秋田駒ケ岳

火の山の高嶺黄菫

関東地方育ちには菫の色と言えば紫である。どこかの山で黄色い菫を初めて見たときには感動した。さらに新潟の雪解けの山麓で黄色い菫(大葉黄菫)が群生していたときは我を忘れてシャッターを押し続けた。いがりまさし氏は黄色い菫を大きく3つに分類している。

①大葉黄菫類:雪解けの山麓に咲く

②黄菫類:阿蘇などの草原に咲く

③高嶺黄菫類:高山に咲く

③の高嶺黄菫の群生を見たく秋田駒ヶ岳山行を計画した。行くにあたり秋田駒についていろいろ調べてみると小泉武英氏の本にも書かれている。小泉氏は、『多くの登山者は草花の名前を知って終わっている、それではもったいない』として、じっくりと自然を観察し、自然の謎を発見してそれを解いて楽しむ『謎解き登山』『知的登山』を奨めている。登山時報にも寄稿しているので読んだ方もいると思う。それを頭に入れて足を進めた。

歩き始めて、まず大葉黄菫が、次いで高山に咲く黄花の駒の爪(スミレの名前が付かないただ一つの菫)、そして高嶺黄菫が見つかる。が他の植物に追いやられてか登山道の脇にひっそり咲いている。登山者によって荒らされ、他の植物が侵入出来ないので生育し続けられているのかもしれない?阿弥陀池付近には朝日岳で見つからなかった念願の白く小さな雛桜がたくさん咲いている。男女岳への瓦礫の登山道には高嶺黄菫も見かけるが、頂上付近には他の植物が多い。

男岳に続く鞍部から見る廻りの景色は火山と言うことを強く認識させられる。女岳・小岳の頂上はすり鉢状に凹んでいる。ムーミン谷の先には大砂焼の黒々した尾根が見える。火山だからこそ高嶺黄菫は他の植物が入る前に根を伸ばすらしい。

行きたかったムーミン谷に降りる急斜面には白根葵が期待以上に群生している。が、谷は雪で覆われており、ムーミンは休眠中。大焼砂には期待する高嶺黄菫が、瓦礫・砂礫の中にミヤマキンバイ、ミヤマダイコンソウなどの黄色い花とともに群生していた。駒草の葉も見えるがたま~に蕾が確認できるだけで全く咲いてはいない。焼森にも高嶺黄菫は砂礫地に生育していた。

スミレ類の種には蟻の好物の物質(エライオーソ)が付着しており、蟻が足代わりになり種を拡散させるというが、蟻は見当たらない。どうやって種は火山の秋田駒に運ばれたのであろうか?阿蘇の草原に咲く『キスミレ』も見たいが、前の熊本大地震と梅雨の大雨でどうなっているのだろうか? 熊本県に詳しいFYさんはまだ難しいとの考えであった。TVで阿蘇地区の酪農家の大地震後の奮闘を30分位伝えていた。大地は切り裂かれ荒れ、牛も人間も安心して入れない状態であった。それにも屈せず柵を作り野焼きをして放牧を少しずつ拡げている光景を映し出していた。キスミレはわずかワンショット2、3秒であった。

【そのほかの花】ショウジョウバカマ、ミネザクラ、ミヤマキンバイ、サンカヨウ、ミヤマスミレ、ミネズオウ、ミツバオウレン、イワテハタザオ、コヨウラクツツジ、オオカメノキ、ウスバスミレ、ベニバナイチゴ、ツバメオモト、コミヤマカタバミ、イワウメ、イワカガミ、ムラサキヤシオツツジ など

【山行日】H29年6月19日~22日【参加者】T脇、TK

私の不手際で不参加となった方へお詫びし、長いこと運転してくださった同行者に感謝します。(記 TK)

 

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