2022年2月26日
ここ数年の暖冬のためあまり雪山に行けなかった。今年は数十年振りの厳寒とか。小黒檜に行きたいと思いつつハヤ2年。今年は行くぞー!
私の心づもりでは一般道を黒檜に上がり、小黒檜まで尾根を行く。下山は途中の尾根から西に反時計回りに下りるか黒檜まで戻るつもりだった。が、リーダーのH竜さん即却下。西側からの、ルート無き尾根を上がり、時計回りに黒檜行くと言う。登りに一般道を使った方がまだマシなのに。
登山口には多くの人がいる。それを横目に車止を越えて出発。ここには誰もいない。まずは林道をショートカット。確実に距離だけはショートカットだ。後ろからT羽さんが「急がば回れって言うのに」。「林道行ってもつまんねーだろう」とH竜さん。ラッセルしながらドンドン行ってしまう。今までもまともなルートを行ったためしがない。
緩い尾根を登り沢筋をトラバース。更に尾根を登ってまたトラバース後下る。私も楽なうちにラッセルしとこ。
沢筋を越えた辺りで、H竜さんが前方に見える鞍部手間の尾根を行くと言う。地形図を見るとその辺りの尾根の中で一番の急登だ。アプリの軌跡はもっと先。「えー、もっと先のちょっと緩そうな尾根を行こうよ」「いや、これが俺のこだわり。ここを行く。」はいはい、いつもの事ね。言った私が悪い。すでにトレースは完全に無い。
1本立てる。さあ、ここからが本番。地図を見ると尾根まで標高差約180m。標高差だけを考えると無雪期の一般道なら30分強だ。だが、見上げる雪のこの急登。いったい何時間かかるだろう。時刻はすでに11時。
さあ出発。サラフワ~の深雪が通せんぼする。「ワカンでも沈むよ」とラッセル隊長のT羽さん。それでも雪を崩し、滑りながらもガシガシ行く。さすがT羽さん。同じくワカンのT塚さんが続く。私とH竜さんはスノーシュー。それでも沈む。滑る。蹴りが入らない。足元の雪が崩れていく。3歩登ったのに2歩滑り落ちる。ストックを横にするが決まらない。四つん這いで登る。立木に捕まる。どうにか体を起こす。また滑る。崩れた雪の下に笹がチラリと見えた。笹かぁ。滑るわけだ。ギャー! 5m位滑り落ちた。後のH竜さんが止めてくれた。ありがとう。あー、せっかく登ったのに…。が、さすがにH竜さんはこの状況でも滑っていない。体重の差? いや経験値と技術の差だ。
空は青そう。風も無さそう。木の間に遠くの雪山が見えそう。でも、全然目に入らない。静かだ。聞こえるのは、自分の荒い息遣いだけだ。
H竜さんがアイゼンに替えた。私も倣う。ギャー。履き替えながらも滑り落ちる。またまたH竜さんが支えてくれた。またまたありがとう。木に捕まりながら履き替える。再出発。アイゼンの方が少しは滑らないような気がするが。
見上げた眼に尾根が覆い被さる。えっ、こんなに急? この先、更に急登だ。今の標高を確認する余裕もない。もちろん写真など撮るべくもない。ワカン組の2人の姿は見えなくなって久しい。T羽ルートはほぼ直登だ。確かにこれでトラバースなど出来ない。普通トレースはワカンの跡が階段状になっているが、その雪面は尻セードをした跡のように平になっている。T塚さんも苦労したらしい。立休憩も出来ない。止まったらまた滑り落ちそうだ。この雪地獄終わりが来るのかな。五体満足で下山出来るよね。
もうイヤという頃、木々の間に青空? 幻覚かな? 傾斜も緩んできたような気がする。わー出たぁ。稜線だー! つーっかれたぁ。今何時? えー! もう2時⁉ 3時間もかかったのぉ? 休ませてー。
先に着いていた2人は体が冷えたという。この時間じゃ小黒檜は無理。黒檜に行き一般道を下りる事になった。も少しマシな別ルートから来たパーティーが先に黒檜を目指したという。そのパーティーも小黒檜は断念したそうな。
さあ、今度は黒檜に登り返し。こちらも標高差約190m。しかし、等高線の間隔は広い。先のパーティーがトレースを付けてくれたおかげで歩き易い。あの急登を考えたら天国だ。1時間もかからずに見晴らし台に到着。
わー! 絶景! 地獄の3時間が報われる。男体山に武尊山。真っ白なのは谷川。見下ろすと、今登ってきた稜線の先に、行くはずだった小黒檜や爺黒檜のピークが見える。まぁ仕方ないね。無難なピークハントより、H竜&T羽ルートの方が面白い。でも、かなり疲れた。「雪山は4割登れれば良い方だ」とH竜さんが言う。
絶景を堪能し、モグモグタイムの後、黒檜山頂に向かう。あら、今はもう誰もいない。
その後は人気の無い登山道を4人で大人しく(?)下山し、無事に登山口に到着。
いつもの事だが、今回もH竜&T羽ルートは体力勝負だった。ふ~疲れたぁ。
メンバー (L)H竜・T羽・T塚・T中
コースタイム
黒檜山登山口9:40-尾根取付き10:50-稜線13:50-見晴台14:40~14:55-山頂15:00~15:10-登山口16:00