2022年2月5日
東北道を北上する。関東平野はピッカーンの青空だ。男体山が良く見える。その隣に日光白根も。ただ、男体山の奥さんと言われる女峰山には雪雲がかかっていて見えない。これから近くに行く那須の高原山も…『男体さーん! 奥さん怒ってるの? 雪雲取ってー! これから前黒山に行くの』今日行く前黒山は栃木百名山の一つとのこと。なら誰かに会うかな? それとも、また私達だけ?
大沼園地を目指すが、途中まではスキー場があるためきれいに除雪されている。左折すると… そこは雪国だった。
雪道の脇に車を停めて出発。地図ではピークを大きく迂回して林道を行く。だが、大人しく林道を行くはずのないH竜さん、巻かずにのっけから急斜面に取り付く。フッカフカの雪と急登に足が取られる。沈む。滑る。踏み抜く。標高差100mを登るのに汗だくだ(汗だくは私だけ?)。どうにかピークにたどり着き、さて次はどう行く? 地図をにらむ。とーぜん夏道には行かない。沢沿いの尾根を行くことに。尾根の芯を行くが、尾根とも言えないような広い斜面もある。針葉樹が立ち尽くしているだけ。他には何もない
自然林と人工林とが交互に現われる。幹に赤テープが巻きつけてある。避けたはずの夏道? それとも林業? 古そうな踏み跡があった。この数日の降雪にもよるが、2~3日前らしい。追いかける。いくら行っても樹林帯の中。傾斜はどんどん急になっていくが展望もない。代わり映えのない風景が続く。時折風が枝の雪を落とす。空が開けた。雪が降っている。「わ! 本物の雪が降ってる」 「あん? これ、本物の雪じゃないのかよ」「違うでしょ。今までのは風花だの、枝の雪だのが降ってきてただけ!」言い合いするにも顔が強張って上手く喋れない。風はないけど寒いなぁ。フェイスマスクも吐息でカチカチに凍ってしまった。
1500m手前で稜線に出た。今までは風が無かったが、稜線に出た途端にゴーっと風が吹き付けてきた。当然、雪はガチガチ。
稜線も樹林帯の中だ。処によりガチガチ、処によりフカフカ。そして緩急織り混ぜの斜面。多分、雪の下には倒木が沢山ある。
1600mあたりから積雪が多くなり、小モンスター(?)が見え始める。
樹々の間からかなり前方だが灰色の空が見える。そろそろ山頂? いえいえ、まだだった。等高線の間隔が開いただけ。山頂まで標高差70ⅿある。見えるのはグレーの空と雪と小モンスターのモノトーンの世界だ。その中に、H竜さんのお尻。アリャリャ。後ろからはMSさんがマイペースで来る。静かだ。
樹々の中に視界が開けた。手づくりの素朴な山名板が2つ、山頂だよと教えてくれていた。「わー、着いたねー」。
フー、寒い。写真だけ撮って休憩なし。即下山開始。味気ないなぁ。でも寒いもの仕方ない。
下山は自分達のトレースを行くと言う。でも、雪山の下山の楽しみは自分勝手に歩きたい所を歩く事だ。方向を確認しながら勝手に歩く。でも不思議。H竜さんが、大人しくトレースをたどるなんて。具合悪い? あにはからんや、トレースを外して行く。「つまんないからショートカットするぞ」 やっぱり。まあこの積雪なら藪漕ぎはないからどこを歩いてもいいけど。崖もなさそうだし。今までもショートカットは数多くやってきた。大変だが確かに分かっている所を歩くより面白い。そして確かに距離だけはショートカットになった。確かに『距離』だけ、はね。
三者三様、思い思いに行く。MSさん、地図を見、方向を確認しながら立ち止まってしまった。この方も納得しないと動かない。前方には大きな緩い尾根が三つ。確かに確認必要だ。「この尾根だね」「うん。そうだね。納得した?」「うん、納得」。
またショートカット。いいんだけど…。「さっき沢があったけど渡渉ないよね?」「うん。多分大丈夫」「え? 多分? また根拠のない大丈夫?」果たして沢があった。「ドボンやだよ」「多分大丈夫」「また根拠のない大丈夫かぁ!」恐る恐る行く。雪が付いているので、様子がはっきりしない。ドボンしなかった。良かったぁ。
ショートカットに次ぐショートカット。ドボンを免れ緩く行くと、白い平地が木の間に見えてきた。「広々としてるね」「林道かな」「あ、標識が見える」「もう林道に出ちゃったんだ」「下山は早いね」「いつもの事だけど、地味~な山だったね」
H竜さんの大嫌いな林道をブラブラ歩くと車が待っていてくれた。
またまた今日も一日誰にも会わなかった。前黒山さんありがとうございました。
メンバー (L)H竜・MS・T中
コースタイム(休憩含む)
大沼園地9:15-前黒山12:50-大沼園地14:40