空木岳 池山尾根 大地獄・小地獄とアリ地獄

2019年5月3~5日

空木岳の池山尾根。メンバーにとって色々思い入れがある尾根だそう。雪山では3度目の挑戦、そして高坂さんとの最後の山。私にとっても、高坂さんが最後に誘ってくれた山だ。それぞれの想いを胸に出発。

3日間の晴天を期待しつつ、でーっかいリュックを背負ってゆっくりゆっくり歩く。高度を上げるにつれ、若葉が新芽になり更に新芽が堅くなる。青空がちょっと春霞。風もなく穏やかだ。気持ちいい。笹が増え、水場に到着。ダケカンバが針葉樹に代わり、急登してテン場のマセナギ手間に到着。13:00。マッタリした後、暇なのでロープワーク開始。もちろんその後は明日の登頂を願ってのコミュニケーションの開始だ。

登頂当日。昨夜の星空に引き続き晴天。木々の間に見える千畳敷カールがモルゲンロートに染まる。宝剣は黒く尖っている。今日のお天気も大丈夫かも。テントをデポして5:30出発。所々に雪が出てきた。岩場も出てきて大地獄に到着。凍ってツルツルの岩場を登る。更に小地獄。鎖を掴みながら上がる。その後は迷い尾根下の長いトラバース。どこもここも気を抜いたら私が大地獄か小地獄へ直行かな? 尾根に出る手間で30Lくらいのリュック発見。あたりに人はいない。Y城さんが警察に通報してくれた。救助者のリュックとのこと。遭難者じゃなくて良かった。迷い尾根上部に出た。核心部終了。木々が少なくなり南アルプスも見えてきた。O野さんが山座同定してくれる。

その後尾根上を行く。どんどん視界が開けてきた。木の間から見えていた宝剣からの稜線が青空をバックに白く浮かび上がっている。駒石を越える。檜尾岳の向こうに三ノ沢岳と御嶽山が見えてきた。ズブズブと雪を踏み抜きながら駒峰ヒュッテ到着、13:00。荷物をデポして目の前の山頂を目指す。最後の急登を喘ぎ喘ぎ登る。でも、もう疲れはない。13:20。やったー! 山頂到着!

2日目の頂上

時間も遅いので記念撮影のみでサッサと下りる。もったいないなぁ。右に南駒を見ながらその向こうに南アルプス、左に御嶽。眼下には駒峰ヒュッテの先に遠く伊奈の街並み。360°の眺めだ。わぁ、私、鳥になった? 喘ぎ喘ぎ登った急登も鳥の気分で下り、駒峰ヒュッテに戻る。デポしたリュックを背負って下に見える駒石を目指す。

振り返ると山頂からトレースがある。ン? 数えると6本。全員勝手に歩いて来たんだ。やっぱそが雪山の楽しさだね。自分達の付けたトレースしかない雪原を勝手に歩く。が、ズボズボ踏み抜く。ハイマツを避けているのにズボッ。枝先を出している木々の中間を歩いているのにズボッ。トラバース中にズボッ。「TNの体重だよ」「貞子に言われたくないね」O野さんの歩き方が上手い。昔流行ったエリマキトカゲが水の上をタタタタと走るが如く雪面を行く。「上手ーい! 岡野ルート行こー」言った瞬間、O野さんズボッとはまった! Y城さんすました顔で行く。後をつけると潜った跡。「なーんだ結城さんも潜ってるんじゃない」「声を出したら男がすたる!」「ん? 男は黙って潜れって?」「それくらいの事で声は出さない」アッチャー。でも、声出すの私だけじゃないよ。すぐ後ろでH川さんも声あげてるもん。潜っても黙ってようと2人で合意したものの声が漏れる。無言でいても、ズズッと音はする。アリ地獄だよー。「疲れたよー」「それだけ潜れば疲れるわなぁ」と岡野さん。でも、この調子で行けばテン場に16:00くらいには着くかな? その時、私の左脚が付け根まで潜った! 右膝がまだ本調子でないのに右膝に圧がかかる。「痛い! 痛い」でも自力で態勢を変えられない。「痛い痛い痛い」H川さんが右脚を伸ばしてくれた。悲鳴は止まったが、力が入らず暫し休憩。Y城さん「歩けそう?」うん「あの声、骨が折れたかと思ったよ」痛いんだもん、泣くよ。皆が荷物を持ってくれる。Y城K池の力持ちペアは元より、リハビリ中のH川さんも。O野さんなど「なんだオレのとこまで廻って来ないんか。お、スリング持つよ」登頂時の感激より目頭が熱くなる。みんなありがとう。

森林限界手前

軽くなったリュックで出発。S田とさんは自分の具合が悪かったのに、私がこれ以上潜らないよう踏み跡の雪を崩してくれた。樹林帯に入ったが、迷い尾根下のトラバースは雪が緩んでいるだろうという予測の元、尾根の先端まで行き懸垂することとなった。先端までも急傾斜だったが、更にその先の急斜面をトラバース。ロープを張る。その先を偵察に行ってくれたY城さんによると、絶壁を2ピッチ! 無理。既にそこだけで1時間以上経過。引き返し、別の道を探す。藪漕ぎ。下に登山道らしいちょっと平らな所が見える。Y城さん、Kちゃん、H川さん支点構築。昨日練習したチェストハーネスが生きる。H川さんがまず先遣でロアダウン。オーケー。次は私。ビレヤーのY城さんとロープを信じて恐々下りる。下でH川さんが声をかけてくれる。皆を待つ間にまたH川さん先遣。街では方向音痴のただのおばさんだけど、山ではすごいね。尾根を下るが、まだ脚に力の入らない私にO野さんが付いてくれる。登山道に出た。ホッ。でもまだ雪のトラバースは続き、その先に小地獄と大地獄がある。既にヘッデン。でも、アドレナリンが出過ぎているのか、恐さや焦りはない。アイゼンをつけたまま岩場通過。引っかからないように。チェーンのある小地獄とワイヤーの大地獄をクリアし、後はテン場まで。でも、その長いこと長いこと。ようやく着いたテン場は21:00。フッファー。

3日目。高速の渋滞が気になるが、皆そんなもん諦め。ゆっくり6時起床で8:50出発。昨日踏み抜いた時に痛めた右膝が重い。私の共同装備を菊ちゃんが持ってくれた。ありがとう。
3日目もお日様全開。ダケカンバの間から宝剣が見える。のどかな遊歩道をゆっくり歩いていると車が見えた。荷物を持ってくれたり、ヘッデンが暗いからと明るく照らしてくれたり、みんなみんなホントにありがとう。
21:00にテン場なんて遅すぎるが、皆無事に着いた。きっと高坂さんが守ってくれたんだ。K坂さんありがとう。ごめん、勝手だけどまた次回も守ってね。

2日目の下山時の南アルプス・伊那の町並み

山行日  5月3日〜5月5日
メンバー
リーダーY城  サブリーダーK池  O野  S田  H川  TN

コースタイム
5/3
P発7:35-池山避難小屋10:20〜10:50-テン場13:00
5/4
テン場発5:30-大地獄7:15-小地獄7:50-迷い尾根下8:50-ヨナ沢の頭9:30-駒石12:50-駒峰ヒュッテ12:55-空木岳山頂13:20〜13:35-駒峰ヒュッテ13:45-駒石14:25-ヨナ沢の頭先端16:50-登山道合流18:20-テン場着20:50
5/5
テン場8:50-池山避難小屋10:10〜10:20-P着11:50

記:TN