2022年11月5日~6日
【MS】
シャクナゲの季節には大勢の登山者で賑わう毛木平の駐車場周囲の山々はカラマツの黄葉が見事。十文字峠までの登山道には瑞々しい苔類が緑色の絨毯のようで癒される。十文字小屋に荷物をデポし、三宝山に向かって歩き出す。初めのピークの大山山頂付近は岩稜帯で鎖場があり、奥秩父の山々が望める。今回の山行はビバークが目標なのでここから戻る予定だ。武信白岩山の先の尻岩ぐらいは行けるかと思っていたが、私の覇気もしぼみがちでここから下山にほっと安心してしまう。十文字小屋から四里観音避難小屋までは1時間の山道を進む。この道は長野から白泰山を通り秩父の栃本を結ぶ地味で長い山道である。いつか歩きたいと願っていた。苔むした静かな道が続き予想通り質素な登山道だ。
四里観音避難小屋は丸太作りのしっかりした小屋で、薪ストーブが設置され、清潔に管理されている。別棟には太陽光による明かりが灯るトイレもある。
到着後水汲み、薪集めを分担し、ビバークの用意をする。私は横になって寝やすいようにやや傾斜地に沿ってピコシェルターを張り、冷気が入らぬように周囲に落葉を置き、枝をペグの代わりに利用した。
夕食はY城さんご用意のきりたんぽ鍋でお腹一杯。楽しい語らいの夜だった。
8時を過ぎたので私はお休みの時間、明日の朝4時半にアラームをセットして就寝。
【翌朝のビバークの実際】標高:1790m
外気温:-6度 天候:快晴
時間:4:30~5:30
<持ち物>
ピコシェルター、ストック2本、1mの張綱1本、90cmのスリング1本、薄い銀マット、毛糸の帽子、首に巻く汗取りタオル
ダウンジャケット、レイン用ズボン
<感想>
・風がなかったので、ピコシェルターは終了まで自立し倒れず。
・リュックを下に敷いて膝を立てて靴は脱がずに横になった。
・当初、冷気は感じなかったが時間がたつにつれ体表面に寒さを感じ、自分の吐く息がもったいなく感じた。
・1時間と短い時間であったが、以下の工夫をすれば緊急時の夜は過ごせそうだ。
<これからの常備品>
・寒さ対策にホカロンとソルエスケープ。
・ピコシェルター自立用に軽いペグ2本と必要な長さに調整した張綱2本。
・銀マットの代わりにタイベックシート
初めてのビバーク訓練は短時間なので、寒がりの私も耐えられた。自分が普段持ち歩く緊急用品で実践し、体験をすることで、必要な装備品や工夫を知る良い体験になった。
【K池】
ツェルトビバーク訓練は4~5年前にやったきり。久しぶりにツェルトを張りました。普段の装備ということで、ストック無しで設営しました。最後まで倒壊することなく過ごすことができたのでまずまずです。1人用のピコシェルターならではの気がついたこと。
①ザックは身体の下に引いた方が底からの冷えを防げる。足を入れると身動きが取れず、ピコシェルターでは厳しいため
②ツエルトの下の僅かな隙間から冷気が上がってくるので、木の葉やシートで塞ぐと少し温かい。100均のアルミシートでも内側に折り込む?と冷気を遮れます。
③100均のアルミシートは身体に巻き付けると更に効果的。
②の冷気は前回の実施時に気がついたことですが、今回も少し気付いたことが増えました。
1時間は耐えられましたが、一晩となると死なないけどかなり辛いかな?という感想です。定期的に経験したり、設営するのは大事ですね。
今回のルートは苔が美しく、唐松の紅葉も最盛期で素晴らしかったです。ハイキングとしてもとても良い企画でした。初日の大山は、ちょっとだけ岩っぽく、展望も良く楽しいルートでした。ビバーク場所の四里観音避難小屋は綺麗でストーブもあり、Y城さん、H高さんのご馳走を頂きながら久しぶりに賑やかな夜を過ごしました。月も星も美しくみんなの笑顔溢れる有意義な2日間でした。ご一緒してくれた皆様、ありがとうございました。
【H高】
<ツェルトを張る>
今回のツェルト設営の目的は、いつも日帰り相当のハイクで持っている物、と言う条件だったのでストックを持ち歩かない私は樹木の枝をポール相当として、同じくペグも小枝で代用。張り綱(長さ調整用のライナー付き)は常備していたのでそれを使った。ツェルトはファイントラックのロングタイプ。
何とか単独で張ることが出来たけれども、えらく時間が掛かった。改めて考えてみると、
①まず床相当の割れているシートを紐で結び合わせる。
②次にツェルトの四隅を小枝で地面に固定。
③それから樹木の枝でまず最初のポール相当を張り綱使って立てる。張り綱を60度の角度で拡げて張るため、寝転がって片方の張り綱を脚で止めておきながら片手はポール相当を押さえつつ、片手で手元の張り綱を小枝で地面に固定。それから脚で止めていた方を地面に固定。この段階ではポール相当の樹木の枝は立ってはいるが、手を離せば当然倒れる。
④もう一方のポール相当を同じ要領で立てる。最初に立てたポール相当が立ち上がる用に引っ張りながら。③④の行動を行うためには、張り綱は相当短くしておかないといけない。
⑤居住性を良くするために、ツェルトの底辺真ん中2カ所を拡げて地面に固定。その後にサイドリフター相当の張り綱を引っ張って地面に固定。
①から⑤までを5分以内で行わないと非常時には役立たないと改めて実感させられた。ミニペグ10本も常時持参していた方が良さそうだ。
<ツェルトで過ごす>
同じくこの時期での日帰りハイクでやむなくビバーク、という前提。暑がりの私は防寒具をあまり持ち歩いていない。モンベルのアンダーシャツの上+ウールの山シャツ+アクリルのジャージ+ペラペラのナイロンヤッケ。これに空のザックと雨合羽上下を携行してツェルトに潜り込む。
ツェルトは風を遮るので意外と寒くない。とは言えじっとしていると地面からの冷気にシンシンと上がってくるのを実感。
ザックに脚を突っ込み、靴(スパイク長靴)を枕代わりにして横になる。この形で何とか1時間持った。雨合羽は着なくて乗り切ったが、実際には何がどうなるかわからないから余裕を見て置いた方が良いだろう。ザックだって日帰り用ならもっと小さい筈だし。という訳で今後はタイペックシートを携行する事にします(グルグル身体に巻き付ける想定)。
<その他>
朝食の食当を担当。寒いからみんなが戻ったらすぐ食べれる様にと思って豚汁を用意したが(私だけ先行してツェルトで1時間過ごしていた)、段取りが悪くて1番最後に出来上がってしまったのは反省。
また、薪ストーブがあるのでアルミホイルにバターを入れてから鮭とエノキと玉ねぎを包み込みストーブの上に置いてみた。それなりに美味しく食べれたが、職業調理師のK池さんからは「玉ねぎは鮭の下に敷くべし」という厳しい指摘が。アマチュアグルメ料理人のY城さんからも「アルミホイルはクシャクシャと丸めるのではなく、きちんと四隅を折っておかないとバターがストーブにこぼれる」とも言われてしまいました。
【TN 孝子】
4年越しの四里観音ビバーク訓練だった。お天気やコロナに阻まれ中々出来なかった。教育部長としても実施したいので、今年こそはとH高さんに頼み込んだ。山行部機能不全の中での計画だったが、H高さんが奮闘してくださり実施出来た。感謝感謝。
前回のビバーク訓練は樹林帯だったが、今回は小屋の周りなので立木はない。ストックと細挽きでツェルトを張る。ペグがないのでうまく立たない。早朝4:30外気温-10℃の中レジャーシートを敷き、リュックをひろげる。雨蓋も広げて体の下にし、中に足を入れた。SOLのエマージェンシーシートを体に巻き付けると、軽すぎて心もとないが、寒くはなかった。靴を枕にする。もっと寒いかと思っていたが、無風だったので耐えられなくはなかった。小屋の周りは樹林帯なので、そのためか霜も下りていない。有難い。
1時間弱だったが、もっと長引くとこの後シンシンと冷えてくる事だろう。それより、ビバークは非常事態の時にするものなので、精神的に耐えられるか、そっちが心配だった。野生動物も来なかったので耐えられたが、もし気配を感じたり声をか聞いたりしたらどうなるのか。
H高さんは1時間前に一人だけビバークをし、私達がビバークをしてる間に温かい朝食を作ってくれていた。鮭のホイル焼きに豚汁とご飯。美味しかったぁ。
使った分の薪を保持して下山開始。下山道は一般道のハイキングだ。倒木と苔の奥秩父らしい光景だった。高度が下がると唐松林になってきた。青空に唐松の黄色が映え、その足元に苔が広がる。見事な黄葉だった。
参加者は旧知の面々。久しぶりに楽しい交流が出来た。皆さん、ありがとうございました。
【S田と】
4年ぶりのビバーク訓練は、十文字小屋から四里観音避難小屋での2日間の山行、事前の募集にも関わらずいつものメンバーで和気あいあいな訓練です。
もともとは3日間の予定だったようですが、土日の設定になり、しかも当日になってピストンになり、今の私にはぴったりな余裕のある工程で助かりました。
後期高齢者になってあちこちに故障を抱え、山歩きもままならない状況ですが、何とか皆さん私のペースに歩調を合わせていただき、ベースの四里観音避難小屋にたどり着きました。
もちろんツエルトビバーク訓練ですから夕食の前に設営ですが、これがなかなか上手く立てられず四苦八苦、最近は股間節痛のため常時ストックを携行している、それに張り綱を結んでペグで止めて何とか立てられた、地面が柔らかいのでしっかりペグを打ち込まないと抜けることもあり、時間もかかりましたが、形になりました。
さて、お楽しみの夕食はY城さんの食当できりたんぽ鍋、薪ストーブが活躍して暖かな小屋での夕食は最高です。
貸し切りの静かな小屋に気持ちよさそうな寝息がとどろきます。
さて翌朝本番のビバーク体験、外気温は-10℃?でしたが意外に寒くもなく、何とかしっかり眠れないまでも、うとうとしながら耐えられる感じで、今回は1時間も満たないビバーク訓練なので助かりました。
H高さんが体の冷える我々のために1時間も早く起きてパーティーの為に暖かい豚汁を調理して頂き、まったりした朝食です。後はゆっくり準備して元来た道を辿るだけ、落葉松の黄金色が美しく、しっかり紅葉も楽しめた2日間でした。
メンバーの皆さんありがとうございました。
■メンバー:H高(L)Y城(SL)S田とTN K池 MS
■ルート:毛木平~十文字峠~大山ピストン~四里観音避難小屋~毛木平
さむそう~