雪にめぐまれすぎた 雪上訓練 谷川岳ロープウェイ近辺

2020年12月19日~20日

出発二日前の16日、日本海側一帯で大雪が降った。関越道では数百台もの車が立ち往生し、自衛隊が救助に出動するほどだった。雪がなければ雪訓はできないが降りすぎても困るものだ。予定していた日光白根は車で入るのにも駐車するのにも難儀するだろうと、ロープウェイの駐車場が利用できる谷川岳へと変更した。

18日㈮夜に出発。大雪の影響だろう、関越道に車は全くといっていいほど走っていない。月夜野から先はまだ通行止めのため沼田から下道で行く。天神平スキー場は19日㈯からオープンらしいが深夜に着いたところ駐車している車は皆無だった。我々以外誰もいない寒々しい駐車場の最奥部に車を止め、H川さんとH間さんは車中泊、A部みさんと私はソロテント、H高さんはそのまま寝た。

翌朝も大降りでないがしっかりと降っていた。ベースキャンプ予定地は指導センターのすぐ上のため、ゆっくりと準備し 8 時 30 分に出発した。指導センター前でA部みさん主導でビーコンの受信・送信チェックを済ませた。BC予定地に着き、コロナ対策兼耐寒訓練として、就寝用のソロテント4張に飲食用の6人用テント1張を張った。それなりのスペースとなるので設営に2時間かかった。

共同テントで昼食をとりながら、午後からの訓練内容について話し合う。当初の予定では滑落停止、ビーコンでの捜索、スノーアンカーの支点設置、スタンディングアックスビレイ等々であったが、大雪になった時点からできる範囲で実施すると決めてあったため、BC前の斜面を利用してスタンディングアックスビレイのみ行うこととした。

雪の降る中、スノーシャベルを利用した支点を作った。しっかり埋め込んで、スリングを長くして上に引っ張られないようにすること等に気をつければ、柔らかい雪でも抜けなかった(上側に引っ張ったらスルリと簡単にシャベルが動いた)。

次にスタンディングアックスビレイ。先陣を切って私がビレイ役、H川さんが落ち役をやってくれた。ピッケルを埋め込み、60cmダイニーマスリングを半分にしてシャフト先端にタイオフした。H川さんが登るところを肩絡みでロープを手繰り寄せ、適当なところでH川さんに落ちてもらったが、想定していた以上の衝撃荷重が肩にのしかかった。肩と両手の力いっぱいのグリップで何とか止めることができたが、想定ではセカンドが自力で登ることができずトップが救出に向かうこととなっている。荷重を支点に移し替えるために、まずはハーネスにかけたカラビナにインクノットで仮固定しようとするが、右手がなかなか離せない。足を踏ん張り、体を山側に思いっきり傾けて肩にロープをめりこませて、右手をなんとかフリーにしたが、それも束の間、私の肩と左手は耐えきれず、H川さんは雪上へと墜落した。

その後、各々も試したが結果は同じだった。本番ではザックの重量も加わり訓練時よりも体重差は大きくなるので、体重差のあるペアでの肩絡みで滑落した場合には、救出はおろか、確保者も吹っ飛ばされることも大いに有りうると感じた。 夕食は石狩鍋。沼田のコンビニの地元産コーナーで買ったひもかわうどんが旨かった。コロナ対策の名目のため共同テントは食事のみで、寝るのは各自のテントの予定であったが、雪は一向に止む気配がなかったため、冬用外張りを付けていたH間さんと私以外は共同テントで寝ることにした。夜の間も雪は降り続け、夜中に幾度か雪掻きをした。雪の重みでテントの広さが半分程になっており、特に風除けのブロック側に多くの雪がのしかかっていて、これは風除けから雪崩れてきた雪によるものだった。降雪が予想される際は風除けから離したほうがいいと勉強になった。

朝になるとH川さんとA部みさんのテントはすっぽり雪に埋もれていた。一晩でゆうに1mは積もったようだ。雪は昨日より激しくなっており、即撤収して下山することにした。

1張ずつみんなでテントを掘り出していく。朝食のキムチ雑炊で温まった体もすぐに冷えた。撤収に2時間強かかった。下山時は風雪強く、数m先の視界がなかった。はぐれないようにお互いの距離を空けずに進む。胸まで積もった柔らかい新雪のラッセルはなかなか進まず、指導センターまでの約200mに1時間かかった。駐車場に戻ると悪天候のためロープウェイは運行中止だった。湯テルメ谷川で冷えた体を温め、帰路に就いた。

メンバー:リーダーH間、A部み、H川、H高、T葉

コース:12 月 19 日㈯ 谷川岳ロープウェイベースプラザ8:30~訓練終了16:00     12月20日㈰ 起床7:00~撤収8:40~11:00~下山12:00

記:T葉

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