2015年8月23日
参加者 世K、福DT、M
もう五~六年も経つでしょ うか。娘の婚約者の父親の 具合が悪く八丈島まで見舞 いに行きました。そのつい でに八丈富士( 西山)( 八五四 ㍍) に登りました。快晴で北 に御蔵島がうっすらと望め ました。このことの前かあ とか記憶は定かでありませ んが、各地の島の山を登っ てみたいと思っていました ところ東京新聞社から「 島 の山旅」 というガイドブッ クが発行され直ちに購入し ました。まずは伊豆七島か らとガイドブックを眺めて いましたがなかなか実現の 運びにはいたりませんでし た そ 。 こにひょんなことから 伊豆七島の神津島 こうづしま への誘い が舞い込みました。共産党 の後援会の交流旅行です。 福田美子さんからの誘いに これに乗らない手はないと 早速に申し込みました。
八月二一日二三時東京 港・竹芝桟橋から「 さるびあ 丸」( 五〇〇〇トン) に乗り、 翌朝九時に神津島に着きま した。 この島には標高五七一・ 五㍍の天上山があります。 伊豆七島はいずれも小さい 火山島ですから頂上に登れ ば三六五度の眺めが期待で きます。二三日に登る予定 です。 夜になってみんなは花火 だスイカ割りだと浜に出か けて行きましたが私は民宿 に残ってウイスキーをちび ちびやっていました。そこ へどやどやとみんなが戻っ てきましたが騒々しいので す。「台風一六号によって海 が荒れ明日の朝の便が最後 になる。これに乗らないと いつ帰れるかわからない。 明日の便でみんな帰ること になった」ということのよ うです。 私の判断はこうです。「昨 夜から今日にかけての海の 荒れ方はそんなにひどくは なかった。台風はだんだん 遠ざかっていく。民宿代は 払ってあるので今夜泊って 明日は山に登る。船が来な くても来るまで島に残って いる。」ということです。 同行の福田夫妻は、船酔 いに弱いということで東京 の調布飛行場から飛行機で やって来ていて、帰りはも ともと二四日の便です。と いうことで三人だけ島に残 りました。
二三日朝、三人だけのさ びしい朝食後、民宿の車で 白島登山口まで送ってもら いました。ここの標高はも う二九〇㍍、頂上までは標 高差三〇〇㍍もありません。 上を眺めると深いガスに 包まれています。一気に外 輪山まで登りましたが何も 見えません。それでも火口 の中を時計回りで一周しま 天上山(神津島)はガスの中 世K 定期船 さるびあ丸 したが景色は変わりません でした。最高地点に立ちま したが風にとばされそうな くらい。諦めて登山口に戻 りました。 そこへジャンボタクシー が登ってきました。東京・ 足立区の小学生達です。運 転手の話ではこの山は早朝 はガスがかかるが昼間は ら会議が始まった。と、い うのも台風が来ているから だ。我々は到着しているか ら関係ない、と、思ってい たが、翌日からは台風が迫 ってくるので月曜日に帰る 参加者の乗る船が来ないか もしれない、というので、 明日の日曜日の朝の船で帰 ろうということになったら しい。着いたばかりもう帰 るのかと、混乱している人 もいる、大慌てで荷物をま とめている人もいる。我々 大宮ろう山の仲間の目的は 「天上山」ハイキングだ。 飛行機組の私は関係ないの だけど、世古さんと渡部さ んは船。渡部さんは「帰る!」 という。世古さんにはどう しても、とどまってもらい たい。世古さんに飛行機を 進めたが、飛行機は乗らな いという、船が出るまで、 この島にとどまるというこ とで、翌日、日曜日、帰る 人と、帰らない人に別れた。 我々、三人は帰らない組で、 予定通り、民宿の人に登山 口まで車で送ってもらい、 ハイキング開始。この山は 熊もいない、鹿、イノシシ、 猿もいない、いるのは蛇と 鳥だけ。安心して山へ入れ る。しかし、台風が来てい るせいでしょう、天気が悪 い、朝から山はガスがかか り、山の全容が見えない。 こんな天気の悪い日は誰も 登ってこないでしょうね、 今日は貸し切りだとおしゃ べりしながら登山口で身支 度する。登山口にはテーブ ルときれいな水洗トイレが あった。尾根に上がると、 もう何も見えない深いガス の中、風も強い、これから どうしようかと一瞬迷った が世古さんの勇気をもらい、 「ババア池」に向かって登 りだす。この名前が気にい らない。なぜババアなんて いうのか。今日は貸し切と 思っていたが、若者が二人、 ばったり、であった。ぐる り一回りして「不動池」に 着く。池とあるが、水があ ったかな?広いくぼ地だっ た。ここは風もなく静かで 三人でゆっくり昼飯を取る。 とても落ち着く憩いの場所 だ。オオシマツツジの木が たくさんあり、花の時期は 素晴らしい憩いの広場にな ることでしょう。バイオト イレもあった。利用してみ たが、新しくすごくきれい です。(今年の五月に完成さ せた自慢のトイレだそうで す。)ここで公開ハイキング の宴会をすると言ったら、 どうでしょう。皆どんな反 応するか。船で眠れなかっ たらここで、昼寝をすれば いい。やりたいなあ。寛い だ後、出発、最高地点に向 かう。岩場、強風。四足状 態で最高地点到着五七二m。 ここを天上山というのでし ょう。まったく展望なし。 (天上山頂上にて) これじゃあどうしようもな い。誰かいればカメラを頼 むのに誰もいないので、お 互い取り合う。まったく展 望もなし、風も強いので白 鳥登山口に下山。登山口で 大型タクシーが来て、子供 達と大人十人ほど上がって きた。海から直接来たよう なピーチサンダル、なにも 持っていない子供もいた。 ずいぶん気楽に考えている。 このタクシーに乗りたかっ たが、世古さんの出発合図 に歩いて下山。前浜海水浴 場についてハイキング終了。 歩いて民宿に帰ると、ガラ ーンとして、あのにぎやか な人達はいなかった。皆、 船に乗って帰ったのだ。民 宿は我々三人だけになった。 三人だけの寂しい夕ご飯。 台風の行方、船は出るのか 心配したが、月曜日、多幸 湾に船は着くというので世 古さんを見送りに行く。飛 行機は午後一時なので、三 人でゆっくり多幸湾に行く。 ここは天上山の白い崖から 一気に落下する断崖絶壁の 景勝地。三人でゆっくり景 色を楽しみながら、船のく るのを待っていた。すると、 大きな岩陰から白い船がふ んわりふんわり揺れながら 現れた。どこからともなく 大勢の人が集まってきた。 昨日の船で、観光客は帰っ たのかと思っていたが、ま だ、島にはこんなにたくさ んの人が残っていたのかと びっくりした。世古さんが 船に乗り込んで行った。お 別れのテープを持っていた 人にテープを分けてもらう。 船が動き出した。テープが ドンドン延びる。ゆらりゆ らりゆれながら世古さんが 遠ざかって行った。蛍の光 の曲が流れていた。いつの 間に夫と二人、蛍の光を歌 っていた。永遠の別れでな いのに、もう明日になれば 埼玉で逢えるのになぜか、 涙がこぼれそうだった。そ の後我々二人、観光客は本 当に二人だけになり、寂し くしょんぼり。なにもする 気がなくなり、『ボーっツ』 と、バス停で、バスを待っ ていると、バスが来た。乗 り込むとその運転手は昨日 白島登山口で、あった大型 タクシーの運転手だった。 「あんた達、残念だったね。 あんなに早くに登るからだ よ、展望がなかっただろ。 天上山はいつも、朝は駄目 なんだよ、昼過ぎにならな いと、晴れてこないよ。来 年の五月末にまたおいで。 オオシマツツジが見事だよ。 船で来て一休みして登りだ すとちょうどいいんだ。」と、 教えてくれた。乗客は二人 だけなので、バスをゆっく り走らせ、観光案内をして くれた。三宅島はあそこ、 御蔵島は、ああ、きょうは 見えないね、など。帰りの 飛行機は台風の風のせいだ ろうか、ストーンと落ちて みたり大揺れ。もう、度胸 はすわっている。伊豆の 島々、新島、大島がよく見 えた。次は大島に行きたい。 来年の五月末、オオシマツ ツジの咲き誇る天上山に皆 さん行きましょう。 (記 世K)