夢と現と幻の御神楽岳

2017年10月8日~9日(祝)

雪山・沢・外岩に続き入会後四回目の山行でした。私にとっては、初めて『初めまして』の挨拶がなかった山行です。

前日の高倉山に続き七人。御神楽岳には、旧道の蝉が平から登り、一般道を下山して室谷に下山の予定です。車が二台に増えたので、下山口の室谷に一台をデポ。身支度を整え、予定七時間の長帳場にイザ出発!
登山道の入り口に笹のしめ縄(?名前わからん)ここから先は神域なんですね。『神様お邪魔させて下さい』とご挨拶して笹をくぐる。

ものの五分も歩かないうちに崩壊場所が現れた。下は沢。ありゃー先が思いやられる。三m下りてまた登り返して、どうにか通過。ふー。ザレ場を何ヶ所かトラバースして第一徒渉点へ。
更に小さな沢を二つ通過し、難所の第二徒渉点に到着。苔むしたツルッツルッの岩の上に倒木が重なる。右に転べばドボン、左に転べば数メートル下の沢へ滑落。あー神様! そこにK池嬢先陣で突撃! さっすが! みな後に続く。枝にぶつかった帽子を直すと「T中たさん、帽子なんか構ってないでここに右手置く!」とK藤さんからの声。ごめんなさい。
そんなこんなでやっと湯沢の出合に到着。ここまで約二時間。こんなん水平道の方がよっぽどマシ! 木の間にスラブが見え始めた。あんな所まで行くんだー。
ここまで殆ど水平なので、標高は稼いでいない。ホッとする間も無く、ここから展望の無い急登が続く。まだ標高差1000mあり。樹林帯を黙々と登る。汗が滴り落ちる。ドボンはないが、今度は急登と岩場。

先程から高頭(こうつむり)がずっと見えてはいるのに全然近づかない。ただ、展望は開けてきた。岩場の急登が連続し、休憩を取った。さあ出発と立ち上がり、目の前に見えたのは『蟻の塔渡⁈』。マジー⁈ でも、戸隠よりは短いし、高度感もまだマシかな? 足がかりに赤ペンキが塗ってあって、すこーし親切。でも、怖いものは怖い。

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やっと高頭に到着。予定コースタイムなど知らん。何時間オーバーかも知らん。ただ疲れた。周りを見渡すと、右も左もスラブが突き上げる絶景。時折、山頂にガスがかかり視界が無くなったりもする。これこれ、この絶景! 疲れが吹き飛ぶねー。
高頭から、湯沢の頭へと五十mダウンして、また登り返す。岩場岩場の連続だぁ。フツー一般道なら鎖やトラロープがあるだろうに、そんなもん無し。これから、また岩場という時「ね、K藤さん、そのリュック、オスプレー?」とH竜さん。「うんそうだよ」「オスプレー、最近、よく落ちてるよな」クー! これから急登の岩場って時に言うな!! でも、高度が上がる度に眺望はどんどん良くなっていく。「ねーH竜さん、きれいねー」「あー」ン⁈ン⁈
湯沢の頭を越えても岩場岩場の連続。でも、高度を上げると、 それだけ紅葉の色も鮮やかになってくる。振り返ると、今迄登ってきた尾根筋がよく見える。

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「ねーH竜さん、きれいねー」「あー」「あーじゃなくてきれいって言って」「きれい」「H竜さんにきれいって言わせるのは無理だよ」ごもっとも! 相手が悪かった。登りはきついが、絶景のため口調は軽い。

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雨乞峰が見えるが、中々届かない。目の前なのに急登の連続で、ちっとも楽をさせてくれない。最後くらい楽させてー。でも、尾根筋に出たからもう少し。深い谷と突き上げるスラブに紅葉。私の体まで紅く染まったみたい! 遠くには飯豊連峰が青い。きれー!
雨乞峰到着14:32、しかし、その先にある山頂はガスがかかったり晴れたりで、行っても展望の保証はなさそう。と、その時K藤さん「リーダーの過酷な判断に従ってもらえますか?(うさぎさん)Aチーム四人は山頂へ。(かめさん)Bチーム三人は先に下山します」
「えっ! 別行動? 山頂に行かなくてもいいよ。みんな一緒に行動しようよ」
「ピークハンターじゃないから、山頂へ行かなくてもいいよ」
「また来るからいいよ」
みんななんて優しいんだろう。じわーっときました。
という事になり、室谷登山口を目指して14:53下山開始です。下山道はどうという事のない、ダラダラのぬかるみ道でした。やっぱりこの道をピストンじゃつまらなかったなぁ。きつかったけど、岩場と展望があって良かった。
下山しながらH竜ワールドやH竜語の翻訳の講習会、他の山行の話、等々。仲間がいなければ、単調な下山は長く感じた事でしょう。
途中からヘッデンを付けながらの下山になった。午後六時、蝉が平登山口と同じ、笹しめ縄が出迎えて下さいました。『神様ありがとうございました』良かったぁ! 無事に下山できたぁ! ヤッター! みんなでハイタッチ。

この難路を、七人の大所帯を無事下山させてくれたK藤さんに大感謝です。それに、ピークを諦めてくれた仲間にも大感謝です。
蝉が平を行く長年の夢、難路の現(うつつ)、霧と時間不足で踏めなかった幻の山頂。標高は高々1,300mの山ですが、神様の住む山として、昔から大切にされてきた東北の山という感じでした。

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閑話休題。山行中のH竜翁とK池嬢二人の会話。
「K池、そんなに枝を揺らすなよ!(枝についた)水滴が落ちてきて濡れるよ!」
それまでも、色々ムカついてたK池嬢
「いいでしょー。私が落ちてくるよりマシでしょー!」
ギャハハハハー!力抜けたー!
厳しかったけど、楽しい山行でした。

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メンバー:K藤(L)、S田、H竜、I村、S田、T中た、K池

記:T中た

 

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