裏妙義

木戸壁カンテ・実践マルチピッチ/今年1年を振り返り

2025年11月26日(水)

かねてからマルチピッチの練習は、インドアやつづら岩でコーチしていただいていたが、マルチの実践として木戸壁カンテへ連れて行っていただける事になり、これほど喜ばしいことはないのだが、岩場で40m程の高さの経験しかない私は木戸壁の5ピッチ、約120mの高さという未経験の高さを前にして1週間程前から期待と不安が入り混じり落ち着かない日々を送っていた。
当日、川越駅で集合して妙義の国民宿舎へ車を停めて入山する。

丁須の頭などもこの道から入るようで、そちらへはまた改めて来たいと思う。
登山道を道なりに進むと40分ほどで取り付きの洞窟に着く。見上げる木戸壁はゴツゴツした岩肌が荒々しく聳えている。

着装のち取り付くが、予習によれば1ピッチ目が悪いとか2ピッチ目が核心だとか4ピッチ目が核心だとか好きずき書かれていて、結局何を信じていいのか分からないままホールドを掴む。

私は1,3,5pをリードさせてもらったが、リードした中では1p目の最初の支点までが一番悪かったように思える。とはいえ、悪いとされている2,4p目はリーダーであるYKさんにリードしていただいたので、安心感は計り知れない。

2p目の軽いハングを越えて3p目をリードして松の木テラスへ。この次の4p目で少しトラバースしてカンテへ躍り出る。登りで怖いと思ったのはこの瞬間だけで、それまでフェイスだったので視界が狭く高さに対して怖いと思わなかったが、このカンテに出た瞬間に視界が一気に開けて高度感への恐怖を覚えた。しかし、それも落ち着いて周りを見渡せば見晴らしが良く気持ちが良い。

要は気の持ち様なのだ。恐怖に飲まれないように先へ進む。本当に高所恐怖症でなくて良かったと思える。
4p目を越えて最後の5p目は緩い斜度だが、眼前の土を被ったトイ状を避けて、直登せずに右に回り込みながら登ると終了点だ。結城さんの到着を待って懸垂下降の体勢を取る。ここの岩はたどん岩というらしく、ゲンコツのようにボコボコした岩が張り出し、ロープを投げ落とすと引っ掛かってしまうので腰の左右からロープを繰り出して懸垂下降する。

ロープ2本で2p分、松の木テラスまで下降するが、この懸垂下降する際にロープに自分の体重を預ける時が一番怖かった。
しっかりとしたボルトで安心なハズが余計なことをじりじりと考えてしまう。念の為にバックアップを取っておいたフリクションヒッチがロープの重さで効いてしまい、余計にヨチヨチ下りだ。
これも経験なのだろう。もっと本数を稼がないといけないなと下りながら思っていた。

途中、ロープダウンの際にロープを岩肌に引っ掛けてしまうも、なんとか3回の懸垂で地上に戻る。
やった!やり遂げた!!
先週からの緊張と考えればどれほどの達成感と開放感だったろうか。
リーダーでありパートナーとなっていただいたYKさんのお力添えあっての事だったと思うが、一つの目標を回収できた喜びは大きい。
色々と反省すべき点はあるが、何よりも見かけのグレード、情報に飲み込まれない事が肝心だと今回の木戸壁カンテを通して学んだ。予習は大切だが、数字や情報に怯んで挑む心まで萎えさせてはいけない。
今回もどこが難しい、どこが悪いなんていうネットの情報を目にしていたが、正直登攀については難しいと感じるところはなかった。書き手の感性も技量も分からないのだからその情報を真に受ける方がおかしいのだ。出来ないから予習をするのは当然だが、その情報は参考として、自分自身で見極めることが大切だとつくづく感じさせられた。
それとともに、この木戸壁カンテまでを振り返り、ここまで押し上げていただいた大宮労山の諸先輩方には感謝しかない。もちろんまだまだこれからも続いていくが、教えてくださる方々の情熱を受け止めて、熱意を持って山に向かっていきたい。
以上をもって、今年1年の山行文の締めくくりとしたいと思う。
来年も頑張るぞ!


(お土産のネギも忘れずにね)

■メンバー L:YK、TD、MB、SM
■ルート  国民宿舎跡~(丁須の頭登山道)~木戸壁取り付き 往復

 

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