会津・丸山岳、会津駒ヶ岳(縦走)GW境に冬から夏へ

山行実施日.04;2010.04.30-05

参加メンバー;Hi.T、Te.I、Yo.T、Ka.I、Sa.H、Sh.S
行程;4/30:大宮-岩槻IC-那須塩原IC-小豆温泉駐車場(仮眠)
5/01:保太橋登山口7:08・・・巽沢山・・・家向山分岐・・・窓明山13:00・・・坪入山15:16(テント泊)
5/02:テント場5:09・・・高幽山8:01・・・梵天山9:34・・・丸山岳11:30、12:00・・・梵天山13:44・・・坪入山18:58(テント泊)
5/03:テント場7:57・・・三岩岳12:40・・・2060M付近13:30(テント泊)
5/04:テント場6:32・・・大戸沢岳8:00・・・会津駒ヶ岳9:02・・・駒ノ小屋9:37・・・滝沢登山口11:30-窓明の湯-
駒の茶屋(蕎麦)-宇都宮IC-岩槻IC-大宮

山行食;
朝食                 夕食
5/1    各自           マグロつけ丼、わかめスープ、漬け物
5/2   みそラーメン       スープカレー、ジヒーズ白米、福神漬け
5/3   きつねうどん       ジヒーズ五目ご飯、味噌汁、たくあん
5/4   スープパスタ
予備食と日本茶6袋、紅茶8パック、カフェオレ10袋

4/30(金)
大宮労山に席を置いて初めての山行となる今回、いくつかの不安があった。第一に、体力である。4月中に2回山スキーに行ったが、最近フリーが多く歩いていなかったので、足がつりそうになっていた。4月に会津駒に来たときもピークに着いたころには足がヒクヒクいっていたのだ。3日泊の山行に行ったのは、3年近く前になっている。この1ヶ月、筋トレとランニングをしてきたのだが。第二に、これまで単独が多くなっていたので、会での山行に戸惑いがある。第三に天候と雪の状態がどうなっているかである。さらに付け加えれば、高速の渋滞状況というところだろうか。反面、8年前に単独で会津朝日から三岩岳まで4月末にスキー縦走しているので、心強さはあった。今回、会山行に希望したのも、以前の印象がよかったからである。同じ所に来なくてもという思いもあるが、会に所属させてもらったので一緒に親しみたいということと、窓明から登り、丸山ピストンという長さ、三岩岳から会津駒ヶ岳がつながること、4日間山に居られること(これが第1かな)、冬の終わりと春の訪れを感じさせてくれること、しっとりした南会津の彩りを味わいながら山旅をしたかったからである。話しは、とんでしまうが、私の中には、山行の味わい方に、「旅」他の世界と出合いたいというスタイルと、「挑戦」自分の中の可能性を求める(クライミング、スキー)スタイルと2種類があるようだ。この2つは、重なるところもあるが、自分の内面に向かうか、外の世界に向かうかという意味合いがあるように感じる。今回は、「旅」というスタイルの部類になるのだろう。「旅は道連れ、世は情け」仲間があって旅が始まるわけであり、新たな出合いのスタートとなるのだろうと期待した。
さて、余談が過ぎたので、本題に入ろう。今回の心配の一つは天気である。2月後半から3月の暖かさと4月に入ってからの寒さで、積雪量の変化が例年と全く違っている。4月初めは、雪が少なかった昨年よりも少ないと言われたが、4月の寒さで積雪が変わらず、例年よりも残っているのだ。さらに、GWに入ろうとしながら、山では雪が続けて降っているようであり、寒気が残っている。春山の登りには、雪が残っていてくれた方が好都合である。が、着る物は微妙だ。それでも、連休に入れば夏日が予想されているので、とりあえず春装備で準備をした。どうにか準備ができ、酒のつまみのいぶり大根を刻んでいると出発時間になっていたので、あわてて飛び出していくと、Hi.Tさんの車が待っていてくれた。なんと、ありがたいことである。そのまま、集合場所に向かい、メンバー4名と合流した。
さあ、出発である。GWの渋滞はとりあえずはずして順調に東北道を北上し、檜枝岐へ。辺りは暗いのであまり様子がわからないが、小豆温泉の駐車場に着き、車の中で仮眠を取った。

5/1(土)
隣の車は、寒くて夜中にエンジンを掛けて暖を取っていたようだが、檜枝岐の朝は寒かった。木々の芽は固く、保太橋登山口の駐車場奥に雪がわずかに残り、残雪の前にフキノトウの顔を出していた。ザックの荷物準備をし、車1台を会津駒登山口に回して、保太橋登山口から窓明山に登り始めた。8人ぐらいの先行パーティーがあり、やはり丸山岳をめざしているとのことだった。笹を分けた土の夏道を、雪山の山靴が不安定そうに進んでいく。途中でイワウチワが咲いて向かえてくれた。花に詳しいKa.Iさんが一所懸命に新しく入会したSa.Hさんに説明していた。Sa.Hさんも山のことをしろうと花だけでなく、葉をみても「イワウチワか」と訪ねていた。1000mを越え、巽沢山を過ぎると雪の上を歩けるようになった。尾根が残雪に覆われた中に、太い山毛欅が並んでおり、いかにも南会津らしい。GWというのに踏む雪もさほど沈まず歩きやすい。しかし、それぞれ重い荷物を背負って汗をかきながらゆっくりと、山毛欅の樹林を抜けていくと、どっしりとした真っ白に覆われている窓明山が見えて来た。顔を上げると青空は広がり、白い雲が窓明山から煙が吹き出ているように流れていく。陽に照らされて茶色になり始めたところもなく、ピークへとトレースが続く。窓明山に登ると、三岩岳がさらに広く高く空に伸び上がっている。東北側や新潟側は、寒気のために重苦しい濃い灰色の雲で埋め尽くされている。まさに、檜枝岐上空が冬と夏の境界線になっているようだ。


窓明山への登り

前には、丸山スキー場その奥に未丈ガ岳が白く長く伸び、その先には毛猛岳が並んでいる。北西方向に坪入山があり、その奥に梵天岳と丸山岳がつながって見える。複雑な稜線なので、すべてを目で追うことができない。広い稜線を歩いているうちに雲が取れていき、気温もあがってきたようだ。さて、視線を遠くに移してみると、浅草岳に守門岳、南東には平らな帝釈山に続いて、つんととんがる枯木山、そして荒海山とつながっているが、もう雪は少なく茶色で占められている。周りの山々に押されてようやくに坪入山に着き幕場とする。
久しぶりの重い荷物に、やはり足がヒクヒクしているが、どうにかたどりつけてホッとする。スコップをザックから外して、雪に差し込もうとすると、ネジがゆるんでいる。いつものようにピッケルの先でネジを回すと止まらない。ねじ切ってしまったのだ。だいぶお世話になったスコップも世代交代の時期のようだ。すっかり、風も止み、暖かい空気に包まれている。季節が入れ替わったようだ。重いザックから酒を出して乾杯だ。8人用テントというのは大きい。気持ちも大きくなる気がする。それは、気持ちがゆったりできるのは、受け入れてくれた労山の皆さんの心の広さだろう。酒を味わいながら労山の人柄に酔う。若い頃に命をかけて費やしたアルパインの経験が優しさとしてにじみ出ているSa.Hさん、花が好きで山に登り、ついに雪山のよさを知ってしまったKa.Iさん、山が楽しくてしかたがないと体からエネルギーが吹き出しているYo.Tさん、第2の人生でこだわりを持って贅沢な山あそびを満喫しているTe.Iさん、誰よりもどん欲に山を愛し仲間を大切にしているHi.Tさん。久しぶりに人と飲む酒が最高に美味しく、充分な睡眠を得ることができた。


梵天山

5/2(日)
いよいよ丸山岳をめざして出発である。天気は最高にいい。360度の大パノラマで抜けるような快晴であり、空気はすべてが夏でもなく、雪はしっかりしている。稜線の雪が切れているところもなく、地肌も落ちずに白さを保っている。出だしがリッジになっていて緊張感が漂いながら、それぞれの判断でアイゼンをつけピッケルを持ち準備OK。私は、ピッケルにアイゼンなし。雪は程よい堅さを保っていた。8年前に反対方向から来たときのことを思い出す。ドキドキしながら、スキー板にシールをつけたまま、一瞬リッジの上に乗り滑った。あの時は午後のもう少し緩い雪だったが、いま思えばよくやったものだと・・・。みんな難なくリッジを渡り、先に進む。アイゼンをきかせながら慎重に足を運んでいる。なだらかな下りをおえると、高幽山に向かう。高幽山の東面はとても広く地肌を見せることなく白い。その斜面に、黒谷川の支流東実沢沿いに並ぶ山毛欅の陰が白い斜面に見事に浮かび上がっていた。高幽山のピークに登ると、未丈ガ岳が目の前にあり引きつけられる。なんと、東実沢と西実沢の中間尾根から登っているトレースがあり驚いた。以前、6月に黒谷川を遡行しに来たときには、大変な徒渉のすぐあとに雪渓が現れ、手がつけられなかったのだ。林道から尾根の取り付きまでのルート取りがわからないが、想像をかき立てられる。さて、目の前には、梵天岳があり、丸山岳へは右からぐるりと回り込むのだが、近くに見えてまだまだ遠い。視界には浅草岳や守門岳が近づいてきた。会津駒ヶ岳の遙か向こうには、平らな平ガ岳や槍のように天を指す荒沢岳、小倉尾根を伸ばす越後駒ヶ岳、それらの後ろに中岳や大水上山から会越国境をたどり巻機山まで追って行けた。丸山岳への尾根を登るがなかなかたどり着かない。ここまで7時間、まったりとした稜線をYo.TさんのGPSでピークを確定し、強い風の中、全員で記念撮影をした。背景には山は入らず、表示もないから写真を見ても、どこだかよくわからないところがおかしい。丸山岳からは会津朝日岳がギザギザした稜線と藪が続いていた。ちょうど12時となり、いつ帰れるのか不安をよぎらせながら、まあ、懐電覚悟で来たトレースをたどる。まだ、雪になれていないKa.Iさんを絶えずはげましていたHi.Tさんは行きで前に、帰りは後ろからリードをし、Ka.Iさんもよく頑張った。Te.Iさんは腰が痛いと言いながら前後を見ながらいい写真をねらっていた。Yo.Tさんは前半エネルギーを使ってしまったようで後半はかなり疲れたようだ。Sa.Hさんは、前半は後ろからKa.Iさんにさりげなく声をかけ励ましながら、後半はトップに出て全体をリードした。ところが、私がはしゃいで梵天岳から高幽山まで暴走してしまったので、みんなの怒りと疲労をあおってしまった。いやー早速やってしまって、反省である。その後、途中で雪を食べたため、胃を痛めてしまい、消化器官が動かなくなり、冷や汗だらだらと動けなくなる。どうにか、みんなの後ろを少し遅れながら付いて行けた。しかし、幕場についても胃は痛くて夕食を抜くことになってしまった。どうしようもない山屋だと、自分ながらあきれた。そんなこんなだったが、7時、懐電を出す前にテントに着くことができた。ほんとだったら、ここで宴会の訳だが、疲れで夕食後、4名は早めに寝ることになった。しかし、さすがHi.TさんとTe.Iさんは遅くまで飲みながら、熱心な討論で盛り上がっていた。

5/3(水)
この日も晴れだ。次の幕場は会津駒ヶ岳の手前ということでゆっくり出発である。Yo.Tさんが復活し、淡々とリードしていく。三岩岳に登っていくと、燧岳の姿が浮かび上がる。途中で上州武尊から丸山を越えて会津朝日へ抜けるというスキーヤーとすれ違う。なかなか楽しそうなルートを引いているなーと感心した。三岩岳のシンボルとなっている岩を目標にしながら広い斜面を進む。途中にあるはずの小屋は雪に埋まっていたようだ。三岩岳のピークからテカテカと光る中門岳が目に飛び込み、越後駒ヶ岳ピークが見えた。そして、2060m付近の鞍部で早々と幕場とする。テントを貼り、外にテーブルを作り、宴会の始まりである。私も内臓が復活したのでもちろん参加である。Hi.Tさんは裸足になって雪の上を歩いて「気持ちいい」と。本当かどうかはわからないが。


三岩岳を過ぎての快適なテントサイト

5/4(火)
夜になって風が強くなるが、風は暖かい。空には雲が広がっていたが、春は曙というように太平洋側はかすんで見えた。新潟側が暗いので、天気が下り坂かと思ったが、そのうち回復してきた。会津駒ヶ岳に近づくと、人が増えてくる。雪もシャーベット状態になり、GWらしくなってきた。ここまで来ると、人臭くなりうんざりしてくる。駒ノ小屋の前には480円のビールが並んでいたが、つばを飲んでスルー。後はぐずぐずの雪を蹴散らしながらひたすら下山である。わずかに開いたタムシバがさわやかに下山を迎え、登山口では紫のかわいいエンレイの花が出迎えてくれた。そして、駐車場近くでは、ふきのとうのおみやげを集め、最後は、小豆温泉で汗を流し、隣の駒の茶屋でおいしい蕎麦をいただき満足である。ちなみに、駒の茶屋を利用してから温泉を利用すると200円の割引になるが、順番はそうはならなかった。また、おみやげに、ぼうぼう菜100円を買って帰る。おひたしにすると、とてもおいしく好評だった。
今回、労山のメンバーに加えていただき楽しい山行を味わうことができました。ありがとうございました。また、よろしくお願いします。 (Sh.S記)


丸山岳山頂にて


会津駒ヶ岳

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