船形山;大倉沢;鬼口沢下降―笹木沢 ブナの自然に抱かれて

山行実施日;2013年10月11日~13日
参加メンバー;Ke.H、To.H、To.U、Mi.T、Ma.A、Ru.T、Ka.S、他1

ルート;柳沢小屋~粟畑~1250m付近の池塘・鬼口沢下降~笹木沢~林道~栗畑

10/11(金):21:30北本-27:00柳沢小屋
10/12(土):7:30小屋・・・7:48駐車場・・・8:27粟畑・・・10:38 1250m付近の池塘下降・・・
15:40V字ゴルジュの先の河原BP
10/13(日):8:00BP・・・8:36軌道線の残がい・・・9:47出合い手前の滝を高巻く・・・
10:45笹木沢出合い・・・13:15 30m滝・・・15:43二俣・・・16:10林道・・・16:54駐車場 -24:00過ぎ北本

11日(金)
震災のこともあり、東北に視線がひきつけられるということもあるが、船形山のブナの美しさに魅かれる。芽吹きか紅葉の時期に、ブナに覆われた自然に抱かれながら歩いてみたいと想っていた。

沢を1本登るというよりも、山域を歩き肌で味わいたいと。実は2年前にも計画したが、アプローチ敗退をしてしまったので、リベンジである。

今回、10月にしては気温が高く、夏?から秋の空気の変わり目に当たった。予報としては12日の朝ぐらいから雨が上がりそうだったが、秋の気配は浅かった。

船形山は別名;五所山というが、船形山を中心とする5つの峰(五所)から由来され、途中の仙台カゴ(加護)や最上カゴなど修験道の道場だったようだ。船形山は奥深く、なかなか姿を見せてくれず奥ゆかしい。

黒伏スノーパークからの林道ができたので、稜線へのアプローチは極めて楽ちん。柳沢小屋もいいところだ。

夜中に柳沢小屋に着くと、雨が小屋を濡らし下草に水がたまっていた。夜中の来客に驚いたか、ムササビが頭の上を飛んで行った。小屋の入口には薪が積まれ、中にストーブが置いてあり、その脇に先客が1人。我々はそっと2階に上がり、ささやかな入山祝いをして横になった。

12日(土)
2階は日差しが入ってこないので朝の訪れがわかりにくいが、わずかに明るくなり始めた。雨は上がらず、小屋を囲む針葉樹がガスでうっすらとしている。その下には、引かれた管から豊かな水が流れ落ちている。沢靴を履いて荷物を準備し車に乗り込む。林道は整備され、H竜さんの慣れた林道運転に、脇から飛び出している草が蹴散らされていく。

林道の終点につくと、車が何台も止まっていた。登山者に出合うことはなかったが、人気があるようだ。さて、ヘルメットをかぶり、煙るブナ林の間を分け入っていく。苔の腹巻をした大きな樽腹のブナが出迎えてくれた。命あるものすべてをやさしく包み込むような息づかいに、来てよかったとしみじみ感じた。

林道には、落ち葉とともにブナの実の殻がたくさん散らばっている。白いベールに立ち並ぶブナが静かに奥へと導いてくれる。まもなく、稜線に出ると粟畑の表示があった

穏やかな稜線の林道を辿って行き、1250m付近を越えたところにわずかな池塘があり、そのまま藪を進んで下降を始める。しばらく藪っぽい沢を下る。いくつか出合う沢を加えて水量が僅かずつ増えて行くが、なかなか沢が広がらない。うんざりしてコースの選択を誤ったかと思う頃、V字ゴルジュが現れた。

グリーンタフ(緑色凝灰岩)と呼ばれるもののようだが、粘土質のような中に石塊のようなものが含まれている。へつりを繰り返し下り、滝に出て懸垂をする。2回目はそのままくだれそうだったが、藪に支点を作ってトラバース懸垂だ。朝から小雨で寒くなり、V字ゴルジュが片側切れた最初の広場で幕にした。

さっそく、H高さんが焚火を起こしてくれる。流木はあるが、雨の中で燃えるか心配だったが、ばっちり煙りが立ち上り、みんなの体を温めてくれた。着替えを持っていない私にとっては何よりの救いである。寒さで振りえた手に酒の入ったコップを持ち、まずは乾杯だ。

秋は、紅葉と焚火と星と酒!といいたいところだが、焚火と酒があれば、全く文句なしである。タープの下にツェルトを張り、完璧だ。H高さんはタープの下で、沢の風を受け気持ちよさそうであった。中ちゃんは雨が時折ぱらついていたが、焚火の脇でごろ寝。沢はこれが一番である。

しかし3時ごろの雨が強くなりツェルトに潜り込んできた。4時ごろ、H高さんがタープを持ち上げ、溜まった雨を流すと、H竜さんが「つめてー!」と叫んだ。後で聞くと、ツェルトから顔を出していて、まともに水を被ったとのこと。これは目が覚めるね。

私も目が覚め、トイレに行ったあと、焚火を起こしてコーヒーを飲みながら朝を待った。

13日(日)
天気は回復の様子がなく、雲が流れている。ぼちぼち出発をするとすぐに滝にでた。H高さんが残地のスリングにロープを通し懸垂を開始する。左を見ると巻けそうなので行ってみるとOK。「H高さん、すいませ~ん。」と滝の下で迎えた。その下はV字ゴルジュもなく、河原とブナ林が広がり、「うつくしい」の言葉と倒木に顔を出すきのこ達である。

そして、鉄の残骸が横たわったところが軌道線跡で、ここまで届くと快適な幕場だったかな~。その後、沢が狭くなり滝に出る。高巻いて軌道線跡に出てちょっと下ったところから下降すると沢床にも乗れ、ようやく笹木沢の出合いである。やっと出合いが笹木沢だ。どんなにすばらしいものかと期待する。

初めは小滝が続き、陽射しが沢に注ぐようになる。一枚岩のナメが次々と現れ、昨日の苦労があっての笹木沢かな、喜びがひとしおだ。手ごろな滝を越えて行き、いよいよ30m滝である。最後はちょっと甘いようだが、なんなく登れ、ザイルで確保しながら快適に登る。その後、小滝をいくつか越え、ブナ林に囲まれた河原歩きに酔っていると、タイムアップが迫っていた。

天気は良くなったが、寒気が入ったようだ。下山を考えての予備日を確保してあり、もう1泊してもよいが酒もないので、とりあえずがんばって下山ができるようにする。稜線に出るとみんなの笑顔がすがすがしい。仙台カゴを見ながら粟畑に向かう。粟畑を越えても仙台カゴが見えると思ったら、それは最上カゴであった。寒気が入り緑だったブナが色づきはじめ、こんなに変化するのかと驚かされた。

柳小屋につき温泉も考えたが、終電に間に合うか心配になり、そのままコンビニによって夕食を車で食べながら埼玉をめざした。3連休の中日というのに高速道路が混んでおり、終電には間に合わなかったものの帰埼することができた。

※予備日があったので、もう1泊して、風呂と宴会をして朝帰ってくれば良かった。  (Ka.S記)

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