赤岳 天狗尾根 素敵な岩稜帯を登る

2019年11月4日

3年前にツルネ東陵から赤岳に登った。

真教寺尾根を下っている時に、隣の尾根の大きな岩の上で夕日を浴びながらロープ操作をしている男性がいた。そのシルエットが今も目に焼き付いている。ごつごつした大きな岩が赤岳天狗尾根の大天狗だった。

GKさんから「天狗尾根をMSさんのリーダーで行きましょう」という、オーダーともミッションともとれる宿題が出た。初めはとても無理だろうと思っていたが、山行経験のあるK池さんに尋ねると、ロープを出したのは一ケ所くらいであとは巻いて登れるようだ。亡くなってしまった高坂さんにも、「天狗尾根行こうよ。登れるよ」と言われたこともあった。ネットの山行記録を見ると、核心は大天狗で直登もできるが、トラバースでも行けるのがわかった。

 天狗尾根岩峰群 

でも、あまり自信が持てずにいた時、M谷さんの「天狗尾根」の山行募集があった。新入会のA部みさんもご一緒に9月初めに3人で登った。カニのはさみ(M谷さんはもちろん直登)、第1、第2岩峰の登りやルート、大天狗のM谷さんのリード(トラバース1ピッチ)の様子を観察し、最後の小天狗から登山道への巻き道も確認した。

普段クライミングをしないGKさんに私をビレーしてもらうための練習をS田とさんに手助けを得ながら事前に行った。頭の中で尾根を登るシュミレーションをし、家でリードのロープワーク練習を何回かした。

体調を崩したGKさんは約1ケ月ぶりの山行、私も2000m級の山は1か月半ぶり、食べてばかりの10日間の旅行から帰ってから、山行に最低必要な体力を取り戻すための筋トレ、ランニング、ボッカトレ、ハイキングをどうにかこなして準備した。

計画が延び延びになり、初秋になってしまったが連休の最終日、最高のお天気の日に登ることができた。

朝暗いうちに出発、K池さんの情報通り沢はカラカラ、出合小屋まで4回ほどの渡渉で済んだ。天狗尾根取りつきは赤岳沢にあるケルンの裏側、そこから急騰を登り、尾根に乗った。2100mで大天狗が前方に見え、ここから300mの登りがきつかった。そのきつさを忘れるようなカニのはさみの登場。水谷さんと違うルートで直登しようかと思ったが、今日はそんな時間のロスはしない。第1岩峰はサクサク登り、第2岩峰のいやらしい草付きのトラバースと登りは慎重に。第2岩峰を左に巻き、階段状を登り、テラスを右から巻くと大天狗の取りつきに到着。ハーネス、ビナの準備、ロープを担いでビレーポイントへ。

GKさんの八の字結び、自己ビレー、私のためのビレー操作を確認して登り始める。1本目の中継点でプロテクションを探したが見当たらなかったので、岩にスリングを巻いてプロテクションにしてロープを通す。2本目はRCCボルトにスリングをかけた。登りの核心は左手の一手。右に体を大きく開くと容易に届いた。テラスの上には立派な鎖の終了点がある。さんざん練習した方法でGKさんの登りを確保する。「カモ~ン、Mr. Kato」と声をかけたが聞こえなかったかな? GKさんはスイスイ登ってきて呆気なくトラバース1ピッチの核心は終了した。

あとはルンルンで登山道をツルネまで歩いた。

稜線上は冷たい風が吹いたけれど、登ってきた天狗尾根の素敵な岩稜群、阿弥陀の南稜、中央稜、権現岳、遠く槍ヶ岳、乗鞍岳、御岳山、中央アルプス、南アルプス、富士山の眺望も楽しむことができた。GKさんは次の狙いの権現岳から延びる長い尾根を見定めている。

連休の最終日、出会った登山者は赤岳を下るとき会った男性一人。名残のカラマツの黄葉に染まる静かな八ヶ岳の長い一日、沢歩き、尾根歩き、岩稜帯登りを十分楽しむことができた。

今回心がけたことは、二つ。登りをGKさんのペースに合わせること。核心の大天狗のロープワークはゆっくり確実に行うこと。

帰りはヘッデンになっても沢さえ陽のあるうちに過ぎれば、馴染みの林道歩きは大丈夫と考えていたが、当日はその通りになってしまった。

少し挑戦的な岩稜帯の山行計画を提案してくれたパートナーに感謝するとともに、何も経験のなかった私を育ててくれている? 大宮労山の山仲間にいつも感謝しています。

↑大天狗登り終え小天狗へ

<コースタイム>

 美し森P4:30-出合小屋7:25-2100mピーク8:30-2475mカニのはさみ10:00―大天狗下部2676m11:10-登山道12:30-ツルネ14:50-ツルネ取りつき15:50-美し森P18:05

歩行時間:13時間30分 歩行距離:16.7km

最高標高:2727m

標高差:+1728m -1732m

<メンバー> リーダーMS、GK

返信を残す