山行実施日;2011.07.02-03
参加メンバー;Hi.T、Sa.H、Na.G、Ky.T、Tu.T、To.U、Ma.A、Hi.M
リーダーから計画書とガイドブックのコピーを受け取る。沢の経験が多くない私は、参加のたびに期待感と緊張感が交錯する。洗ノ沢は、尾瀬の笠ヶ岳西側につきあげて、ナメ滝が多く問題となる滝は少なく、ほとんど直登できる。上部でハイ松こぎのアルバイトが待っているとある。「藪漕ぎはとても苦手で嫌だし、荷物の重さも気になるが、この笠ヶ岳までの詰めの藪漕ぎさえ何とかクリアーできたら…よ~し、がんばろう。」と、これを読んだときは、そのようなことを考えながら、期待感の方が大きく広がり緊張の糸が少し緩むのを感じていた。だがこのとき最後の最後まで厳しい試練が待っていようとは思うすべもなかった。
7月2日(土)
大宮駅前のコンビニでKy.Tさんから磁北線入りの二万五千図をかりて、コピーさせてもらう。水上ICから湯ノ小屋温泉を経て楢俣ダムへ。林道のゲートが閉鎖していて、かなり手前で駐車する。共同装備を受け取り、渓流シューズを確認してさあ出発。楢俣川の上流に向かいずいぶんと歩き、沢の近くの林道で日差しを避け、渓流シューズに履き替えて、行動食を取り入渓する。ここで、リーダー指示のもと三人と四人、二つのチームが作られる。今日の目的地、五の沢出合い付近まで、チームごとに、ルートを開拓しながら遡行することになった。きれいな緑の木々、緩やかな流れの中を気分上々で歩く。イワナがいるらしく、「釣り竿持ってきた」と後ろから声がした。誰も持ってない様子で残念。ニノ沢出合までナメ滝が続く。それからもナメや小さな釜を持つナメ滝などが連続する。チームは先になったり、追い越されたりと、それぞれが思い思いのルートを行く。私はナメ状の所はついて行けるが、高巻く所や、もう一歩手の届かない所などは手間取り、ありがたいお助けテープに救われた。洗ノ沢最後の分岐の手前辺りでテント場に良さそうな場所が見つかって一安心。テント設営後、枯れ枝を集め、たき火が始まった。沢でのたき火ははじめてだった。沢の楽しみをまたひとつ知ってしまい火のそばから離れられなくなってしまった。
7月3日(日)
明け方、「ザァー…」とテントに落ちる雨の音で、目が覚めるが大した雨ではなかった。昨日の続きでチームごとに出発する。ナメと小滝を進み、この沢最大の12mの滝もみんなは思い思いのスタイルで軽く巻く。私はやはりモタモタと手間取ってしまった。六の沢を過ぎ、出合の手前で水が涸れるまえに、ペットボトルを満タンにして、いよいよ藪漕ぎに突入することになる。Ma.Aさんの後ろを必死でついて行くが、気が付くと藪の彼方で前方を見失っていた。最後尾なので後ろも振り向いても誰もいない。ザックは幹に引っかかり、オマケに右の頬は枝でザックリと切れて、赤いラインが入ってしまった。そうして、長い間、藪と格闘しながらようやく抜けだせたと思った瞬間、今度はザックごと転がってしまった。自分の身体をコントロールできない自分自身にムラムラと怒りがこみ上げてくる。行動食を取りながら気持ちを落ち着かせていく。辺りを見渡すと一面が高山植物のお花畑で、見たこともない花がたくさん咲いていた。しばらく眺めて花に元気をもらい、やる気を満タンにしてさあ二回戦の開始、再び藪の中に突入する。今度は作戦変更、順番を変えて少し前に行かせてもらい、前の人と離れないようにピッタリとついて行く。藪漕ぎに少しなれた14時30分頃ようやく笠ケ岳に到着する。この時間だと途中で暗くなり、ヘッドランプが必要になりそうなので、出発前に各自用意する。ここで、チームは自然解散となり、Na.Gさんを先頭に片藤沼に向かって急斜面を下る。片藤沼を過ぎしばらく歩き、振り返ると先ほどの笠ケ岳が大きく見えた。それからは、「ヘッドランプがいらない時間までに駐車地点までになんとか戻りたい」との思いで歩みを早める。が、ブヨが邪魔をする。昨日、沢の途中から出現したブヨは、下りの途中も、さらに数を増してきてしつこく、つきまとう。休憩中はもっと大変で何度も防虫スプレーするが、いつまでたってもしつこい。何ヶ所も刺されてかゆくてたまらない。避難小屋を経て、旧林道出合に出たのが18時、あともう少しだ。このときはまだ辺りは明るく、ヘットランプなしで戻れる気がした。みんなの歩みがさらに早くなる。下っているのにまた登りだ。そんなアップダウンが何度も続く。また次の登りの前に後ろから誰かが「こんどこそ最後の登りに違いない」とのつぶやきに同感し期待したが、さらにこの後もうんざりするほどのアップダウンが1時間以上も続く。暗くなりとうとうヘットランプの出番がきてしまった。それから、45分後、舗装の林道に出る。20時10分頃、無事駐車場所に到着し、これでようやく長い山行が終わった。「こんなに遅いとお風呂に入れるだろうか?でもこのままでは帰れない。どうしても入りたい」ということでそれからお風呂を探したが見つからず、以前水上の町で遅くても入れたという旅館に行き入浴することができた。その後食事をして、帰宅したのは日付が変わり1時を過ぎていた。目覚めて洗面台の鏡を覗くと、両目の瞼は腫れ上がり右の頬には赤くて長い切り傷と、厳しい試練の跡がそこにあった。こうして、私の沢のシーズンは終わった。
リーダーはじめ、みなさんに感謝。来年もまたよろしくお願いしま~す。 (Hi.M記)
コースタイム (GPS)Sa.H (記録)Ky.T
7月2日(土)林道ゲート手前10:45・・・入渓12:50・・・テン場15:30
7月3日(日)テン場6:04・・・尾根取り付10:50・・・笠ケ岳14:30/14:50・・・旧林道出合い18:00・・・舗装林道19:45
・・・駐車場20:10