【山行日】H28年6月2日~3日
「春から初夏にかけ深山の雪の残る渓流沿いに清楚かつ妖艶な花が咲き競う」と図鑑で紹介されているメギ科の『戸隠升麻(トガクシショウマ)』を求めての山行である。戸隠升麻は戸隠草とも呼ばれ長野の戸隠で見つかったが、残念なことにそこでは戸隠森林公園で保護されているのみのようである。鳩待峠近くで同じくメギ科の山荷葉(サンカヨウ)が咲いている。更に山の鼻付近でもメギ科の葉が牡丹の葉に似ている類葉牡丹(ルイヨウボタン)も咲いているがハイカーは気付かないのか通り過ぎていく。他にも白根葵(シラネアオイ)や白山千鳥(ハクサンチドリ)、延根千鳥(ノビネチドリ)等も咲いている。6月の尾瀬の定番は『水芭蕉』だろうが、その水芭蕉の白い仏炎包は殆んど見当たらない。立金花(リュウキンカ)もあまり咲いておらず白く傷んでいる花弁も多い。Kkさんが以前来たときにたくさんあったという朱鷺草(トキソウ)等も行き帰りとも捜したがとうとう見つからなかった。立山竜胆(タテヤマリンドウ)はあちこちに咲き、蕾もたくさんある。姫石楠花(ヒメシャクナゲ)も咲いている。が、共に小さい花の上に木道もあり思った通りの被写体になってくれない。鈴蘭のような葉で蕾を着けた草もたくさんある。木道の整備のためかその草が倒れた辺りからはニンニク臭がプンプンするので行者大蒜(ギョウジャニンニク)と判る。登山道にも回りの山々にも雪は見当たらず至仏山にほんの少し残っているだけである。燧岳も雪は見当たらないが、頂上は雲に隠れている。が、雲が途切れると雪が降ったのか、霧氷が出来たのか白く見える。燧小屋でテント泊の手続きをする、その時の話では水芭蕉は2週間ほど早く咲いた上に遅霜の被害に合ってしまったと言う。お目当ての『戸隠升麻』も4、5日前に咲き終わってしまったという。でも、折角来たのだから自生地の葉だけでも見よう!と探しに行く。戸隠升麻と思われる実と葉を着けた株を幾つか見つけるが、やはり花はない。次回に期待を込めて、葉と実の写真を撮った。諦めて帰ろうと振り替えると、花を着けた一株が此方を見て微笑んでいる。薄紫色の目立たないが奥ゆかしいお嬢様のような花であった。テント泊の夜は寒かった。星空が見えるが、2年2ヶ月毎に地球に近づく火星は雲から出ると、すぐまた隠れてしまった。寒くてもう外に出る気になれない。朝方も冷える。霜は降っていないように見えたがこの日も大霜だった。三条の滝に歩き出すと蓮華躑躅(レンゲツツジ)や木々の葉に霜が着き綺麗である。が、帰りには蕾も花も霜害でシュンとなっている。沢を横切るときに戸隠升麻を探すが見つからない。両岸が崩れた感じはなく昨日咲いていた付近と雰囲気が異なっているように感じる。微妙な条件下で戸隠升麻は自生するのであろうか。帰りの尾瀬ヶ原は金曜日なのか旅行会社や学校等の団体も多く混雑している。だが、自然を感じないような急ぎ足のハイカーも多い。(記 TK)
【メンバー】K原塚Kk、S々木(雅)、TK