山行実施日;2014年1月3日~5日
参加メンバー;Ka.S、To.H、Ta.S、G1
ルート:行者小屋~阿弥陀北稜~阿弥陀一般ルート
日 程:1/3(金)6:30北本駅-10:30赤岳山荘-14:00行者小屋の手前BP
1/4(土)5:50BP-8:11F1下-9:20F2下-9;45F2上-10:45ピーク-12:15阿弥陀岳登山口-12:30BP
1/5(日)BP-赤岳山荘-もみの湯-北本市役所
1月3日(金)
圏央道で八王子から中央道で南諏訪に向かう。甲府盆地に入ると、すっきりした青空に茅ヶ岳が右に、左には鳳凰三山が姿を現し、甲斐駒ケ岳が私たちを見下ろしているようだった。デコボコと並ぶ山並みの八ヶ岳は、甲府から見た姿かと思える。天女から尾根を辿り赤岳のピークを見つける。
これほど鮮やかに稜線に目を配らせて眺めることは少ないなーと。まあ、いつもは前夜発の暗い中を走っているのだから、晴れていてもその姿を目にすることはなかったが。
正月の雪の状態が気になりながら、好天気が続いていたし、正月後なので、トレースの心配もなさそうだし、3~5日も天気がよさそうなので、気楽な正月後の山行を期待して車を進める。
美濃戸口からも林道は圧雪され問題なく美濃戸まで入れた。駐車スペースを探してどうにか止める。駐車場から阿弥陀岳がどんと構えていて、私たちを迎えてくれた。これ以上ない天気である。
行者小屋に向かう登山道も適度に雪が積もっていて滑る心配がない。今回はベースを張ってのトライ。荷物を背負うのは若者ということで、背負えるだけいくらでも、と。それにしても山のような荷物になった。歩く途中で体を倒し、ストックで支えながら呼吸を整える。
なんどもそんなことを繰り返しながら北西稜の取り付きの少し上を幕場にした。テントを張ったところで、とりあえず、阿弥陀北稜の取り付きを偵察に行く。
下から北稜のルートがしっかり確認でき、ちょうど北稜からもどってきたパーティーにあい下山時も話を聞くことができた。幕場に戻ると、テントの中は温かく、さっそくビールで乾杯だ。持ち上げたビールは8本。ひとり1日1缶飲んでもまだ残る。他にも、ウィスキー、焼酎、日本酒、泡盛、梅酒と居酒屋のようだ。
1日目の食担は中ちゃん。「冬の鍋と言えばキムチでしょう。」と、白菜たっぷり、ニラやマイタケ、豆腐、そして豚肉がっつりと。普段以上の豪華な食材にうどんである。汁を残して明日の朝はキムチ雑炊だ。これで、登れないとは言わさないとばかりである。
朝一のトライにかける。メンバーは4人なので、2人ずつに分かれそれぞれロープで登ることにする。組み合わせはH竜さんがトップにN川君。
続くは私がトップでS崎君がラストになる。H竜さんの希望のルートでもあるし、N川君とS崎君はまだ、リードやザイルワークの自信がないということで、諸々確認をしてシュラフに入る。
やはり、本チャンということで、初級ながら緊張感はあり、気持ちが引き絞まる。9時きっかりに消灯。
1月4日(土)
3時半には起き出して準備を始める。気温は温かい。H竜さんが6時15分に出発と言っていた通りに明るくなり始めた。雪道にアイゼンを効かせて歩き始める。
登山口から望む阿弥陀のピークには雲が掛っていた。先行のパーティーはいないようだ。踏み固められたトレースを辿って行く。
針葉樹林帯を抜け右の尾根に合流するとだんだん傾斜が立ってくる。第1岩峰の基部に着き、H竜さんとN川君がザイルをセットし始める。本チャンのビレイに慣れていないN川君はちょっと戸惑いながら、「セルフを外したよ」と言われてザイルをしっかり握リ直す。
スタートの足が高く「足が上らない、つるー」と言いながらH竜さんが体を上げて行く。ボルトにカラビナをかけひと安心だ。その後は、スルスルとザイルが伸びて行く。50mザイルの残りが僅かになり声をかけるが、声は戻ってこない。
しばらくザイルが止まり、もう一度、声をかけるとわずかに「いいよ-」と返事が聞こえた。さて、中ちゃんの番だ。セカンドとは言え緊張する。自己確保を解除し、岩の上に乗ると左手をジャミングにして効かせ登って行く。ランニングも回収をして岩の上に消えて行った。
さて、我々の番だ。途中で単独が来たが右から回り込んで登って行った。私が登り始めた時に後続が上がってきた。人気ルートである。
ルート的には最初のところが核心だ。上に上がって脇にかけていたピッケルを取ろうとしたが、ピックがザックにひっかかりどうやっても取れなくなってしまった。結局そのまま登ることになり、息を切らせながらザイルを引いていく。
第2岩峰に着き、H竜隊に合流する。H竜さんがスノーバーを中ちゃんから受け取って出発をするところだ。雲が被っていた横岳や赤岳が顔を見せ始め、赤岳のピークから歓声が上がった。
富士が見えたようだ。赤岳に続く峰の脇から太陽の光で淡く照らされたガスが白く輝き幻想的な光景が目に映る。流れる雲に目を奪われてしまう。
H竜さんの引くザイルはなめらかに登って行く。途中でランニングを採っている様子もない。ビレイをしている中ちゃんは真剣だ。芝ちゃんはなかなかスタートができない。出だしが悪かったのでザイルを思いっきり張る。ちょっとして緩めてほしいと声がする。どうにか核心を越えられたようだ。
中ちゃんの方は、H竜さんのザイルが止まる。しばらくすると合図があって中ちゃんがスタートした。順調である。ようやく芝ちゃんが到着し、私がスタートをする。
第2岩峰ははじめの岩を簡単に越えるとリッジになっていたが、しっかりしたトレースがあるので八ヶ岳の中を散歩しているような気分で気持ちがよい。まもなく到着する。H竜さんが打ち込んだスノーバーにセットしたが、合わせて差し込んだピッケルにカラビナを着けザイルを通して肩がらみで芝ちゃんを確保する。
赤岳をバックにしてリッジを登ってくる芝ちゃんがかっこいい。H竜さんと中ちゃんは先にピークへと足を運ぶ。我々もザイルとスノーバーを回収して、後を追った。足元から覗くと一般道から登って来るパーティーがあった。
ピークに着き、太陽に照らされて白く輝いた雲をバックに4人そろって記念撮影。気持ちがいい。風もないので行動食を食べ、芝ちゃんはみんながザックを閉じてもひたすら食べていた。
さすがに若者だ。中ちゃんは緊張のあまり食べられなかったようだ。赤岳方面を見ると、文三郎尾根を次々に登って来る人が見える。我々は阿弥陀の一般ルートを下ることにした。
阿弥陀の下りもトレースがなければ結構厳しく慎重に下って行く。鞍部から谷筋に降りて行く。あっという間に登山口に着く。ザックを下ろして休む。「北稜の核心は第1岩峰の出だしだったね。」と言いながら、緊張がほぐれてほっとした表情がうかがえる。
トップのH竜さんは、岩峰を登るため、インナーの手袋をしないで登ったとのこと。山行中はコンタクトにしている中ちゃんは、メガネを無くしたことに気付く。が、どこで落としたか不明。損失は大きかったが、充実した山行に満足した様子です。
テントに戻り、中に入るのにはまだ明るすぎるので、外で一人1本のビールを持ち乾杯。気温が下がってきており、ビールを飲み終わるころには凍りそうに冷えてきた。急いでテントに潜り込んでストーブを焚いて温まる。
後は言わずと知れた宴会である。日本酒のお燗から始まり、夕食はすき焼きということで、大量の白菜に白滝、豆腐、グラム500円の高級牛肉など。さらに豚肉も追加と、地上でも食べられない山ほどのすき焼きなべである。
結局、仕上げのうどんにはたどり付くことができなかった。背負ってくれた芝ちゃんに感謝。ようやく時間が21時になったのでシュラフに潜り込む。充実したお腹を抱え爆睡である。
1月5日(日)
6時半までぐっすり眠れた「夜が長い……」と言っていたが充分に休めたようだ。朝食は豪華な野菜ラーメンだ。鍋を覆い尽くすキャベツに人参、ベーコン、焼き豚、キムチ雑炊の残りのご飯も加わり、ラーメンは減らしたものの食器に山盛りだ。
ゆっくり朝食を堪能したところで荷物をまとめ始める。今回は、これこそ八ヶ岳の正月山行ということになった。まあ、もう1本ぐらい登ってもよいかなと思えたが、次回のお楽しみということで、帰りに南沢大滝を見学して帰った。みなさん、ありがとうございました。 (Ka.S記)