伊那山脈最高峰鬼面山

2016年10月26日~27日

テントの中は松茸で大騒ぎ

十月二十六日、二十七日と 二日間、日本のチロル「下栗 の里」を巡る旅と南アルプス 前衛の伊那山脈最高峰「鬼面 山」に登る目的で、出発した。 メンバーはTKさん、K原塚 さん、S々木雅枝さん、福D 二人。 一日目は、日本のチロル「下 栗の里、しらびそ高原」に向 かう。真っ赤なすずなりのリ ンゴの木を見ながら、車は走 る。その後「松茸」「松茸」と、 幟が、ハタハタと風になびき、 我々を呼んでいる。どうやら この地方は松茸が名物らしい。 「松茸」の季節、一生に一度 触ってみたい、食べてみたい、 うちに そんなおしゃべりをしている 「松茸を買って、今夜、 テントの中で食べようじゃな いか」という事になった。 「で も、高いよ」 「皆で割り勘すれ ば、安い」等々。車の中は大 騒ぎ。でも、いざとなると「こ の店は高そう、やめよう」等、 尻込みしてしまう。車はどん どん高度を上げ、山道に入る。 だんだん民家がなくなり、あ あ、やっぱり「松茸」は夢の 中か、と、あきらめかけてい ると、一軒小さな「道の駅」 に出会った。数台車が止まっ ていた。様子を見に私が代表 で店の中に入る。なんと、店 の中には、本物の松茸が、パ ック詰めにされ、並んでいた。 びっくりして、声も出ない。 皆もゾロゾロ車から下りてき た。大きいのやら、小さいの やら。驚くのは値段、安いの です。パックにシダの葉を敷 き七本入って「六〇〇〇円」 これなら、今夜全員に一本ず つ、余った二本は鍋の中に入 れようと、買う事に。他に、 「シ ョウゲンジ」 (六百円、 )パッ クにあふれんばかり大盛りの 「ヒラ茸」(三百円)を買う。 松茸を買った時は、胸が躍っ た。今年は雨が多く暖かかっ たので、松茸は大豊作なんだ そうだ。この夜のテントの中 は、 「松茸」で、大騒ぎ。松茸 を割り箸で串刺しにし、丸焼 き。松茸のよい香りがテント いっぱいにひろがった。今夜 は松茸、平茸、ショウゲンジ、 秋のきのこいっぱいの鍋、す ごい贅沢鍋です。一年に一回 だけの贅沢。お腹いっぱいに なって、早めのおやすみなさ い 昼間 。 はよい天気でしたが、 その夜、雨が降り始めた。夜 中に雨は止み、トイレに外に 出ると、交通事故のガラスの 破片の道路のようにキラキラ 輝く満天の星空。こんな夜空 を見たことがない。急に怖く なり、ゾクゾクと寒気がして、 伊那山脈最高峰鬼面山 テントの中は松茸で大騒 福 ぎ D すぐにテントの中に潜り込ん だ 翌日二十七日 。 はいよいよ楽 しみにしていた「鬼面山」。朝 からよい天気だ。ガイドブッ クを読むと「途中岩礫の急斜 面でやせた尾根上は手がかり もなく、ストックかピッケル があると重宝する」と、書い てあったので、どんなにか恐 ろしい所だろうと、ドキドキ。 登山口に三体のお地蔵様がい らした。手を合わせ「神様、 仏様」と拝んだ。最初からい きなりの急登。やせ尾根。木 の根っこが盛り上がり、尖が った岩、ザラザラの石で滑り やすい急登。また、半分、登 山道の土が落ち、崩壊してい るザレ場、全く谷底も見えな い。下から冷気が吹きあがり ガスがモアモアしてるだけ。 恐ろしい所だと速足で通り過 ぎる。登り始めから恐ろしい 登山道で、ガイドブックに出 てるこれ以上恐ろしい場所は いつ出てくるのか、心配ばか りしていた。ぐんぐん高度を 上げ後ろを振り返ると、遠く、 いや、近く、高く大きな山が 見えだしてきた。あれは、南 アルプス?恐ろしく高い。 ようやく穏やかな登りになり、 ブナの巨木が登山道脇に一列 に堂々と生え、とても立派だ。 標高一七〇〇mから一八〇 〇m辺りになると苔むした針 葉樹の森に変わった。緑の苔 が実に綺麗だ。可愛い森の精 が現れてきそうな気持のよい 場所。そしてさらに高度を上 げて登ると木々の間が狭くな り、登りつめると目の前がパ ッと開け、鬼面山山頂到着。 山頂には、郵便ポストと物 見櫓が建てられてあった。丸 太で作られ、古い櫓で腐って いた丸太もあった。皆、子供 みたいにはしゃぎながら梯子 を登っていった。 「ワすごい 景色だ」 「気持ちいい」「福D さん早く上がっておいでよ」 「私は高所恐怖症だから行か ない」 「南アルプスが良く見え るよ。中央アルプスもよく見 えるから、早く、早く」と言 われても、しばらくは下で、 抵抗していたが、上で、なん やかんやとうるさい。ついに、 垂直の八段はあったと思う木 の階段を一歩一歩上がってい った。暖かい空の上にとびだ した。真っ青な大空。三六〇 度の大パノラマがひろがった。 中央アルプスの千畳敷カール や宝剣岳、ホテルまで見えて いた。あの時は高山病にかか ってしまい、辛かったな。で も、来年の夏は木曾駒が岳に 登ってみたい。南アルプスは もう、一生、縁のない場所、 むなしい、と、思いながら、 ながめていた。 今日は我々だけの独占の山 と思っていたら、ひょっこり 一人の男性登山者が登ってき た。神奈川県から日帰りで来 たという。さっそく、カメラ をお願いしてしまった。よか った。皆で記念写真を取るこ とができ、嬉しい。下に下り てゆっくり昼食を取った。郵 便ポストを開けると部厚い 「記帳簿」と紐でつながれて いるマジックがはいっていた。 ページをめくると、この山に 登って来た人の住所と名前が 書いてあった。我々五人の名 前もかいた。この山に来る人 は東海、関西地方が多い。そ して、この山は一等三角点の 山だった。1889mの伊那 山脈最高峰の山。 帰りは素晴らしい紅葉を楽 しみながら、ゆっくり下りて きた。登山口近くのモミジは 緑、まだ、紅葉していないの に気がついた。結局、ガイド ブックに書いてあった場所は 最初の部分で知らずに通り過 ぎたみたい。登山口にあるお 地蔵様にお礼のご挨拶をした。 ワンカップの酒、いろいろな ジュース類、本物の生花束ま でしおれかけていたが、お供 えしてあり、地元に愛されて いる山であり、お地蔵様だと いうことがよくわかる。伊那 山脈は遠かった。でも、明る いすがすがしい山脈、また、 春に、秋に訪れてみたい。秋 はもちろん、 「松茸」を買い占 めたい。 素晴らしい山計画をしてく ださり、ありがとうございま した。またまた、私のお気に 入りの山が増えてしまった。 新しい世界がまた広がりまし た。「鬼面山」は秋を迎えるこ ろ、夕日をうけ、赤鬼のよう に真っ赤に染まることから、 誰ともなしに「鬼面山」と、 呼ぶようになったという。そ ういえば克己さんの鼻の頭が、 福D利光は顔全体が日焼けし て、赤鬼のように真っ赤にな った。登り始め七時二〇分下 山は午後一時三〇分。 日本のチロル「下栗の里」は 日本初巨大クレーターの残る 里。大鹿村は中央構造帯のあ る地形。地質学者なら、ワク ワクしてしまいそう。桜の咲 くころ皆さん行きませんか。 「この指とまれ」 (記 福D)