2022年7月8~11日
1日目
新千歳空港に到着すると雨だったが、小樽に向かうにつれて雲が晴れてきた。ゆっくり昼食を取る予定だったが、このあと3日間の天気が下り坂のため、晴れ間を逃さず登攀しようと、急ぎ岩場に向かう。
西壁正面ルート3ピッチ、先発のY城・鍋倉組はカンテルートを登攀すべく別の取り付きに向かう。O武・H川・M田組、Y田・T川組はノーマルルートを登攀。ノーマルルートは出だし核心。スタート地点の地面には、これでもかと岩が積まれている。しかし、この足場が無ければ発進はおろか、岩に手が届かないのではないかと思う。
取り付きまで道案内をしてくれた、フリー・44フェースS田と・K池組が、ムーブのアドバイスをしてくれたおかげで、核心部を無事に全員クリア。そこから上部は快適なスラブ。途中、先発したはずのY城・鍋倉組が真横のカンテから現れた。出だしでフリーの難ルートに取り付いてしまい、一度下まで降りてから正規のルートを登ってきたとのこと。
後ろを振り返れば、積丹ブルーの絶景。終了点では、O武・H川・M田組が懸垂下降のセットを終えて、一段上がった岩場で景色を堪能している。「ここに上がると、すごく景色が良いよ」と言われ、岩場に上がってみると視界がさらに広がり気持ちが良い。そうこうしていると、Y城・鍋倉組も上がってきて、狭い岩場は大混雑。懸垂2ピッチで降りるが、最後、1ピッチ目のロープが回収できなくなり、O武・H川組が終了点まで再登攀して回収してくれた。
積丹ブルーを見下ろしながら登る
44フェースでS田と・K池組に合流すると、なんと5.11aを登っていた。股関節を故障しているのに、そんな難ルートにトップロープを張れるS田とさん、さすが!触ってみたいものの、翌朝は早出の予定のため、Y田さんが5.10aおやすみをリードで登って終了。
2日目
午後から天気が崩れる予報のため、4時起き5時小屋出発。しかし、駐車場にはすでに2台の車。全員で東の岩稜にある胎内巡りを経て、途中でS田と・H川、K池・M田組はテーブルリッジ4ピッチに、Y城・U飼、Y田・鍋倉、O武・T川組は不動岩稜5ピッチに分かれる。早起きした甲斐があり、両ルートとも先行パーティーはおらず。
不動岩稜の核心は、1ピッチ目の顎のような岩場に立って、小ハングを乗っ越し。手は良いが、なかなか足が決まらない。それを越えれば、岩は堅くて快適なルート。途中、隣のテーブルリッジ組の姿が見えて、声を掛け合ったり、写真を撮り合ったりして楽しい。
不動岩稜からテーブルリッジ組にヤッホー
スタート時間が早かったため、それぞれ9:30頃には登攀を終え、テーブルリッジ組は奥チムニーに移動してフリーを楽しむ。不動岩稜組は続けてテーブルリッジに取り付く。
テーブルリッジの3ピッチ目のビレイ点は、フェースを乗り越えてから少し下がった位置にあり、フォローが登って来た後、さらに4ピッチ目の取り付きまでクライムダウンしてビレイ点を移動する必要があるので少し戸惑う。4ピッチ目の終了点は足元にアンカーが打ってあるため、腰を下ろしてビレイすると楽。
終了点はその名にふさわしくテーブル状の広々とした岩場。昼時に終了したため、ちょうど胎内巡りをしてきた女性ハイカーのグループがお手製弁当を広げていて賑やかだ。
奥チムニーのフリー組と合流するために近道をしようとしたら、ひどいガレ場やトビラという岩場に行く手を阻まれる。最後にいやらしいザレ場を登ってようやく奥チムニーに到着すると、フリー組が5.10b蟹工作船と5級を2本登っていたので交ぜてもらう。ホールドが細かくて、なかなかつらい。
3日目
早朝にサーっと雨音が聞こえ、外を見ると道路がしっかり濡れている。レスト日として、小樽観光に繰り出す。が、段々と晴れて気温がグングン上がり、これなら外岩に行けるかも?という陽気に。
午後からT川・H川組は赤岩小屋オーナーお勧めの塩谷丸山にハイキング、Y城・U飼・鍋倉組は奥チムニーで苦戦した蟹工作船に再挑戦、Y田・S田と・K池・O武・M田組は赤岩小屋に併設されているクライミングジムでインドアクライミングと分かれた。
塩谷丸山は630m程の小さい山だが、山頂からの景色は絶景。蟹工作船は残念ながら落とせず。赤岩小屋ジムは、手で持つホールドはあるけど足を置くホールドが無い、とか、一直線上にホールドが打ってあるルートとかナゾ仕様。
塩谷丸山の見晴台
4日目
S田と・K池組はレスト。Y城・H川、Y田・T川、U飼・鍋倉、O武・M田組は、2日目に登攀した不動岩稜とテーブルリッジに隣接したエビス岩2ピッチに向かう。午前中をフル活用すべく早出するも、エビス岩はあまり登られていないのか、踏み跡が薄く、駐車場から取り付きまで1時間近くかかってしまった。
ルート自体は難しくないものの、岩が脆くて崩れやすく気を遣う。それでいて、岩にロープが引っ掛かり、ロープの流れが非常に悪くて細かい落石が多発。鍋倉さんは、目の前のハーケンが岩から抜けるという恐怖体験をする。だが、終了点に着くと、眼前に現れる不動岩稜は迫力がある。
最後は空中懸垂となるが、ここも着地点を探すのに難儀。懸垂下降点から下を覗くと、幅広のザレ場の急坂で、降りてもとても歩けそうにない。先頭のY城・H川組が、踏み跡にあるフィックスロープまで降りようと試みるも、ロープが足りず登り返し。後続は、途中にあるテラスで懸垂下降を中断し、エビス岩の基部の南側をぐるっと回り込んで取り付きまで戻ることに。取り付きに戻ってから、今朝通ったはずの遊歩道まで上がる道のりは、果てしなく遠く感じられた。
トポには空中懸垂30mとあるのに…
予想外に時間がかかり、疲れて小屋に帰ると、S田と・K池組がすでに小屋をピカピカに掃除してくれていた。そのおかげで、ゆっくりと帰り支度ができた。お二人にはいくら感謝しても感謝し足りない。
出発前は、4日間ものクライミングに身体がもつか不安だったが、あっという間に時間が過ぎてしまった。
小樽赤岩は、岩場までのアプローチが良く整備されているが、あまり人が通らない道はかなり悪い。クライミングの登攀力だけでなく、登山のルートファインディングの大切さも感じさせる内容だった。(記録 T川)
・Y城
今回の遠征はS田とさんのお陰で楽しく過ごすことが出来ました。体調が万全でない中、いろいろとフォローしていただきありがとうございました。逆にリーダーとしてもう少し配慮すべきだったと反省しています。
今回、参加の皆様、今回の遠征が無事終了いたしましたのも皆様のご協力があったこそです。これからもよろしくお願いいたします。
・S田と
今回で3回目の小樽・赤岩、出発前に台風の影響とか4日間の予報が良くなかったので、どれだけ登れるか心配でしたが、予想外に天気に恵まれて、青い空、白い雲、赤い岩と積丹ブルーの海のコントラストが堪能出来て、良い遠征だったと思います。
私はやはり体調不良で思うようなクライミングは出来ませんでしたが、初めての小樽・赤岩の参加者の皆さんが楽しく登れたと言ってくれたので、良かったと思っています。皆さんお疲れ様でした。
・K池
小樽は毎回天気には恵まれ、今回もこの不安定な時期に見事に晴れました。みんな青い空と海、満喫できましたね。
・O武
白い霧に包まれた取付点からリッジへ上がると、霧は晴れ太陽の光を浴びる。
碧い空を見上げ、少しだけ脆い赤壁を慎重に登攀する。
終了点で振り返れば、積丹ブルーの海が広がり、水平線で空の碧と交わる。
最終日、エビス岩からの絶景に感動し、ツアーを伴にしたメンバーに感謝する。
手前がエビス岩
・N倉
赤岩はルートも多く登山口から取り付きまでがとにかくお手軽です。休日は登山を楽しむ方もいましたし、クライミングの心得がある初心者なら優しいルートも有り、クライミングの腕前に関わらずそこを訪れた全ての人たちを迎え入れてくれる素敵な岩場でした。今回参加の皆様、3泊させていただいた赤岩小屋のご主人にも感謝です。ありがとうございました。
・H川
憧れの積丹ブルーを見ながら、マルチ、フリー、ハイキングそして小樽観光と贅沢な山行をしてきました。
テーブルリッジではロープを結んでくれたS田とさん、ありがとうございます。
ロープのスタックや懸垂下降終了点間違いで登り返しが必要になったり、いろいろハプニングもありましたが怪我無く楽しみました。登攀力があればもっと楽しめたと反省です。同行の皆さん、ありがとうございました。
・U飼
青い海と空、白い雲の中のクライミング三昧、とても贅沢な幸せな時を心あたたまる仲間たちと過ごしました。
岩場に取り付くまでがハードで、暑くて汗かきまくり。笑
一番手のリードに初チャレンジしたけど、ルート探しに手間取り、みなさんには心配をおかけしました…。
暑くて汗かき、ルーファイ力不足で冷や汗かき、でしたがその全てを赤岩の絶景とみんなの笑顔が吹き飛ばしてくれました。
クライミング始めて良かったぁ!
小樽赤岩、wonderful!
大宮労山、最高!
Y城L、S田とさんを初め、一緒に過ごしてくれた全てのメンバーに感謝です。
ありがとうございました!
・M田
大宮労山のHPで見た青い海と空、そびえたつ岩稜、行ってみたいなぁ~とずっと思っていた、あこがれの小樽赤岩に行ってきました。
天気が心配されていましたが、1日目の西奥壁正面ルート、歓声をあげながら登る、終了点の狭い岩場でくっつきながら皆で見た空と海、これが見たかったんだ、これだけで来てよかった…と。
2日目 私はテーブルリッジへ、リードと思うだけで体も気持ちも緊張、アップダウンやトラバースがあり面白いコース、そして不動岩稜を登る皆さんに手を振ったりしながら終了、石像のあるテーブルのように広い岩でのんびり寛ぐ、そういう時間は飽きることがない。
テーブルリッジ2P
3日目 前日から天気予報とにらめっこ、朝は雨が少し残り、しっかり道路も濡れていて、小樽観光へ。途中から汗ばむくらいの晴天になり、判断って難しいなぁ・・・と思いながら、私はひたすら北一硝子で物色できて、これはこれでまた良い時間に。小屋に戻った時は疲れもあり、ジムで練習、どれも手ごわい「5.9」でした。
4日目 エビス岩 登る人が少ないということで、探しながらの取り付き口までの長いこと、ガイドブックに全体を通して岩が脆いと書いてあったように、置く足の岩が信じられ
ず、ホールドも大丈夫か?確認しながらの登り、そしてそそり立つ岩峰ゆえ直上する登り、最後は空中懸垂のごとき懸垂、一番緊張した最終日でした
マルチに行くたびにいつも課題多し、行きたいという気持ちだけではだめだなぁ~と。「登攀力をつけてマスターリードの練習をしないと…」といつも毎回何度も言われる言葉、実感するとともに、練習をすれば怖さを克服できるのだろうか?練習します。
心残りはもっともっとたくさんおいしい海鮮を食べたかったかな、4日間行動を共にし、夜は皆さんのいろんな思いを聞くこともでき、楽しい時間となりました。皆様お世話になりました。
・T川
入会したての頃、S田とさんから小樽赤岩クライミングの写真を見せていただき、その美しさに感動。「いつか行ってみたい」という3年越しの願いが、今回ようやく叶いました。
外岩を登ると、自分の強み・弱みが見えてきて、勉強になりました。実地で経験を積むことは大事ですね。でも、「Aゼロうまくなったね」の褒め言葉は、やっぱり喜べなーい!
・Y田
Y城さん、S田とさんはじめ皆さんほんとに楽しく過ごせました。ありがとうございます。赤岩行きたいと手を上げてからローブワーク練習を始める泥縄で随分ご心配かけました。私にはそれも楽しい経験でした。しかし実際外岩に行かなければわからないことかあるのも今回いっぱい有りました。今後もご一緒出来ればと思いますので遠慮なくご意見ください。よろしくおねがいします。
不動岩稜1ピッチ目の小ハング乗っ越し
■日程
7/8(金) 成田空港7:00→新千歳空港9:30 レンタカーで赤岩峠駐車場11:30
マルチ・西壁組、フリー・44フェース組に分かれて登攀。17:00終了。
7/9(土) 赤岩峠駐車場5:20
マルチ・テーブルリッジ&フリー・奥チムニー組、マルチ・不動岩稜&テーブルリッジ組に分かれて登攀。奥チムニーにて合流。15:30終了
7/10(日) 早朝に降雨があったため、午前中は小樽観光。午後は、塩谷丸山ハイキング組、フリー組、屋内クライミング組に分かれて行動。
7/11(月) 赤岩峠駐車場5:40 マルチ・エビス岩組と赤岩小屋の清掃組に分かれて行動。12:00終了
レンタカーで新千歳空港17:30 新千歳空港19:20→成田空港21:00
宿泊 赤岩小屋
■メンバー
リーダーY城、サブリーダーS田と、K池、O武、鍋倉、H川、U飼、M田、T川、Y田