朝日・化穴山 道に迷ったら沢筋に入り込んではいけない!わかってはいたが・・・

山行実施日;2012,08.02-06 

参加メンバー;Te.I

岳人編集部が選んだ「マイナー12名山」に選ばれた「化穴山(ばけあなやま)」は朝日連峰のタキタロウ伝説で名高い大鳥池のそばにある登山道もない藪山で、主に積雪期や沢を詰めて登られている。昨年夏にチャレンジするも雨に降られて登り口までで敗退した。再度のチャレンジで予備日を設けて出かける。

夜行バス、季節運行バス、季節運行会員バスを乗り継いで泡滝ダムに9時40分頃到着する。のんびり歩き始める。大鳥小屋(タキタロウ小屋)に13時頃到着する。管理人の藤井さんに「又来ました!」と挨拶する。昨年と同じ場所にザックを降ろす。天気も良さそうなので明日アタックすることでゆったりと過ごす。

ヘッドランプを点けて4時に小屋を出発する。良い天気で雨の心配はなさそうだ。三角池(みすまいけ)の少し手前の登り口で軽い朝食を摂り、4時40分上り始める。かすかな踏み跡らしき道を探しながら、枝にぶら下がっている赤テープにも注意しながら立木をかきわけながら進む。1100m付近で尾根に出る。迷うことなく1200m、此処で尾根は右(西方向)に曲がる。この辺りから灌木藪が厳しくなる。目の前に1400mピークが望めるが遠い。ピークを越えるといったん下り1446mピークの上りにかかる。やっとの思いで1446mピークに7時45分着。右方向に化穴山がやっと姿を現す。山頂までの尾根がなんと長く感じる。陽も高くなり藪こぎで風は期待できない中、汗が止めどもなく流れる。いったん下り上り返す。豪雪地帯なので立木は雪に押されて根曲がり竹のように斜めに曲がっている。下りも上りも背丈を超す曲がった灌木をかき分けて進むのは並大抵の努力ではない。下りきった鞍部に8時半に着く。距離400m、下り高度差約80mを約1時間かかった。この後山頂まで距離650m、上り標高170mを登るのかと、考えると登るのを止めたくなる。鞍部から山頂までの約半分来たところで右側の草付が簡単に登れそうに思えて、トラバース気味に下り笹藪を超えて草付に出る。かなり急な草付で油断するとスリップする。それでも灌木藪より遙かに楽に歩ける。

山頂に10時15分に到着する。登り口から約5時間半かかった。山頂はトンボと小さな虫が乱舞している。遠く月山、以東岳をはじめとした朝日連峰、飯豊連峰、日本海が望める。しばし座り込むが帰りのことを思うとゆっくりとは出来ない。三角点を探すも草が伸びていてあちこち探すが判らず写真を撮って下山を開始する。

下りは尾根沿いに進み鞍部に12時、上り返して1446mに13時50分に帰り着く。此処からの行きの上りは約2時間半かかり、帰りは高度が下りにもかかわらず、疲れもあって3時間半を要した。

バランスを崩して藪の中に倒れ込むと日陰が出来て涼しい。何度もこのままじっとしていたい気持ちになった。たっぷりと水を湛えた大鳥池を眼下に眺めしばし疲れを癒す。灼熱の暑さの中で全身汗だらけ。ペットボトルの水は「お湯」になっていて、1.5㍑の水は残り少なくなっていた。下りは上りに比べて尾根を見失う事が多い。1400mピークでは左右に尾根があり北にそのまま下るのだが、注意していたにもかかわらず左に行きすぎてトラバース気味に修正する。灌木藪をトラバースするのは非常に大変で、上って元に戻って修正した方が楽だが、高度計、コンパス、地形図で自分の位置が判るので、ついついトラバースしてしまう。次の間違いは1200m付近、尾根が右に曲がっているのは上りで判っていたのだが、曲がり始めてしばらくして尾根を外して左に下り始めたらしい。灌木藪は歩きやすい方へついつい進んでしまう。

地形図を見直して修正をすれば良かったのに疲れていたためか沢筋をしばらく下った。木々の間から本来下る尾根が右遠くに見える。トラバースが辛くて此処でも引き返すことなく、この沢は三角池へ流れ込んでいると思いこんだ。場所も判っていて地形図を見ていたのに何でそう判断したか、今でもよくわからない。熱中症になっていたのかもしれないし、水が飲みたくて沢を下りたかったのだろう。と、今改めて思う。

道に迷ったら沢筋に入り込んではいけないことはわかっていたが・・・。渇いた喉に沢水は非常においしかった。沢は滝もなくどんどん下る。標高1000m辺りで何か変だと気づく。登り口が1010m位だったので池が出てきても良いのに・・・?。

標高940m付近で地形図を改めて見直すと、この沢は三角池へは流れ込んでいないことが判る。やばい!、一瞬ビバーグを考えた。時間は16時15分(不思議としっかり記憶している)、沢を戻るか?、トラバースするか?迷った末にトラバースすることに決める。目の前の急な沢の崖を立木にすがりながら上り始める。標高約60m上り尾根に出る。その尾根をしばらく上り1050m付近から次の沢に下り再度立木を頼りに上り返す。その後は少しずつ高度を上げながらトラバースを続ける。上りで歩いた道から水平距離約100m手前の1080m辺りで眼下に池が望めた。少し安心しながら池めがけて藪を下る。三角池に18時40分到着する。帰れた!。登り口を出発して14時間の壮絶な藪こぎだった。疲れた!。

登山道を疲れた体に気合いを入れながら、でもホッとした気持ちで小屋に向けて歩く。小屋に19時着、管理人さんがとんできて「大丈夫か?」、「大丈夫です」。地元の山岳会に捜索願を出したばかりで、無事帰ってきたとすぐに無線連絡をしてくれた。体を洗いさっぱりして遅い宴会を始める。ビールは時間切れで飲めなかった。

翌日は予備日で一日のんびりと過ごす。地形図を眺めながら昨日迷った経路を確認する。何で?、どうして?、でも自分のいる位置を常に確認できたことで無事帰れたのだと思う。携帯したツエルトは使わずに済んだが、灼熱の炎天下で水の量が少なかった。塩も小屋に置いたままだった。他、反省しきりである。

藪山はあらゆる知識・体力・気力をフル動員して挑むもので、嫌いではない。が、しばらくは計画しないだろう。

化穴山(1446mより)