憧れのお花松原白山中宮道

山行実施日;2014年7月25日~28日
参加メンバー;Ka.I、Hi.Y、Ke.H、Kz.O

山には、かれこれ3回登っている。大阪に住んでいた頃に、夏に一回、秋に一回、それと5月の連休に大宮労山で一回である。花の綺麗な山は、秋の紅葉も巣晴らしい。雪景色もまた美しい。

今回は中宮道を歩くと聞いて、即決した。白山にはいろいろなルートがあるが、たいていは、砂防新道から登り、頂上でお鉢めぐりをして、観光新道から下山するというのが、一般的なルートだ。中宮道の途中に松原というところがあり、ずっと行きたいと思っていた。

7月25日、繁忙日だったが、何とか休みを取り、午後から大宮へ。H高さんと待ち合わせをして、上越新幹線に乗り、越後湯沢で、はくたかに乗り換え、金沢に向かう。

O知さんは朝から金沢に行っており、1日観光。Y内さんも昨日の夜行バスで金沢にはいり、1日自由行動とか。午後6時30分にH高さん行きつけの「佐藤」という居酒屋さんでO大知さんと合流。

私たちがついた頃には、もう既に出来上がっていたようだ。居酒屋といってもさすが北陸、お刺身がすこぶる美味しく、ぶりかまも絶品であった。ついついサワーを飲みすぎてしまった。

そこからバスと電車に乗って、更にタクシーで別当出会いまで行った。

タクシー代が18.000円もかかってしまった。一人6.000円である。そこで仮眠し、なんだかちっとも眠れないまま、翌朝は4時から歩き始める。

なんだか体が重い。日頃の疲れと昨日のお酒が残っているようで、気持ちが悪い。いつもなら、たくさん食べる私が、朝、おにぎり1個しか食べられなかった。途中通過した甚之助避難小屋は10年前に比べると、とても綺麗になっていた。秋に来た時は、ここから見た星がきれいだったっけ。ここから黒ぼこ岩まで見晴らしの良い道となり、花もたくさん咲いていた。

ハクサンフウロ、クルマユリ、ハクサンチドリ、ヨツバシオガマ、テガタチドリ、ミヤマダイコンソウ、ヤマハハコ、などなど。黒ぼこ岩からは別山の眺めが素晴らしかった。今度登ってみたいものである。登るにつれて花が多くなり、つい足が止まってしまう。

写真をとろうと立ち止まると、「ペースが乱れるから写真はとらないで」とリーダーのお言葉。見るだけで我慢する。室堂には立派な小屋があり、多くの人で賑わっていた。さあもう一登りだ。

頂上の御前峰に着くと、早い時間にもかかわらす、既に雲がわいてきて、周りの山々は見えなかった。山頂は風が強くて寒いくらいだった。いくつもの池の周りにはまだ雪がたくさん残っていた。Y内さんとO知さんは剣が峰に登るというので、私とH高さんは先を急いだ。「たぶん登って降りるのに、30~40分位はかかるから、ここから写真をとりながらでも良いよ」とリーダーのお許しが出たので、パチリパチリと写真をとりながら進む。

チングルマがまだ残っていた。イワカガミ、イワヒゲ、イワギキョウ、アオノツガザクラなど小さな可愛い花がたくさん咲いていた。

中宮道への分岐を過ぎると、人はぐっと、減った。中宮道へは、どんどん下る。すると、目の前に大きな雪渓が見えてきた。ストックは持ってきたけれど、このトラバースはいやらしい。簡易アイゼンでももってくればよかったなと思う。案の定、すべり落ちてしまった。しかし、落ちたところが進行方向だったので助かった。

その先がお花松原。ちょうどすれ違った人が教えてくれた。今年は雪解けが遅れているとのこと。このあたりツガサクラの群生地でその先には、クロユリの群生地があるとか。たしかに道の両脇に、たくさんのクロユリが。ただしまだ、つぼみも多い。見ごろは8月中旬頃らしい。

ここからも、アップダウンを繰り返し登っていくと、下の方から団体さんがすごい勢いで登ってくる。今日宿泊予定のゴマ平避難小屋は定員が20~30名くらいの小屋とのことで、H高さんが焦りはじめる。

結局、場所取りのためにH高さんは先に行くことになり、銀マットを渡す。後ろの二人もまだ来ないし、ここから、みなばらばらになる。後から来た団体さんに話を聞くと、今日は泊まらずに下山するとの事だった。なんだあ、取り越し苦労か。それにしても暑い。

朝からほとんど何も食べられず水ばかり飲んでいる。パンはたくさん持ってきたのに喉を通らない。こんなに調子が悪いのは、初めてだ。お腹は空いているのに何も食べたくない。体が重くてだんだん歩くのがいやになる。すると目の前にいきなり池糖が現れる。池糖のまわりにはものすごい数のハクサンコザクラの群落。イワイチョウ、シナノキンバイ、まるで楽園のようだ。なんて気持ちのよい所だろう。ここが北弥陀ヶ原。

ここまで来て戻る人も多いらしい。ここで、後ろからきたY内さんと合流。O知さんはまだらしい。「花の写真を取りながら行くので」とY内さんには先にいってもらう。

楽園を過ぎるとまたアップダウン。疲れたころに今度はニッコウキスゲがお出迎え。厚くてクタクタだったが本当に癒された。ただ、ここからは、本当にしんどくて、あと何時間歩いたら、避難小屋だと自分に言い聞かせてただひたすら歩く。時計を見ながらあと何分と逆算する。もう一歩も歩きたくないと何度も思いながら、またとぼとぼ歩く。

そうしてやっとのことでゴマ平避難小屋にたどり着くと、名古屋から来たという団体さんが2階に陣取っており、下には福井からきたグループが場所取りしていた。

H高さんが既にシチューを用意してくれていたが、味付けがまだらしい。どうやらシチューのルウはO知さんが持っているとの事。みんなでO知さんを待つことにする。

あとから到着した福井のメンバーにO知さんのことを尋ねると、北弥陀ヶ原で、お兄ちゃんがひっくり返って、あられを食べていたよと教えてくれた。だんだんみんな心配になり、見に行こうかと話していると、そこへやっとO知さんが現れる。無事でよかった。

ルーが入りシチューが完成。ちょっと濃い目の味付けの野菜たっぷりシチューは、ほとんど食欲のなかった私にも美味しくいただけた。

H高さんは続いて焼きうどんも作ってくれたが、こちらも美味しかったが、あまり食欲がなく一口しか食べられなかった。残念。食事が終わると急に睡魔に襲われた。日頃の睡眠不足と疲れが一挙に出たのか数時間ほど熟睡してしまった。

せっかくワインを担いで来たのに一滴も飲まずに寝てしまった。翌朝は午前2時に起床で4時出発。木立の中のせいか、まだ暗い。昨夜降った雨のせいでズルズルとすべる急坂をどんどん下ってゆく。下るだけなら良いのだが、アップダウンの繰り返しで、結構嫌らしい道だ。

登りになると途端にペースが落ちてしまう。1時間ほど歩くと、雨がふってきた。雨はどんどんひどくなり本降りとなる。相変わらずアップダウンの繰り返しで、本当に体力を消耗する。そして、シナノキ平避難小屋に到着する。

雨の中、小屋に入って休憩できるのは有難い。さあ、ここからは3時間だ。足場の悪い中、同じような細尾根をあいかわらずのアップダウンを繰り返しながらもくもくと歩く。

そして最後は急なくだり坂となり、下りきった頃、雨が止み始める。中宮温泉についた頃にはすっかりやんでしまった。まだ9時過ぎだ。タクシーが到着するまでの1時間で温泉に入ることにする。ふもとには2軒の温泉旅館があり、私たちは日本秘湯を守る会にも指定されている、にしやま旅館のお風呂に入った。

とても風情のある旅館で、源泉賭け流しのお湯もよかった。後から調べると、この温泉は奈良時代に発見された由緒正しい温泉のようだ。乾いた服に着替えて本当に生まれ変わったように気分がすっきりした。そこからはタクシーで鶴来に行き、JRで野町に出て、そこからバスで金沢へ。

金沢で地元の回転寿司に行く予定だったが、ちょうど昼時でお寿司やさんが混んでいたため、トンカツ屋に入り、ぎりぎりで、「はくたか」に乗り込み、湯沢経由で大宮へ。

電車は快適だったが、お金がかかった。往復の交通費とタクシー代だけでも35.000円。大きな出費だ。次回は夜行バスを使ったらよさそうだ。今回、電車やタクシーの手配、山行計画まで全てH高さんにやっていただき、本当に感謝である。ありがとうございました。

初日は体調も悪くしんどい一日だったが、ずっと行きたいと思っていた中宮道を歩けて、しかもたくさんの花にも出会えて終わってみれば大満足の山旅であった。やはり、白山は懐が深い。また違うルートで行ってみたいものだ。(Ka.I記)

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