谷川岳主脈縦走 3年越しの妄想が実現

2021年7月16日~17日

大宮駅から宇都宮線の快速「ラビット」に乗って水上駅に到着する。山スタイルで降りたのは私と同じ年齢のご婦人1人。谷川ロープウェイ行きのバスに乗りこんだのは私一人きりだった。

ロープウェイ乗り場には観光客がちらほらと。山の頂は雲に隠れている。ロープウェイ終点からさらにリフトに乗ってみた。足元にはニッコウキスゲが風に揺れている。リフトの終点でお昼を食べ、肩の小屋までの登山を開始。

歩きなれた天神尾根は、次々と登山者が下山してくる。「これから登ると、きっと上は晴れてるよ。午前中は雲の中だったけど」と、男性が話しかけてきた。

到着した肩の小屋の上空をヘリコプターが何度も地上と行き来して荷物の運搬をしている。新しいトイレを設置するための機材を運んでいるという。夕刻になると雲が濃くなり、風も強くなって作業は途中で中止になり、作業員達は下山できず、肩の小屋泊りになった。

翌日4時に起きた時には、もうヘリコプターの近づく音が聞こえてきた。山小屋の管理のための民間ヘリコプター会社が経営的な苦境に立たされているという記事を最近読んだばかりだったので、とても身近に、ありがたく感じた。

天気は快晴、1か月前に馬蹄形を歩いた時に、TNさんから、「ここが縦走路の歩き始めだよ」と教えてもらった小屋前から歩きはじめる。目の前には俎嵓山陵が朝日に輝いている。

誰も歩いていない登山道、道は笹が切り払われ歩きやすい。聞こえてくるのは鶯の声と、深い谷間から届く渓流の音だけ。

俎嵓山陵が朝日に輝いている

薄ピンクの小ぶりなシャクナゲ、ニッコウキスゲなどが登りのしんどさを癒してくれる。

オジカ沢の頭付近の岩稜帯は濡れているし、ざれているので緊張する。大障子の頭の岩場を過ぎると万太郎から延びる吾作新道が大きく見えてくる。なかなかかっこいい尾根だ。

後ろを振り返ると、茂倉岳から延びる茂倉新道、蓬ヒュッテから延びる蓬尾根、秋に登った大源太山、そこから延びる七つ小屋山、馬蹄形の峰々が眺められる。自分が登った山々の連なりが見えてとてもうれしい。

万太郎吾作新道

万太郎の山頂で一息入れ、ここから始まる下りと登りに緊張していると、後ろから明るい男性の声がする。小さなザックと軽登山靴。「頑張ってください」と声をかけてくれる。今朝、西黒尾根を登ってきて、平標まで行くという。あっという間に後姿が小さくなってしまった。最低鞍部から仙の倉山への登り標高差500mは息が切れて、足が進みにくい。ゆっくりゆっくりしか登れない。

山頂が近づいてくると、下ってくる登山者も多くなり、ふと頂上を眺めると大勢の登山者でいっぱいだ。登山道から一歩、開けた山頂に着いたら、赤い顔をして休んでいた男性が「お疲れさま」と声をかけてくれ、「ここにどうぞ」と座るスペースを開けてくれた。「どこから歩いてきたの?」というので、遠くに見える谷川岳を指さすと、「へ~、遠いね。」

宇都宮在住で栃木の山は良く歩くらしい。白馬岳での冒険談などお話してくれた。山の家経由のエスケープルートにしたら、一緒に下山して越後湯沢まで車で送ってくれると言う。もう少しお話聞きたいと思ったので、お言葉に甘えた。大宮労山のHPの案内をして山行記録読んでくださいとお願いした。気さくで気持ちの広い、楽しい方だった。お名前くらい聞いておくべきだった。

仙の倉山

<行程>

7/16 天神山リフト終点12:40—肩の小屋14:40

7/17 肩の小屋4:20-オジカ沢の頭5:40—大障子の頭6:50—万太郎山7:50—最低鞍部9:06—エビス大黒の頭10:30—仙の倉山11:45~12:15—平標山13:00—平標登山口16:00

21.5㎞ 標高差+1913m —2505m

メンバー:MS(単独)

 

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