2018年6月21日
林道で、曇り空の中カメラをセットし (たぶん被写体は富士山) シャターチャンスを伺い車内で待機している。そこは右折する箇所を間違えてひとつ手前の林道を右折してしまい池の茶屋林道ではなかった。地元から送って戴いた地図を恥ずかしくも読み違えていた。
池の茶屋林道終点には三台程度駐車し、その一台の四人の女性たちが出発するところで、私達とは逆コースのトレッキングコースを行くらしい。アヤメやラン類などの花を探しながら登る。
木曽千鳥(キソチドリ)の仲間と思われる黄緑色の花を着けた蘭を見つけるが同定出来ない。
次に、根元に葉が一枚ついている蘭らしき花を一株見つける。初めて眼にする一葉蘭(イチヨウラン)らしい。
さらに葉緑素をもたない腐生植物もあった。
寅吉蘭( トラキチラン:神山虎吉氏が発見 )も腐生植物の蘭だか、明らかに異なる。 かなりの稀少種の花であるトラキチランは以前お客様が撮った写真を見せてもらったことがあり、いつかはみたいランである。
裸山は曇り空で展望は期待できないのでパスし「原生林の森」の中を歩く。大木が次々と現れる。サルオガセもあちこちでぶら下がっている。
寄生しているようにも見える。調べてみるとそうではないらしく、「葉緑素を持ち、コケに似ているが地衣類」とあるが、どういったことか具体的にイメージ出来ない。
バイケイソウ、マルバダケブキ等が所々に群生している。鹿にとっても毒があるのか?不嗜好植物のためか食べないようである。食糧不足になれば食べざるを得なくなるらしいが。子鹿もいたし鹿の鳴き声も聞いた、ずいぶん鹿はいるように感じる。針蕗(ハリブキ)もある。
アヤメ平にはアヤメの葉は見つけられるも蕾を数輪確認できる程度であった。
「東洋一のアヤメ群生地」と書いてあった櫛形山を十年以上前に計画したときに地元に問合わせたら「ほぼ絶滅状態(その当時は原因不明と聞いた)」と言われ中止したが、今もまだ回復途中のようである。原因は登山者の盗掘や踏み荒しより鹿の食害のほうであったようで、鹿避けの柵で保護されている。キンポウゲ、フウロの花も見られ、九階草 〈九蓋草 とも〉(クガイソウ)の葉もたくさんあり花の時期は壮観であろう。
ラン科のテガタチドリ?と思われるランも咲き始めている。根が手形の形を、花は千鳥をイメージし名付けられた。
ガイドブックには、『櫛形山の敦盛草(アツモリソウ:袋状の唇弁を持つ花の姿を、平敦盛の背負った母衣〈ほろ〉に見立ててつけられている ラン)は無くなってしまったが、「黄花の敦盛草(キバナノアツモリソウ)」は少し残っている』と書いてあった。が、最近のネットではその「黄花の敦盛草」を見た情報はなく最悪の状態も考えられる。高山蝶のクモマツマキチョウも今は見られないようである。
駐車場からほぼ同時に出発した女性も着いたので往路のトレッキングコースの状態を訊ねてアヤメ平を出発する。南ア方面の展望台もあるが、雲に隠され笊ヶ岳しか見られなかった。
駐車場に一輪の開花したアヤメを今年初めて見つける。逆コースをたどった女性四人も帰ってきた。パスした裸山の開花したアヤメと富士山の写真を見せて貰ったが後の祭りである。
しかし、帰りの林道では富士山が綺麗な姿を見せていた。夕陽が当たりほんの一部分のみ赤く見え、北斎の「 凱風快晴 」の赤富士を思い浮かべる。あの林道のカメラマンは傑作をものにしただろうか?
【参加者】K塚、I田、S水や、T橋か
記:T橋か