北ア・白馬岳~欅平 壮絶な藪漕ぎ四時間四十分の奥鐘山

山行実施日;2010.08.04-09
参加メンバー;Te.I.

 大唐松山に続いて北アルプスの二百高山を登りに出かける。夜行列車の為寝不足気味で白馬にて下車し猿倉へ。白馬尻荘を7時に出発、暑いお天気の中を涼しい大雪渓を登る。白馬岳頂上宿舎のテント場に11時半頃到着する。テント設営後に旭岳に向かう。旭岳は縦走路から外れていて一般には登られていない山で標高2867m。稜線から清水岳への縦走路へ下り、雪田を越えて旭岳への手前の稜線近くで小さなケルンのある微かな踏み跡に従って、急なガラ場を登る。踏み跡はジグザグに上っていき岩峰の端っこに登り着く。山頂は細長く吊り尾根のようだ。白馬岳との間は爆裂火口の雰囲気である。山頂に13時、 展望は良い。明日登る予定の鉢ヶ岳や清水岳への縦走路も望める。テント場に帰り早々にビールから宴会を始める。夜半に小雨が降った。

翌日も良い天気で5時半に出かける。鉢ヶ岳は白馬岳~雪倉岳への縦走路から離れている2563mの山。白馬岳へ登り、さらに先に進み三国境を雪倉岳への縦走路に入る。ざれた道を気持ちよく下り蓮華温泉への道を右に見てさらに下る。目の前に鉢ヶ岳の細い岩稜気味の稜線が望める。下りきるが手前の稜線は手強そうなのでトラバース道をさらに進む。二ッ目の尾根手前の沢(雪田)から登れそうなのでガレた急坂を登り始める。這松を避けてさらに登るが最後は這松漕ぎを強いられ、やっと8時半頃に山頂に出られる。山頂は広い瓦礫の尾根で展望は良いのだがガスで今一、南に白馬岳、旭岳、清水岳への稜線、北に雪倉岳、遠くに朝日岳がガスの合間に望めた。一時間ものんびり過ごし往路を戻る。白馬岳を登り返しテント場に12時頃戻り、昨日同様に宴会を始める。

 三日目も良い天気だが少しガスが出てきた。5時半出発、一昨日登った旭岳を右に見て裏旭岳へ登る。さらにアップダウンのある稜線をお花を眺めながら進む。清水岳直下に7時半着。少し北に登り2603mの最高点、何の標識もない山頂だった。清水尾根を下るが朝露にズボンはしっかり濡れていてカッパに着替えるが、歩きやすい道になって途中で濡れたズボンに戻す。お花畑を眺めながらドンドン下る。不帰岳避難小屋に到着する。予定では不帰岳を登る気でいたが、標高差100㍍の藪漕ぎの入口が探せず諦めて祖母谷温泉に下ることにする。約4時間の下り、登山者が少ないためか登山道の整備があまりされていないようで、尾根歩きからトラバース道が多くなった後半は、展望もなく長いこともあり飽き飽きしてただ下る・歩くのみになって決して楽しい道ではなかった。やっと(ほんとに)祖母谷の林道に13時に出る。暫く林道を歩いて祖母谷温泉に到着。早速温泉に入り、ビールを美味しく頂く。

 四日目も良い天気。本日は藪こぎの奥鐘山へ登る予定。奥鐘山は西側の岩壁を登るクライマーの山として知られ、当然下山道として尾根通しに奥鐘山、1493mピークを越えて南越峠から祖母谷温泉への道が使われていた。この下山道を使って山頂に登ることにした。昨日小屋番に相談したら、登る人が時たまいるが3~4時間藪と格闘して諦めて敗退して帰ってくる場合もあるとのこと。少々不安を感じながら6時頃出発する。唐松岳登山道を南越峠へ向けて樹林帯の登りを上る。峠に8時着。右側の尾根に赤布が有り、それに向かって藪に突入する。尾根を忠実に進むが踏み跡なんて無い。笹竹混じりの灌木藪を掻き分け掻き分け進む。常に地形を眺めながら、地形図と高度計を確認し、さらに物好きのパーティーの付けた赤布(テープ)を探しながら進む。1493mピークからの下りは尾根が広くて帰りに迷いそうな気がした。下りきり登り返すがかなりの急坂で立木を頼りに上る。(鎌倉沢の白滝上部の灌木登りを思い出した。)右側が切れ落ちている狭い尾根を過ぎ、またもや急坂を登り切ると山頂(前方が下っている)らしき処に出る。立木に赤布が数個巻き付けてあり地面には建設省の標識があった。山頂に10時半到着、意外と早く登れた。展望は全くなく、感激も疲れてあまり無かった。早々に往路を戻る。最低鞍部に何とか間違えずに戻れ、1493mピークに向けて登り始める。が、何だか少し地形が記憶と違う気がしたが何とかなるさ!で先に進む。途中に小さな池(水溜まり)が有ったはずだが探せない。少し右側に寄りすぎたようで左に藪を掻き分けて修正し赤布を見つけてホッとする。赤布は数種類有り、それぞれのパーティーが歩いたルートに付けてあり、違う赤布を探すとルートが違ってくるようだ。行きに心配した広い尾根で再度迷う。アブと蚊に常に襲われながらの藪漕ぎは結構辛いものがある。やっとの思いで1493mピークにたどり着く。残り約300mだと思うと少し安心する。此処では左に寄りすぎて再再度修正する。焦る気持ちが歩いた距離を過大評価して、もう登山道から藪に突入した場所に近いと思いこみ、登山道がある左下方面に進むが、藪で阻まれる。思い直して尾根まで登り返す。こんな事を二度繰り返すが、諦めて無理矢理右トラバース気味に下る。やっと12時40分に登山道に出るがかなり下った処に出た。ほんとにホッとして暫し座り込んでしまった。藪漕ぎ4時間40分、疲れた体に気合いを入れて祖母谷温泉に向けて下る。温泉14時半着。疲れた!。Tシャツは藪こぎで黒く汚れ、鍵裂きで破れていた。さらにズボンも木の枝に引っかけて無惨に破れていた。ザックも汚れて家に帰って洗ったほどだった。温泉に浸かってしみじみ壮絶な藪こぎを思い出していた。

 最後の日は観光旅行、朝からのんびりと温泉に入り散歩気分で欅平へ、トロッコ電車でビールを飲みながら宇奈月温泉。電車を乗り継いで富山から高速バスで、美味しいお酒を飲みながらうたた寝を楽しんで帰ってきた。

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