丹波川本流遡行

山行実施日;2013年9月1日
参加メンバー;Ke.H、Ka.S

コースタイム:三条新橋09:45-第一の淵09:58-10:05坊主淵・犬戻り10:13-10:29手取淵10:38-10:40胴木滝10:50-11:50丸山入道淵11:56-11:59銚子滝12:04-おいらん淵上車デポ地点12:13

まだまだ暑い9月第一日曜日に水泳登山を企画した。S木さんと二人ならば一ノ瀬川本流もあわよくば行けるだろう。そう思って、全体行程のほぼ中間地点である一ノ瀬川出合のおいらん淵の青梅街道に昼食食材を入れておいたS木車をデポし、いったんそこで昼食休憩してから再度一ノ瀬川にトライする計画とした。出発地点の三条新橋でS木さんに待っていてもらい、おいらん淵(現在はトンネルの新道が迂回しているので、正確にはおいらん淵への旧道を塞いでいるゲート前)にS木車を停めてから折り畳み自転車で三条新橋に戻り、入渓。

晴天続きのため、滅茶苦茶水が少ない。最初の淵もいつもだったら胸まで入るようだが、腰上で突破。振り返ってS木さんを撮したらズブズブ胸まで潜ったが、そんな水量ではない。。(写真1)よっぽどうれしかったのか、鈴木さんはラッコ泳ぎまで披露してくれた。(写真2)

続く犬戻りのところで先行者2名パーティと釣り人2名に追いつく。釣り人は巻いているが山屋は淵に取り付いているので、順番待ち。見るとアンザイレンしているが、水量が多いわけでもないこのフィールドで何故?と思ってしまう。両名とも50代後半以上の方とお見受けしたが、特にフォローの人の足取りがちょっとおぼつかない感じであった。この感想はあとで的中することになる。

 

彼らを犬戻りの出口、坊主淵の手前で抜き、坊主淵も何とか泳いで突破。続く手取淵は幅2m、長さ30mの長い淵だ。左岸をずっとへつっていくが、最後の出口のところがホールドスタンス微少でちょっといやらしい。私はぶら下がっていたシュリンゲに全体重を預けて振り子トラバースの要領で何とか通過したが、S木さんはピタッと岩に張り付く感じのノーテンションで通過、さすが大宮労山の沢マスターである。。(写真3)
しばらく歩いたら胴木滝4mが結構な水量と轟音で迎えてくれる。ここは左岸に巻き道があり、また左岸の水線沿いにフィックスロープもあるのだが、初見の私はあんまり考えずに右岸の水線沿いを登るべく、淵を泳ぐ。以外と水量強くて手強かったが、何とかテラスに這い上がり、シャワークライムで滝上に立つ。続いて登ったS木さんは今までこのルートでは登ったことなかったとちょっと興奮気味。どうやら今まではここまでの泳ぎで体が冷えてしまい、巻いていたらしいが、今回は水量が少なかったことと、ウェットスーツを着用されていたので体が冷えずトライする気になったらしい。やはり山登りにおいて十分な装備は必要である。私はいつもの何にもなし格好だったが、やっぱり寒いし泳ぐ体勢を見てみるとウェットスーツを着用しているS木さんより気持ち沈んでいるので、その分推進力より浮揚力のために脚を使わないといけない。(写真4)

ピョンピョン河原を歩く感じで脚を進めると丸山入道淵15mが行く手を阻む。ここは水量穏やかなようだが結構な流れなのでストレートに右岸沿いを泳いでいたら一旦流されかかる。リトライして右岸沿いに泳ぎ、後ろを泳ぐS木さんに背中を押されてきつい流れの流芯を越え、若干流されつつも何とか右岸の岩に手が掛かりヤツメウナギ泳法で突破。今回はここが一番難しかった。(写真5)

古びたロボット監視塔を左岸に見て、一ノ瀬川出合を過ぎると最後に銚子滝8mだ。ここは右岸の水線沿いをちょっと水を被りながら直登(写真6)。最後に出てきたおいらん淵15m滝はどこをどう見ても登れる気がしないので、じっくり見てから踏み跡をたどって青梅街道旧道に這い上がり、舗装道路を歩いてゲート前のS木車に着

(写真7)。ここまでの所要時間は2時間20分位だったのでえらく早い。ラッコ泳ぎでザックの中身が全部濡れ鼠となったS木さんは干し物。その間にチンタラ豚汁とうどんを作ってグダグダと話をする。この時間経過が何とも言えずによい。

話していながらも何となく私自身には違和感があった。後続パーティーは何故来ない?ここに1時間以上いるから普通に歩いていたら必ず来るはずである。途中で並行して走っている青梅街道に簡単に上がれるポイントは見たところ無かった。

嫌な予感は当たった。一ノ瀬川水泳登山にトライすべく、まずは尺取り虫の要領で三条新橋に置いてある自転車を回収するために青梅街道をS木車を走らせていたら、途中で救急車と消防車が路側停車しているのに出くわす。車側に残っていた消防隊員に話を聞くと、眼下の丹波川で要救助者情報があり出動したのこと。遭難者は山登りをしていたらしい。

この情報を得てから一旦自転車を回収し再度青梅街道を戻る。途中で深刻そうな表情をしている沢登りルックの4名が往復ともまだその位置にいた。

おいらん淵で待っているS木さんに聞いてきた事実を伝える。今まで一ノ瀬川を遡行する気満々だったのだが、風船の空気が抜ける感じで一気に登る気がなくなった。

とりあえず遭難現場に行ってみることとして車を走らせる。降りて4名組と話をしたら、そのうちの一人が私たちが抜いたアンザイレン2名組のトップで歩いていた人だった。

その人に確認すると、胴木滝を我々と同じルートで登っていたらフォローの人がテラスに這い上がり、シャワークライミングを登り始めた段階で急に動かなくなってしまったらしい。ザイルを緩めたらそのまま淵に入ってしまったのでクライムダウンして確認したら心肺停止状態を確認したとのこと。後続していた3人の沢登りパーティーに救助を求め、青梅街道に這い上がって丹波山村の消防署に救助要請したとのこと。

沢に降りた消防隊員が心臓マッサージをしている様だが、もう結構な時間がたっているため状況はかなりよくない。そうこうしているうちにヘリが飛んできた。ホバリングして救急隊員2名をラペリングし、要救助者と救急隊員をホイストアップして去っていった。ただ、この間の時間は結構係っていて、その間青梅街道の通行車に通行を待っていて貰う(ヘリコのダウンウオッシュがすごいので)お手伝いをしながら救助作業を見守っていた。数年前の埼玉県防災ヘリが荒川上流のブドウ沢で墜落した二重遭難事故を意識していたのか、ヘリコは非常に慎重な対応で時間をかけて対応していた。従事している消防隊員には正直感動だ。そしてホイストアップされた要救助者の担架を見ながらパートナーだった人が合掌していたのが網膜に焼き付いている。私も黙祷した。

一ノ瀬川を登る気力もなくなり、また天気も悪くなってきたのでそのまま帰埼した。

もう少し出発時間が遅くなっていれば我々も救助要請を受けていた可能性がある。その時に何が出来るのか?出来る限りのことはしないと行けず、そのためにはまた研鑽が必要かと思った次第です。  (Ke.H記)