山梨 鶏冠尾根 岩で卵を焼く?

2021年8月28日

山梨四天王の一角を担う鶏冠(とさか)山。私の持つイメージは、とってもきついが岩と紅葉の綺麗な鶏冠尾根を従える山だ。昭文社の地図では登山道はない。でも行きたいと思い続けて10年。やっと夢が叶う。

5:30西沢渓谷駐車場発。舗装道路をテクテク、二俣吊橋を渡る。右手を見上げた。ギザギザの山がドーンと居座っている。鶏冠山だ。朝日に輝いていた。正にこれから行こうというギザギザの稜線がそのまま見える。向かって左からの急登。その先はアップダウンが続き最右に尖った岩峰が天を突いている。あそこまで行けるかな。でも行くぞー。怖気付く一方で闘志も湧く。

(朝日に輝く鶏冠山)

鶏冠谷出合で渡渉。いよいよ鶏冠尾根開始だ。のっけからの急登。3人ともまだ元気だが、黙々と足を上げる。聞こえるのは沢の音とキツツキ(?)が木を叩く音のみ。静かだ。見上げても見上げても目の上には直登の尾根のみ。前回の熊倉山の聖尾根を思い出す。自然林の中ではあるが、風なし、花なし、展望なし。そして汗のシャワー。この急登どこまで続くの? と地図に問う。答えは『ずっとチンネのコルまで』クー!

まずは『目指せチンネのコル』。少し平坦な地を希むがそんな物皆無。平坦どころかどんどん傾斜は増すのみ。休憩させてーと言いたいところだが、先のH竜さんはドンドン行く。ガッツあるなぁ。振り返ったH竜さんに目で訴える、もうダメー! 「もう少しで着くけど休むか?」やったー! 私の念力勝ち。標高差であと80m。

たどり着いたチンネのコルは鞍部だけに風が気持ち良かった。もうすでにクタクタ。ここを登れば第一岩峰らしい。そこから第三岩峰までが核心部だろう。標高差はたかだか200m。すでに岩が顔を出している。さあ、再出発。

(倒木に乗るT中とくぐるMS)

第一岩峰までは倒木に乗ったり潜ったり、石楠花の枝を払ったり根を掴んだり。岩と倒木と石楠花の急登だった。第一岩峰到着。

MSさんもクタクタのはずなのに岩を見ると眼がランランと輝く。さすがクライマー。第二岩峰を目指す。展望が開けてきた。鎖場を越えて大岩へ。ピークに立って先を見る。

(第二岩峰へ)
(尖った第三岩峰を望む)

この先もアップダウンが激しい岩尾根だ。地図は平坦だって言ってるのに。5m降りて10m登る。また8m降りて8m登る。地図には載らないはずだ。乾いているし、フリクションが効くので滑る心配はない。でも汗汗。切り込み隊長H竜、ガンガン登る。うわ、置いていかないで。

鎖場を越え、フリーで登り、また石楠花の中へ。やっと第三岩峰の基部着。右巻道左直登。巻道とはいえ結構大変らしい。選択肢無し。当然の如く、H竜さんはハーネスを着装しロープを出す。「先に行くぞ」。

(H竜さん支点構築)

左にトラバース気味に登り支点構築後、右に折り返す。見えなくなった。MSさんビレー。次、万年セカンドの私。H竜さんが上からビレーをしてくれる。H竜さんと同じルートを行く。第一岩峰とは違い、手がかりが無い。垂直? 怖いよー。巻けば良かった。もう引き返せない。でもアルパインはなんでも有りさ。ロープを掴み、膝まで使って登る。途中、2ヶ所テラスあり。やーっとH竜さんの顔が見えた。グー! 疲れたぁ。ここが山頂かと思ったら、地図が『山頂はまだ先だよ』と教えてくれる。あと(標高差)30m。ロープ回収後、先の頂を目指す。岩岩岩。やっと到着。遮る物はなく360°の展望だ。

ここから鶏冠山までは、また石楠花の中だ。平坦かと思いきや、山頂直下はまたまた急登。飛び出した山頂には絶景が待っていてくれた。眼前に木賊山がどーんと控え、その左に甲武信ヶ岳が鎮座する。木賊山への稜線の西側は晴天。東側からはガスが這い上がり曇を作っている。毎度稜線の左右の天気の違いには驚かされる。

(鶏冠山頂から木賊山と甲武信ヶ岳)

雷さんが来ないうちに帰ろう。ピストンで登ってきた岩峰群を下山。岩に手をかけるとアヂッ! 岩が焼けている。長くは触れない。登りより時間がたったから? ユーミンの歌の《エンジンフードで卵が焼けるほど》とか何とかいう歌詞を思い出した。卵だけでなく私達も丸焦げになりそう。焼き豚と鶏ガラかな? 誰がどれ?

第三岩峰下降は巻かずに懸垂。上部は傾斜があるが、途中のテラスからはほぼ垂直。高度感半端ない。怖いが楽しい。第二岩峰を過ぎて装備を解く。チンネのコルを過ぎると斜面は急下降。こんなに急だったの! と改めて感心するほどの斜度だった。気を抜くと滑り落ちそう。

下りは早いはずだが、スマホの声は冷たい。「1500m付近です」えーこんなに降りたのに? まだ出合まで250mもあるよ。ガンバ。

やっと、出合に着いた。ここまで来ればひと安心。沢で顔を洗う。わー生き返るー。徒渉して駐車場へテクテクテク。

車に戻って顔を上げると、羽衣のような柔らかな夕陽に包まれた尾根が見下ろしてくれていた。「あそこまで登ったんだね」「やっぱり見ただけでもきつそうな稜線だね」「よく頑張ったね」3人で褒めあった。3人の力だね。

鶏冠山さん、メンバーの皆さんお世話になりました。夢がかなったよ。ありがとう。

メンバー (L)H竜・MS・T中

コースタイム

P5:40-二俣吊橋6:15-鶏冠谷出合6:30~6:50-チンネのコル9:00-第二岩峰10:05-第三岩峰11:25-鶏冠山11:50~12:15-第三岩峰12:45-第二岩峰13:30-チンネのコル14:25-鶏冠谷出合16:00~16:30-二股吊橋16:40-P17:10

累積標高差 ⤴1412m ⤵1406m