雨もまた楽しい 朝日連峰

7月1日(金曜日)

出発当日になって、いままで雨だった関東が晴れ、東北に梅雨前線が移った様子だが、予定どおり出発する。ただ残念なのは一番行きたがっていた大知さんが、出発の準備を整えスタンバイしていたところ、職場で不測の事態で、急に仕事に行かなければならなくなったと連絡があった。大知さんまた行きましょう。待ってます。3人で上尾を午後3時出発、東北道、山形道を走り、今夜の一夜の宿、寒河江の道の駅に8時過ぎに着く。

7月2日(土曜日)

薄日が差しているが雲ゆきは怪しい。 登山口の古寺鉱泉に向かう。ナビが教えてくれた林道は、渓流に沿った悪路で車一台がやっと、勿論ガードレールなどない。1時間半かかって、登山口の駐車場に着く。8時に登り始め、しばらく急登が続く。歩き始めて1時間、雨が降りだす。今日の予定は鳥原山の避難小屋までなのでゆっくり登る。途中から5月の連休の新潟に続き、今回もブヨの大群に追いかけられる。ブヨは強い、少しの雨、風はびくともしない。隙あらばと、雨具の袖口、髪の生え際など狙ってくる。5時間かけて小屋に着く。ここの小屋は湿原の端にあって素晴らしい景観のところ。嬉しいことに、雨も上がって薄日もさしてきた。ザックを小屋において湿原の散策にでる。 池塘の周りにはシャクナゲが咲いていた。姫小百合もちらほら咲き、瓔珞つつじ、更紗ドウダンも素敵な何とも言えぬ、花色で咲いていた。湿原は広く、ここだけ見に来ても、十分に楽しめそうである。なかなか見ることの難しい、小型の野生ランであるトキ草もピンクの美しい花色を放っていた。雨上がりの湿原は草花も生き生きとして、特別美しい。小屋の前から蔵王、後ろ手には吾妻連峰の山々が望めた。目の前には、5年程前、紅葉の真っ盛りに登った、祝瓶山が三角形の端正な姿でたっていた。鳥原小屋は 雪の多い地にも耐える立派な鉄骨の二階建ての小屋で、そばに水洗トイレも付いていた。夜中には大風と雨だったがいつの間にか眠っていた。

7月3日(日曜日)

中日も雨、午後から夕方にかけて少しずつ回復していく予報で、予定より1時間遅らせて7時に雨の中、小屋を出る。最初のピークである鳥原山は小屋を出て間もないところにあって何処が山頂か判らないほど、のんびりした山だった。鳥の原っぱとぴったりの名前の山だ。雨でなければウグイスやかっこうの鳴き声も楽しめたであろう。少し下ってから次のピークの小朝日岳に向かう。途中から登山道の崩れたところが数か所、ロープ、鎖などで補修されていたが濡れているので、慎重にのぼる。小朝日の山頂からは今日は雨で何も見えない。200メートルほど急な下りになる。岩がゴロゴロしているので歩きずらい。  古寺山へのトラバース道に合流、相変わらず雨は降っているが風はない。すれ違った唯一の登山者の情報によると、小屋の管理人のお父さんが待っていてくれるとのことだった。ここからは山容も穏やかなので予定どおりに、大朝日小屋まで稜線を登る。途中からは、次々と姫小百合が現れ、所々群落になっていた。こんなに沢山の姫小百合の群洛に出会えると思っていなかった。山頂ちかくなって登山道の近くには大きな雪渓がでてきた。シラネアオイがあそこにもここにもと咲いていた。次々と出てくる可憐な雪解けの花々に三人とも大感激だった。長い風雪にじっと耐え、雪解けと同時に、一斉に花を咲かせる花々に、生命の持つたくましさを見た。雨の降り続く中、花もまた風、雨にさらされている。雨の中の花もまた素晴らしい。ゆっくり歩いて2時過ぎに大朝日岳の避難小屋に着く。管理人は不在で少ししてから感じの良いわかものが一人入ってきた。一休みした後、金玉水を汲みに中岳方面に下る。あたり一帯が花畑になっていて、食虫植物の虫取りすみれ、オノエランとなかなかお目にかかれない珍しい花も沢山咲いていた。イワカガミ、ミヤマウスユキソウ、チングルマ、ヨツバシオガマ、イワギキョウ、等々,こんなに花が多いとは、またまたびっくりした。それぞれの花が自分の咲くべき場所にしっかり根を張っていた。しかし残念、天気が悪く写真は撮れない。早々に小屋に戻り、今夜もジフィーズの夕飯となる。今夜も予報に反して風と雨、まして標高の高い稜線なので風が強い。この小屋は10年前の5月連休の雪山縦走で、故徳重さんリーダーで小国町の五味沢から藪こぎをして、袖朝日岳、西朝日岳を越え大朝日山の山頂直下にあった。この時は今までの晴天から急に天候が荒れてきた。2階部分が雪の中から顔を出し、小屋の中には休んでいる人たちがいた。私たち8人は、そのまま山頂を過ぎて平岩山に向かう。しかし雨風は更に強まって、霧も濃くなり前が見えない。大玉山へ向かうコースは長くハードになるので予定を変更する。平岩山を越えたところで、テントを張り、翌日、朝日鉱泉に無事下山した。今も記憶に新しい,藪、雪、悪天の3泊4日の縦走だった。厳しく大変だったからこそ、登れた喜び、無事下山したときの嬉しかったことなど、ずっと心に残っている。リーダーの適格な判断と技術があったからだと思っている。

7月4日(月曜日)

明け方から風は弱まったが、5時過ぎに起きると小屋の周りは濃い霧に覆われていた。風が止んでくれて一安心、7時に小屋をでる。途中のエスケープ道まで戻る。下りは早い。古寺山の道も歩きやすかった。古寺山の山頂でS々木さんが大朝日の管理人さんと気が付く。気さくな管理人さんと雑談する。Tさんは花の情報を聞く。今回の山、Tさんが一番見たかった、ヒナザクラは雨風の中、Tさんが一生懸命探していた所から、さらに先に咲いていたとのことだった。Tさんの花への深い思いをみました。さらに先も、歩きやすい道が続き、シラネアオイなど花も多い。途中からは雨も上がって、薄日もさしてきた。小朝日岳、鳥原山は見えたが、大朝日岳の山頂はずーっと、雲の中だった。ハナヌキ峰の分岐から、古寺鉱泉に下る尾根道はなだらかな、ブナの巨木と小赤松の気持のよいルートだった。大朝日岳だけだったら古寺山コースが道もよく早いかもしれない。今回、リーダーのTさんが選んでくれた鳥原山のコースは湿原あり、ピークもいくつも踏んで歩きごたえのある変化にとんだ良いコースだった。余裕を持った日程を組んでくれたので、雨にもかかわらず、安心して登ることができた。S々木さんと「まだまだ頑張れば登れるね。」「北アルプス、南アルプスも行きたいね」などと話しながらのんびり古寺鉱泉に向かった。登山口駐車場に1時着。

 

リーダー T Kさん メンバー S々木雅枝さん K原塚