止まる。見るとアイゼンだけで、ワカンはない。期待できない。自力でやるしかない。時間は過ぎていくが、高度が稼げない。

周りの木にコメツガが減り、ダケカンバが増え、森林限界が近いことを知らせる。それとともに展望が開ける。北岳、鳳凰三山、甲斐駒、北岳の肩から富士が頂上を出している。快晴だけれど、気温は低く、甲斐駒や北岳は雪煙を挙げている。後ろの三人組に片言英語で話しかける。香港から登山に来たのだそうだ。

樹林帯を抜けたところで、H谷川さんがワカンをアイゼンに替えた。寒気に加え、強風が襲ってきた。行く手に小仙丈が雪煙を上げ、尾根を先行の一人が登っている。綺麗だ。11:15、まだ時間はあるが、行けて小仙丈まで、本峰は無理。三人で相談して、周りの景色を目に焼き付けて戻ることにした。戻るとき、何組かのパーティとすれ違った。頂上へは行けなかったが、彼らのために道を付けた。それが少しだけど誇らしかった。25日、下山。天気は安定、今日は登頂日和だ。今日目指せば、けっこう楽に頂上へ行けたと思う。冬山はそういうものだ。来るとき苦労した渡渉も、水量が減り、靴を履いたまま渡れた。仙流荘で汗を流し帰宅した。

昨年末恵那山に登った。これで、年末、行ったけれど登れなかった山はなくなり、年末の山はもういいかなと思っていた。一抹の寂しさを感じていたところ、今回声を掛けてもらい、もう一度空木岳を目指した。それが仙丈岳に変更、空木はもちろん、仙丈も登れず、また宿題をいっぺんに二つも抱えることとなった。さて、どうしたものか。(記 O野)

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