2021年 10月30日
品塩山と聞いてすぐにピンとくる人は少ないだろ。打田鍈一著『薮岩魂』でその名前を知った。ド急登と地図読みの山だそうな。
登山口の標識はない。路肩のスペースに車を置き、眼下の中之沢に下降する。以前は丸太橋があったらしいが今はない。わー! 夏以降6度目の渡渉だ。外気温4℃の中渡渉する。絶対ドボンしたくない。沢装備ではないので慎重に渡る。私にとって今日の最難関かも。
渡渉を終えてひとまず安心。でも、足が冷たいよー。さて次。どこから尾根に取り付く? 地図とスマホを見ながら方向を検討する。多分あの尾根だねと急斜面を行く事に。もちろん踏み跡なし。落ち葉とザレ場。滑るー! あーまただよ。いつもこんな斜面ばっかり! 切り込み隊長のH竜さん早い。どんどん行ってしまう。更にザレ場をトラバース。やった! 送電線の巡視路に出た。とは言え、ザレていないだけで谷筋の急登は続く。東電さんは大変だ。
207号鉄塔で尾根に出る。わ、朝日が眩しい。わ、青空。わ、山並み綺麗。霜が降りていた。
しばし稜線歩き。アップダウンはあれど“ド急登”ではない。助かるー。樹林帯なので樹々の間に山々が見えるだけ。でも、日の光を受けて落葉寸前の葉が黄金色に微笑んでくれた。「わーきれいねー」「ほんとねー、黄葉だねー」「あん? 何がきれいなの」メンバー3人の会話だ。一人、情緒の無い奴がいる。無視! 先に行こ。
程なく三枝分岐。ここから山頂まではピストンだ。南に西上州らしい尖った山が見えた。品塩山だ。南の尾根沿いに行くが岩混じりの急下降。やっと“薮岩”になってきた。鞍部に出ると、ん? 黒い塊がたくさんある。わわ! クマ君のうんちだ! 写真を撮るH竜さん。自分の顔を近づけてうんちと一緒に自撮りすれば? もうクマ君イヤ! 今年すでに一度会っちゃったし。
クマ君に会わない事を願いながら北峰を目指す。「ちょっと楽だね」「でも薮岩魂の上級編に載ってる山だよ。これで終わらないよ、きっと」やはりその通り。北峰の登りはバリバリのバリだった。枯れた木の根、草の根、苔まで掴まないと登れない。帰り、ここ降りられるかなぁ。来ちゃったから仕方ないなぁ。さすが西上州。悪戦苦闘しながら標高差70mを登る。
先の尾根は、地形図が『幸せな尾根歩き』と言っている。が、アップダウンは続く。やがて南峰着。御多分に漏れず小っちゃな山名版があった。
ここでホッとしてはいられない。三枝分岐まで戻る。まずは先程のあの斜面の急下降だ。
Let’s go! 北峰へ戻り、更に来た尾根を下り…? ん? 尾根が無い。崖ばかり。スマホで軌跡を見る。その方向に尾根はあった。が遥か下だ。え、え、え、この崖を下りるの? 恐る恐る覗き込む。確かにそうかも。こんな所よく登って来たね、フー! あんなに下まで行くの? ここ垂直だよ。でも仕方ない。慎重に下りよう。
三枝分岐からトヤノツムジを目指す。尾根を行くが、地形図を見ると支尾根が多い。打田鍈一さんも迷ったという。正面の広々とした尾根に突き進みたくなるようなピークあり。私達の行くべき尾根は左。またまた急勾配だ。あっちの尾根の方が楽そうなのになぁ。地形図のその先は等高線が詰まっていた。
3人で、標高と方向を確認しながら行く。MSさんもちゃんと地形図をダウンロードして持ってきている。さすが。「スマホは便利だけど、全体を見るのには地形図がいいね。」たまに、赤テープがある。赤テープを頼りにしてはいけないとはいえ、こんな時は心強い。
それにしてもいいお天気。大ナゲシ北稜程の厳しさはないので歩きながらも周りが気になる。展望が開けた所はないが、雲一つない青空と黄葉。樹々の間から稜線が見える。あれがマムシ岳かな。要所要所でH竜さんは必ず地図とアプリで確認していた。真似せねば。
目的の鉄塔に着く。犬の鳴き声が聞こえる。人家が近くなったらしい。やがて最終目的地のしおじの湯が見えてきた。地図読みドンピシャ! とうちゃーく! 迷わなかったね。今日は藪漕ぎなかったね。でも、クマ君のうんちはたくさんあったね。
しおじの湯のカウンターの男性。「どこの山に登ったんですか」「品塩山です」「フフフフフ」?? あの笑いっていったい…?
メンバー L.H竜 MS TN
コースタイム 登山口6:50~三枝分岐8:00~品塩山北峰9:00~品塩山南峰9:15~品塩山北峰9:30~三枝分岐10:20~トヤノツムジ11:40~しおじの湯12:40~登山口13:20