奥多摩・大雲取谷 快適だった沢と大変だった下山

2023年10月14日

前日までに日原鍾乳洞の駐車場まで行って仮泊しようとしていたら、日原集落で夜間道路舗装工事をしていた関係で集落で足止めを食らった。

ようやく道路工事が終わり、八丁橋ゲート前から日原林道を歩き出す。途中で「令和6年6月から供用開始」という表示があった。ちょっとそれに期待するが、今はひたすら歩くのみ。

1時間30分の林道歩き後にようやく大ダワ林道入口に達する。

大ダワ林道は、2010年4月に大規模な斜面崩壊が発生し、またその斜面崩壊を通過しようとした登山者が転落死亡した為、通行止めとなっている。ただ、私には数年前に大雲取谷を単独で遡行し、大ダワ林道を下山路とした記憶が残っていた。あんまり良くはないけれども、でも道は道だった(斜面の大崩壊帯はそれに沿うような形で登下降するルートが付けられていた)。この記憶に基づいて、以降誤った方針を選択してしまうことになる。

下った先の長沢谷には立派な橋が架かっていた。

そこからつづら折りの斜面を100m弱上がり、二軒小屋尾根乗越につく。この当たりから天気が何だか怪しくなってきた。今日は出発時間が遅くなってしまったので当初の大雲取谷から短い小雲取谷に変更したのだが、この天気だと何時雨に降られるかもしれないといった感じになってきた。地図をチェックしたが小雲取谷だとエスケープルートがなく、上まで抜けないといけない。その点大雲取谷は距離は長いが大ダワ林道が並行しているから雨が降ったらいつでも逃げられるだろうと判断し、デッドラインを12:30とした上で当初の大雲取谷に行くこととした。これが「大ダワ林道が通行できる」前提での誤った判断だった。

そこから大ダワ林道を歩き出すが、なんだか結構時間が掛かる。道が結構崩れているのだ。意外と時間を要して大崩壊帯手前のルンゼを下降して大雲取谷に降り立ち、沢装備を身につける。

しばらく歩くと大崩壊帯だ。30m位の横幅で斜面がゴッソリ削られている。

季節はもう10月で水は冷たい。私が腰まで入って通過した箇所を二人は必死に濡れまいと頑張ってへつっている。

好ましい感じの渓相が続く。

以前に来た時は、腰まで水に入って通過したこの小さな滝だが、今回は巻くこととした。

結局最後は懸垂下降を強いられる。

S字峡、見た目は難しそうだったが、左岸を簡単に上がることができた。

以降は登れる滝が次々と出てくる。時々ナメ滝もあって癒やしてくれる。

芋ノ木窪、トチノキ窪が左岸から入ってきて、トチノキ窪を過ぎてすぐの所にある2条8m大滝も左から簡単に登ることができた。

デッドラインと決めていた12:30をわずかに上回った時間に日向窪出合に着。ここから先は遡行の楽しみがなくなってしまうようなので、ちょうどよかったと思い日向窪をそのまま上がって交差するであろう大ダワ林道を探す。

ようやく見つけた大ダワ林道は、しかし何だか頼りない。ほとんど踏まれていない感じだ。不安には思ったがこのポイントで沢装備を解除して大ダワ林道を歩く。

ところが、人が歩かなくなりメンテナンスがされていないと、山腹を巻いているルートは雨で土砂が流れ込み、全然判らない。ルートらしきところを一歩一歩気を付けながら歩くものだからすごく時間を要した。何回か道を失探。

この橋は崩れそうで怖かった。左足をわずかな地面に載せて重心をそちらに掛け、右足はちょっとだけバランスを取る感じで橋に載せて通過。

ここはルンゼに掛かっていた橋が完全に崩壊していた。二人の間にルンゼがあるが、足を踏み外すか、足場の脆い岩が崩れるとそのまま一直線に下まで身体が持って行かれてしまう。ヒヤヒヤしながら通過。

日向窪から芋ノ木窪まで、沢登りとほとんど変わらない時間が掛かった。この先もっと悪くなる可能性もあるし、とにかく神経を使って歩くのには懲りたので、ここでメンバーと協議して芋ノ木窪から上がって二軒小屋尾根まで登り返すことにした。

少し沢を上がって二俣の手前から右手の尾根に取り付く。それ程急勾配ではなかった。支尾根の1520m位の所から北東に山腹をトラバースして二軒小屋尾根に辿り着いた。標高差は約200m位。

二軒小屋尾根は道はついていないが結構赤札がついている。安心して歩けるというのはありがたいことだ。ところどころ、方向確認をメンバー間で共有しながら快適な尾根を下っていった。

極めて短時間で二軒小屋尾根乗越に到着し、あとは往路をそのまま戻るだけ。でも林道歩きにはやはり1時間20分を要してしまい、日没前後にやっと八丁橋ゲートに辿り着くことが出来ました。

結論 今後大雲取谷を遡行するならば、下山路は大ダワ林道は絶対にダメ。二軒小屋尾根か、迂回しての富田新道を降りないと命に関わる。

GPSの軌跡。芋ノ木窪から二軒小屋尾根までは最も高度差が少なくなるように上がったようだ。

コースタイム:八丁橋ゲート6:30-8:00大ダワ林道下降点-8:19二軒小屋尾根乗越8:25-9:03大雲取谷に下降9:25-10:10小雲取谷出合10:15-11:35芋ノ木窪出合11:45-11:55トチノキ窪-12:32日向窪出合-12:50大ダワ林道との交差ポイント13:10-13:41トチノキ窪交差ポイント-13:56芋ノ木窪交差ポイント14:05ー14:53二軒小屋尾根-15:37二軒小屋尾根乗越-15:56大ダワ林道下降点16:05-17:26八丁橋ゲート

メンバー:(リーダー)H高、(サブリーダー)A部、Y田よ

記:H高

 

 

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