7月第一例会報告 ハイキングレスキュー

2018年7月3日

司会:Y城さん

参加者数:10名

1 「七月一日山行時での転倒事故への対応について」   K藤さん

ノーマルルート下り時に参加メンバーの他会の方がスマホのGPSアプリを見ながら歩行していた時につまずいて転倒し、右前腕からかなり出血した。

幸いに、参加メンバーのU村さんが登山学校の講師を経験していることもあり、携行していたペットボトルの穴あきフタを活用して手持ちの水ですぐに傷口を洗浄、その後大きめの止血パッドを傷口に当てたのちにパッドの四周をテーピングテープで固定したところ、止血に至った。

止血が確認されるまで、受傷者は頭と右腕を上にして斜面に約十五分横臥してもらっていた。

その間にメンバー間で受傷者の状況によってはこれから行く予定にしていたバリエーション尾根の下りの代替ルートを検討していた。

幸いにして受傷者から通常の歩行が出来るとの申し出があり、予定ルートを歩行した。

今回の案件から得られた教訓

◯救急セット(ペットボトル穴あきフタ、非常用の水、止血パッド、テーピングテープ、三角巾など)は必ずパーティに一つは必要

◯受傷者の状況によりルート変更を検討する。

◯GPSを見ながらの歩行は危険なので避けるべき。

 

2 ハイキングレスキュー方法の検討

ハイキング実施時に参加メンバーの一人が転倒等により歩行困難となった場合、他のメンバーによる搬出移動が可能かを検討した。通常のハイキング装備で、かつ現地で調達可能な木の枝等を活用はするが専用の器具は使わない(持っていない)前提での検討である。

①背負い搬送

(共通)

・背負うとき、下ろすときには必ず介助者2名が必要。介助者は、受傷者の腿を両手で抱えてそっと受傷者の体重を地面から背負者に移していく。そうしないと背負者の腰を痛めてしまう。

・受傷者の体重を安定的に背負者に伝える観点から、背負われた状態となった受傷者は両腕を背負者の胸の前に持っていく(できたらシュリンゲ等で固定する)。

①―1大きなザックでの背負い

・カラにしたザックの上下を逆にして背負者が背負い、パッド部分に受傷者が脚を通す。ただこの場合だと、背負者の肩にはザックの背負い紐の細い部分が当たるので、タオルなどを咬ませないと長時間の歩行は無理である。また、日帰り山行の場合に大きなザックを持っているとは考えにくい。

①―2ザック+ストック+銀マットでの背負

・ストックの代わりに木の枝活用でもよい。ストックに銀マットを巻き(テーピングテープで留めた方がよい)、それをカラにしたザックの背負い紐に横から通す。その上に受傷者は脚を通す。これが最も現実的な搬送方法と思われる。

①―3雨具を活用した背負い

・カラにしたザックを利用するのは①―2と同様。その上で、受傷者を包み込むように雨具を利用する。上着だけ利用する方法(上着の下部ジッパー部分の横にカラビナをシュリンゲで包み込んでポイントを作り、シュリンゲと袖を結びつける)と、上着とズボン両方使う方法(上着とズボンを固くシュリンゲで縛り(ほどけなければ何でもよい)、ズボンと腕を結ぶ)、それぞれ雨具をザックに取り付け、それに受傷者が脚を通す。上着とズボン両方使う方が意外と受傷者、背負者双方に好評だった。ただし、当然の事ながら雨天時には利用できない。

①―4ザイルを活用した背負い

・ザイルの輪っかに背負者の肩と受傷者の脚を通す。ザイルがある程度長いと双方の肩と脚は痛くないが、ハイキングに長いザイルは持っていかないので現実的ではない。

②担架搬送

・ストックまたは木の枝二本の間にザイルを渡していき、銀マットまたは雨具を上に載せる。近距離の移動なら可能だが、傾斜のあるところで長時間搬送することは極めて難しい。

③ヒューマンチェーン

・担架の代わりに人間の腕で行おうとするもの。6人の救助者(つまり片側3人ずつ)で1人の受傷者を運搬することが出来る。運搬に際しては、まず受傷者の身体の下に救助者各自が腕を入れて膝高さまで持ち上げた上で片膝を付いた状態で一旦受傷者を各自の膝の上に載せる。その上で向かい合った救助者が互い違いにお互いの手首を掴んだ上で合図の上、一斉に立ち上がる。短距離の移動であればこれで充分である。

 

結論

◯受傷者が出た場合、セルフレスキューで下山口等に行けるのは5人パーティでギリギリ、6人以上いないと厳しい。4人パーティ以下の場合は受傷者をとにかく平らな場所まで移動した上でツェルトを張って受傷者と介助者を収容し、他の者は電波の届く範囲まで移動して携帯又は無線で救助要請するのが現実的。

◯受傷者が大柄な男性の場合は移動させることがそもそも困難なので、よほどの大人数でない限り救助要請した方がよい。

◯樹木+銀マット背負い搬送、または雨具活用の背負い搬送が最も現実的な様ではあるが、前後でシュリンゲなどによる補助者がいるいないとでは実際の搬送全然ことなってくる。今回は学習会ということで平らな場所で背負うことだけをやってみたが、実際の登山道で補助者も入った上での背負い搬送を試してみた方がよい。

報告者:H高