西上州再発見の楽しい山旅

山行実施日;2010.05.16
参加メンバー;Hi.T、Na.G、Ki.K、Sa.H、Mi.M、To.U

昨年の晩秋、烏帽子岳からもうすでに地図の上では廃道化されている黒川峠を越えて大仁田ダムに下る道なき道を歩きました。私の知人の母が上野村の黒川集落の生まれで、戦後間もない頃まで黒川集落と大仁田集落は行き来していた時代があるそうです。私は歩きながら、タイムスリップしているような気になり、ますます県境の峠道や集落と集落を結ぶ昔道に興味がわくと同時にそこに暮らす人々の生活、思いにひかれていきました。
その後、幸運なことに今年の春、3回の西上州の山行きに恵まれました。1回目は地図読み山行の大仁田越えです。地図読みは色々なことがあって途中で戻りましたが、私にとってはそのことがとても勉強になったと思っています。迷ったところにも炭焼きのあとや踏み跡があり、高度経済成長の前までは生活の場としての山がそこに残っていて、峠越への道もあったのではないかと思いました。

次は女性5人で5月2日,3日で上野村のテント場に一泊して静かな山歩きを楽しんできました。初日はスーパー林道を利用しての赤久縄山です。山頂からは明日登る天丸山や大山などの県境の鋭い峰々が一望できました。2日目はスイセンや色とりどりの花の咲く、奥名郷の集落を通り天丸山登山口に駐車し馬道コースから大山を歩きました。馬道コースは昔、上州と甲州とを結ぶ山道があったとかで天丸山の西斜面をトラバースするように、馬道のコルまで歩きやすい道がついていて、途中広い所や水場もあって、所々に咲くアカヤシオに目をやりながら気持ち良く歩けました。しかし馬道のコルから先の天丸山は、設置ロープに助けられ岩峰をよじ登りました。さらに先の大山も西上州特有の岩山でしたが、山頂からの眺めは素晴らしく目の前にオオナゲシ、赤岩尾根から続く両神山、遠く西のほうには雪を被った八ヶ岳も見ることができました。
次いでに馬道のコルから先の甲州に抜ける道は、今はどうなっているのか、行ってみたいと思います。

3度目は十石峠、大仁田越から繋がっている尾根の一番北にあるククリ岩です。ククリ岩へは南牧村勧能から三段の滝の沢を詰めて登りました。沢を詰めて途中からククリ岩に繋がる尾根に出たのですが、この先には踏み跡が付いていてククリ岩には標識も立っていました。ククリ岩から、二子岩、大岩のコースは地形が複雑でしたが踏み跡や赤テープに助けられました。2万5千の地図にも載っていない静かなコースでしたが尾根の東は植林されている所があったりで、山仕事の人や山好きの人が時々歩いているのかなと、ちょっと嬉しい気分になりました。きっと十石峠からククリ岩にも抜けられるのではないかなと思います。
沢あり岩ありの変化に富んだ9時間近いコースでしたが、鳥の声や花に慰められ、新緑の山歩きを十分楽しんだ、充実の一日でした。

十国峠の展望台から見た西上州の山々はまだまだ登りたい山、昔道、行ってみたい村々など目の前に広がっていて、いつまで見ていても飽きる事はなく、興味はつきません。この地は埼玉、長野と接し、秩父や佐久などの幾つもの谷越え、尾根越えの厳しい峠道があり、人々が行きかい交流があったかと思うと、何か身近に感じられます。家々の煙だしの付いている屋根や養蚕やこんにゃく芋の貯蔵に使用されていた二階作りの家を見ると、同じような体験をして育った小さいころの事が思い出され、懐かしく思います。こんな西上州にこれからもこだわって、登り続けていけたらと思います。(Ki.K記)

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