白根山 いつかまた

2017年12月23日

一日目、担当、U村です。

昔、見た映画に「遠すぎた橋」というものがありました。今回の山行も私には遠すぎた山になってしまいました。

十二月二十二日金曜日、Y城さん号にて仏子駅―北本駅―H竜さん宅でテントなどの荷物を積み込み、東北道にて湯本スキー場そばのビジターセンターを目指しました。運転手が代わる代わる交代し現地の周りはホテルからの明かりが優しく路面を照らしていました。

スキー場のリフトが動いていないという情報からスキー場脇のなだらかな斜面をゆっくり歩いていきました。先行する二組がおりましたが、分岐する所々で地図を取り出し、道の確認をしました。スキー場を抜けると急登になり、雪で滑らないよう一足ごとにゆっくり足を進めました。急登から20分ほどして上からアイゼンを付けてサクサクと人が降りてきました。山の情報を少し聞き、少し歩いてからT中たさんの「アイゼンを付けたいです。」の声に一休み。私はアイゼンを付ければ膝に負担が来るだろうと思い、もう少し歩いてみようと。しかし、滑らないように踏ん張った分、足首周りに負担がいってました。そこから20分ほど歩き、アイゼン装着。練習はしてきたつもりでしたが、荷物を背負っての急登はバランスをとるのに一苦労でした。

ようやく分岐、尾根歩き手前で寒さ対策をして進め~。途中で先頭をY城さんから交代し、一歩一歩ぎゅっぎゅっと踏みしめる。緩そうな坂に見えても10cm位ずつを腰を使って足を出す。長い道のりです。

右足がずぼっと深く雪の中へ。一緒に右足のふくらはぎがつる。「すみません、つりました。薬を飲みます。」薬の効果はすぐに表れ、痛みは消えました。「前白根山がもう少しだよ。」とH竜さんの優しい声、頂上に出ると雪は強い風に吹き飛ばされ、岩だらけの山でした。写真を数枚撮り、「早く行こう~。」避難小屋へ坂を下るのですが、行く道は遠く感じます。ようやく屋根が見え、ほっとする。

小屋の中はコンクリートの土間と板の間の2段ベッド風の作り。土間にテントを張るかどうかで議論開始。「張ってみましょう。」「いや、俺の経験ではテントの端が閊えて張れない。」「やってみないと分からないでしょ。」「いや、テントが汚れるから外で張ろう。」「でも、昨晩、言ってましたよ。昔、会社の若い者にやってみないで出来ないというのが多かったんだ。まずはやってからなんだよ、って、だから、張ってみましょう。」ようやく張ることに決定。広げてみるとぎりぎり張れる。「どうやってテントの上を広げますか?」「うん、小屋の中に張ってある針金にカラビナで吊ってみよう。」「おお、いいアイデアだ。」一度、吊ってみる。「あれ、ポールを二本、Xの形で入れると起き上がるんじゃないの。」「やってみましょう。」「ポールは全部伸ばしてから入れるんじゃなくて、土間が狭いから組み立てながら入れるんだよ。」「なるほど。」つぎに、テントの上部脇のひもを小屋の中の柱に結ぶ。「おお~、テントの中が広くなった。」「これなら、フライも張れるんじゃないですか?」「柱に張ったひもはどうする?」「フライは本体から出ているフックにかけるタイプだから大丈夫。」U村の記憶の順番は多少違うかもしれませんが、みんなの知恵を出し合って小屋の中に温かい空間ができました。それでも小屋の窓や扉、壁の下には隙間があり、冷たい風がヒューヒューと。また、小屋の壁には「ネズミが出ます」の看板があり、食べ物はみんなテントの中に入れよう、となりました。

U村が「トイレがないからつくりましょうか。」「知ってるの?」「2年前、日白山で膝を痛めて登れなくなった時、M田さんと一緒に作りました。」「それじゃ、頑張って!」スコップを片手に場所選び、ここなら良さそうと、掘り始める。大きな穴を作るが、掘った底で足場を固めようとしましたが、サラサラの雪で固まらず、仕方なくより大きく掘って終了。次の朝、使った人からは、「あれじゃ、どこにしたら良いか分かんないよ。」「だって、固まらなかったから、」「そのことを言ってたんだ。」「みんな、踏まないように終わったらしっかり雪をかけてね。」

テントの中では、雪から水作りにせっせ、せっせとH竜さん。

夕飯はT中たさんの美味しい鍋。U村に食担の話もあったそうですが、昨年の沢登りの際、U村の班はごはんとふりかけ、チーズと干しブドウというメニューの再来を恐れて次回以降の当番となりました。

U村の足は伸ばしても曲げてもすぐにつりそうなので、水分とマッサージを続け、少しずつ落ち着く。夜は九時頃には皆シュラフの中へ。

しかし、寒さではなく、逆に暑くてあまり眠れず。贅沢な状況でした。腰はすぐには動かせず、足首、膝周りの筋は張ったまま、ストックの持ち手を足の土踏まずで足つぼを何度も踏みますが、力を入れて乗り込もうとすると膝の後ろ側、足首の少し上の筋がつり始める。

「U村さん、調子はどう?」「すみません、やっぱり駄目です、小屋で待ってます。」「行ける所まで行こうよ。」「ごめんなさい、行ってしまったらここからの帰り道、荷物を背負って帰る力が…、練習不足でごめんなさい。」皆を見送った後、テントを片付け、トイレに2回、その穴をしっかり埋めストレッチ開始。伸ばして縮めて、また伸ばし。皆が帰ってきてから片付け、小屋から尾根に出ると目の前に白根山の姿が。風が強く、寒さでより大きく見えました。「あそこにトレースが見えるよ。」

帰り道は急登で2回ほど転び、足の踏ん張りを願いながら一歩ずつ。失敗から学ぼう、山から学ぼう。いつかまた、ここへ。

皆さま、いつもすみません。ありがとうございました。

二日目担当はT中たさんに代わります。

山行二日目。天気予報では午後から降水確率が高く、21メートルの強風との事。U村さん待機というので、私はもはや下山する気満々! ところが、外に出ると上空は薄いモヤ。モルゲンロートか朝焼けか、前白根が所々ピンク色に染まっている(あーあ、下山は無しかぁ)。

7:30出発。葉を落とした広葉樹林帯の中、夏道沿いの薄いトレースをたどり徐々に高度を上げる。先頭のY城さんラッセル。木々が無くなると雪壁。直登。強風がビュービューと直接吹き付けてくる。熱いのは体だけ。顔や手足は凍りそう。薄いフェースガードは凍ってカチンコチン。

斜度が増し、前白根の高さを越える。が、強風と傾斜のため休憩は出来ない。先頭のY城さん「ちょっと振り返って見てー」。いやいや、私にはそんな余裕はございません。周りをチラ見しながら、ただただ手足を動かすのみ。傾斜が更に増してきたので、私の体力保存のためちょっとトラバースする事となった。お心遣いありがとうございます。

いい加減にピッケルを使っていたが、背後のH竜さんからチェックが入る。「登りは体の前に刺すんだよ。地球に突き刺す様に真っ直ぐにな」頷く。その後は、先頭をH川さんに交代。

外輪部の基部のあたりで風が弱まったので、小さな1本。その間、見渡すと、眼下に雲海が広がり、男体山の形に雲が盛り上がっている。山こそ見えないが、あそこが女峰、あっちが太郎と雲の形で勝手に山座同定?東から西まで、ずっと雲海が広がり、頭上にも雲雲雲! が、遥か南になんと富士山! 上空の雲と下の雲海との間に薄っすらと顔を出してくれている。私は、富士山信仰者ではないが、こんな天気のなか、顔を見せてくれて感激!「ねね、H竜さん富士山だよー!」「ん」「クー!」

外輪部を抜け、溶岩ドームの山頂が見えてきた。(もーダメ!寒いし疲れたし根性ないし)「ここは風ないから、私、ここで待ってる」「ここまで来て?」「だってぇ…」「行けるところまで行く!ダメなら全員引き返す!」「…泣…」仕方ない行くっきゃない。雪付きの岩陵を登る。風また風風風。寒いよー! 耐風姿勢を取ってもふらつくよー。

しかし、見た目よりは近く、駄々をこねてから10〜15分で山頂に着いた。何故か賑やかなパーティがいる。今まで会わなかったのに。多分、ロープウェイで丸沼の方から来た人達だろうと思われる。

9:10記念撮影をしただけで、早々に山頂を去る。風が弱まっている外輪部の内側で1本。メンバーを見ると、オヤツ食べてるー!(そーだった。労山の人達って、オヤツにしようとか、お昼にしようとかないんだった。こういう時、勝手に食べるんだった)「わー。みんな食べるんだー」とキョロキョロ。見かねて、Y城さんがシリアルバーをポキンと折ってくれた。ごちそうさま。

次は当然雪壁の下降。尾根の先端の方を後ろ向きで下りる。またY城さん先頭。H竜さんとH川さんが私の前後を固めてくれた。「下りは脚の横にピッケル刺すんだよ」と下にいるH竜さん。時々「この辺ズボズボになってるよ」と声をかけてくれる。脚の間から下を見ると、H竜さんの頭が。なので、高度感はあるが怖さは感じない。

傾斜が弛み、もう大丈夫と前向き歩行。そしてそして、難所をクリアしたのに最後にズボッ!  足の下に感触なし。踏み抜いたー! 右足宙ぶらりん。もがけばもがく程、圧雪になって足首が抜けない。そこへH川さん。ピッケルを横にして出してくれた。自分のピッケルも横に倒すようアドバイス。2本のピッケルを支点にして、どうにか脱出できた。ホッ!

11:00U村さんの待つ避難小屋に到着。もう車に着いた気分だよー。ファー! また、これから登り返しと下降かぁ⁈

荷造りして12:00出発。前白根に登り返し。尾根筋またまた強風! 耐風姿勢を取ってもよろめく。やっとトラバース道に入ると風が収まってきた。

その後は、来た道を下山。今度は、風がないので、暑い暑い。私だけ汗ビッショリ。

登山口に出て、U村さんが振り返って「ありがとうございましたー」そうだよね、山神様にお礼を言わなきゃ。私もならって「ありがとうございました」

スキー場内を歩いて来たが、その間も前日と同様、帰りに寄る温泉の口論⁈ まだやってる。言わずとしれた××価格の日帰り温泉か、湯元の白濁温泉か。どちらでも決定に従います。ハイ。

16:00無事車に到着! フー!

たかが日光白根と思ったが、今期初の雪山での積雪と強風は手強かったぁ。

メンバーのみなさん、ご迷惑をおかけしましたが楽しかったです。ありがとうございました。

1日目:日光駐車場(8:10)=尾根取付(9:05)=稜線分岐(11:50)=天狗平(12:40)=前白根山(13:40)=避難小屋(14:20)

2日目:避難小屋(7:20)=白根山頂上(9:20)=避難小屋(11:05)(12:00)=前白根山(12:50)=天狗平(13:30)=稜線分岐(14:00)=日光駐車場(16:50)

メンバー:リーダーH竜、H川、Y城、T中た、U村