その1
八枚沢の登山口から潅木の明るい妻戸尾根を登る。雪割草が咲き乱れて、これが標高200メートルから600メートルの尾根なのにはびっくりした。アブラチャン、オオバマンサクなどの灌木が小さな群落を作って黄色い可憐な花を咲かせていた。これから夏に向けて更にいろいろな花が見られるだろう。
その2
山頂は四角の1メートルほどの硬そうな火山岩が所々に散らばっていた。海からいきなり盛り上がった山で安山岩、玄武岩、流紋岩の火山岩の多い山であるようだが、どうやってできたかは不明のようだ。山の生い立ちが他の山では見られない植生を作っているのであろうか?越後平野、日本海、遠くの白い山々など展望が素晴らしかった。
その3
下山に使った、海側の雨乞尾根コース、こちらはカタクリ街道、尾根の中程に初めて見る大きな落葉樹の大木、大きな枝を四方八方に広げ、幹は小さな裂け目が無数にあった。更に進むと辺り一面に同じ大小の木が、そして一本の大木に銅板で打ち出したプレートが掛けられていた。そこには望佐の梨、そして英語で下に小さくpear of misa と打ち出されていた。それらの木の下には山なしの実が落ちていた。山なしの木だったのだ。どうやってあの尾根に山なしの群落ができたのだろうか、全くの不思議な光景である。今までの山行で、山なしの木と実に出あえたのは、上州の沢沿いでの一本だけだった。帰ってからも気になって調べたら、同じように気になった登山者がいて幾度となく登って、望佐は佐渡を望む、山なしと解釈してあった。なるほどと思い、山なしが一面、真っ白に咲き誇って、その先に佐渡ヶ島が横たわる、何とも素晴らしい景色を思い浮かべた。今回3回目の早春、花の弥彦山だったが、何度登っても新たな発見のある名山だと思った。
(記 K原塚)