山行実施日;2011.08.26-28
参加メンバー;Sh.S、G2
8月26日(金)
今回は、寛ちゃんが参加。寛ちゃんは2年前の東御築江沢以来である。結婚してから許される沢は年に1回となり、失敗は許されない。寛ちゃんは「焚火が楽しめればいい」というが、それでは物足りないはずだ。焚火だけなら、キャンプに行けばいいのだから。さて、どこがいいかと考え、確実に帰ってこられ、アプローチに時間をかからないところ・・・谷川周辺しか頭に浮かばない。8年前に単独で行った赤谷は、ボルダーチックの巨岩帯と、万太郎岳と俎嵒に包まれた草原の詰め上がりだけが印象的で、もう一回行ってもいいかと計画する。寛ちゃんにSLをお願いし、電車でのアプローチとする。計画では、26日の夜発だったが、余裕を持って行動できるように、26日の朝の出発にし、アプローチの時間を稼ぐ予定だった。だが、天気はいまいち。26日に前線が北から太平洋側に南下し、雷を伴う豪雨が予想された。さすがに山には入れない。高崎から沼田に行く間で前線による豪雨をかいくぐり水上に着く。我々は、前線が過ぎ去ったとは思わなかったので、土合停滞・水上BPで、27日の朝出発にした。土合は、川口のボーイスカウトがいたり、ラフティングのテントなどが広がっていたり、山屋の姿は影を潜めていた。我々は、駅の石段の上でガスバーナーに火をつけ、27日朝の食料にしていたスパゲティーを昼食にする。行動をしていないので、なかなかお腹が空かず、ぼーおっと時だけが静かに過ぎていく。白毛門岳を仰ぎながら水上行き電車を見送ったり、持ってきた篠笛に息を吹き込んだりして遊ぶ。そして、終電で水上に戻って鍋を食べて、土日の遡行に願いを託し、タクシーを予約して寝る。
8月27日(土)
天気はくもりである。ゆっくりはしていられない。タクシーが来てくれたので、早めに出発をする。川古温泉の裏のゲートぎりぎりまで入る。私は水上で沢靴を履いてきたが、寛ちゃんと中ちゃんはゲート前で履き替えた。そして、落ち葉の上に、中ちゃんの指が触りそうになったものはヒルだ。以前来たときも、ヒルがいるとは聞いていただが、会わなかった。しかし、今回はちがう。林道を歩いていると、たくさんのヒルが目に付き、アンテナを持ち上げている。そして、何匹も靴をよじ登ってくる。かなり増えているようだ。林道の途中でサルの群れにあったが、動物たちがヒルの生息範囲を広げているようだ。林道は、金山沢の出合までが広く、その対岸はよい幕場になっていて、釣り屋が数名いた。以後の登山道は細くなり、ヒルもいなくなる。登山道の徒渉点には赤ペンキがしっかり塗られていた。
赤谷川本谷の入渓点である。たっぷり汗をかいたが、水は冷たい。少し河原を行くが、前方には両岸が岩壁になり、熊穴沢の滝やマワットノセンの白い線が浮かび上がり迫力がある。まもなく、マワット下ノセンに着く。釜まで入ると滑っているが登れなくはない。右岸に残置ハーケンがあり、スリングを通して保険をかける。寛ちゃんは半袖で体を震わせながら、かなりの緊張感だったようで中ちゃんを心配して待っていたのだが、その中ちゃんはキジ打ちにいそしんでいた。私は、いやーそんなもんかと、登った岩の上からその様子をうかがい・・・。ちょっと巻いて、沢床に戻ると歓声があがる。熊穴沢の出合を過ぎ、マワットセンである。ちょっとやらしい草つきを登って巻き、いよいよボルダーっぽい巨岩帯だ。ほのかに寛ちゃんがうきうきしだす。そそり立つ両岸の壁の中、巨岩をすり抜けたり、潜ったりと、体で知恵の輪を体感しているようなおもしろさだ。そうしながら高度を上げていく。どこまで続くのかと思うほど。そう思う頃、裏越しノセンが堂々と流れ落ちていた。すぐ脇のガレたルンゼから登り、沢床に戻る。
そして、ようやくトウドウセンに着いた。 初めの滝を覗き込むが、どうにも手がつけられない。少し戻って巻きに入る。ルートを探っていると、16時半を過ぎ、タイムオーバーになりそうなので、登り始めた最初の棚を幕場とした。水は岩壁から流れる岩清水を溜めた。中ちゃんの意地で何とか焚き火もできた。ご飯を焚き火で炊いた。そして、煮込んだモツ煮の具を味噌に漬けたものをビリー缶に水を足して煮えたところで、私が鍋をひっくり返し、終了~となってしまった。500gのモツと大根、人参、ゴボウ、こんにゃくが、赤谷の大地に眠ることになった。我々はつばを飲み、モツ煮の冥福と我々の前途を祈った。中ちゃんが背負って来てくれたビールが旨かった。夜になって雨が降ったが、気持ちよく寝られた。
8月28日(日)
荷物が減ったところで巻きに入る。雲が薄くなり、天気の回復していく感じだ。中ちゃんの手は虫に刺されて腫れ上がっていた。1507mの小ピークを目指して登っていく。途中でトウドウセンが見え、枝尾根に出ると河原が見えほっとする。トラバース気味に下降するが、寛ちゃんはすごい勢いで降りていく。草原のような草つきが広がると喜びにあふれ、転がるように降りていった。後からゆっくり河原に着いて聞くと、芝滑りではなく、草滑りを楽しんだとのことだ。「止まると思ったが、止まらないねー」「バンドを足でガツンと止めたよ」と言っていた。いや、大胆である。寛ちゃんは、高巻きのルート選びが少し解ったようだとのこと。快適な河原が広がり、ひたひたと歩いていくと、8mの滝が現れ、小さく巻く。当たりはぐっと広がり、一気に緊張感が薄れ、開放感に浸る。すると、寛ちゃんは河原を歩いていて急に転がり腿を打ってしまい、かなり痛そうだ。以後は後ろからゆっくり付いて歩いてきた。万太郎岳や稜線が見えてくる。小ゴルジュは快適に、へつったりまたいだりして越えていき、再び河原に出た。草原状のお花畑を俎嵒の尾根やオジカ沢の頭を仰ぎながら青空に向かって歩いていく。気持ちがよい。しかし、後方では雷雲が広がってきており、気持ちは急いで稜線に向かう。笹藪を分けて稜線に出て、避難小屋に着くとホッとする。源頭で最後の水を水筒に汲んでいるときには青空があったが、稜線に出る寸前でガスが広がり景色を楽しむことができなかった。それでも、雷ではないので安心する。肩の小屋からは人が多くなったが、最終のロープウェイに余裕で到着して下に降りると、ちょうどバスが出るところで水上まで乗ることができた。水上の駅前で暖かいうどんを食べ、タクシーで上牧の風和の湯で汗を流し、上毛高原から新幹線で帰埼した。
私は久しぶりに左足の爪が死に、寛ちゃんは指の爪が割れたようだ。足は痛いながら、帰ってくると次の山行が楽しみになってくるから不思議なものだ。
ルート;川古温泉~赤谷川~オシカ沢の頭~谷川岳~天神平
日程;8/26(金)7:11上尾駅-水上駅-12:44/18:22土合駅-18:33水上駅BP
8/27(土)5:40BP-6:08/6:24川古温泉-9:10赤谷川入渓点出合・笹穴沢出合-
9:50マワット下ノセン-10:40マワトノセン-巨岩帯-13:50裏越しノセン-
15:30トウドウセン-17:00トウドウセンの高台BP
8/28(日)6:00BP-8:40 トウドウセンの上-9:00 8mの滝-10:00小ゴルジュ帯-
10:20河原-13:14オジカ沢ノ頭の避難小屋-14:44/15:00肩ノ小屋-16:40天神平-
17:00バス-水上駅-お食事処ちゃこ-上牧風和の湯-20:41上毛高原駅-21:30