日光・錫ヶ岳と日光白根

2025年6月21日(土)〜22日(日)   

【憧れの白錫尾根で念願の錫ヶ岳へ】
記:TH

日々変わる天気予報に悩まされ、なんとか天気は持ちそうと判断し、錫ヶ岳への山行が決定したのは山行日の前日。錫ヶ岳が栃木四天王の一座であるという事を知ったのは山頂についてからだった。
宿泊予定の避難小屋付近の水場の状況に不安がある事と、ロープウェイ使用という事もあり各自大目に水分を持参。日光白根を目指す日帰り登山者が多い中、大きなリュックを背負っているのは我々ぐらいであった。さながら歩荷訓練の様である。


(五色沼)

ロープウェイを降り樹林帯から七色平へ。少し歩いてから弥陀ヶ池までの登りが重荷の我々にはキツかった。急坂を登りきり弥陀ヶ池の手前ではイワカガミ等の花が沢山咲いていた。
弥陀ヶ池から少し下って五色沼。五色沼の景色も楽しみ避難小屋へ。荷物を避難小屋へデポし急坂を登り日光白根山頂へ。

(初登頂のSMさん おめでとう!)

本来なら百名山からの景色を楽しめるのだが、我々の本命錫ヶ岳までの道程が見えてしまった。遠い…。テンションだだ下がりで避難小屋に戻る。避難小屋泊は我々以外に単独の若者。一緒に食事を楽しみ、宴会の後21時に就寝。
2日目。朝食を済ませ錫ヶ岳を目指し出発。避難小屋から少し登ると稜線に出る。

(稜線に出たら男体山が)
白根隠山、白檜岳と続く稜線は一部急な岩場や滑りやすい笹の道があったりするが、右に日光白根、左に男体山と中禅寺湖、正面やや左に富士山という絶景が広がり総じて気持ちの良い稜線歩きとなる。

(岩場を下りる)
白檜岳からは徐々に藪っぽくなる。シャクナゲの藪をかき分け、倒木を乗り越え、最後の急坂を登りやっと錫ヶ岳。

(錫ヶ岳山頂)
白檜岳から2時間半くらいか。山頂から少し東に踏み出すと展望が開けている。
山頂で休んでいると男女2人組が登ってくる。金精峠を午前2時30分に出発したとの事。その2人に栃木四天王の山の事を教えてもらった。お互いにお疲れ様ですと挨拶し我々が先に帰路につく。

(山頂横から)
これまで歩いた道程をまた帰るのかと思いながら出発。帰りのロープウェイの最終が16時30分。間に合うか微妙な所のため皆で頑張って歩く、歩く、歩く。
白根隠山まで戻りなんとか間に合いそうだとなり稜線上で皆で歓喜する。その後は避難小屋まで戻り、デポした荷物を回収、パッキングし直し最後の力を振り絞りロープウェイに到着したのは16時。疲れたけど、錫ヶ岳到達という目標を達成し、大展望も楽しめ大満足の山行となりました。


【片想いだった錫ヶ岳】
記:TN
『錫ヶ岳』と聞いてビンと来る人は少ないだろう。日光と片品村の県境の山深い所にあり、どこから取り付いても11時間以上はかかる眺望の少ない山だ。そのために難易度が高くなり 「栃木四天王」 と言われる1座だそう。
その錫ヶ岳に憧れ、片想いしつつ何年経ったことか。

1日目、日光白根に登った。
明日のために体力を温存ようと小屋で待機をと思いつつも、同行のSMさん白根山初登頂との事。同行した。
山頂を目指すが高度2500mあたりからか、明日行く白錫尾根が延々と伸びていた。長〜い、長〜い、その先に錫ヶ岳! 「えっ! あそこまで行くの? 行ける気しない!」と愕然!
テンションはダダ下り。
見なきゃ良かった! (ダダ下り方がわっかりやすいと、THさんとSMさんに大笑いされた)

2日目朝、気を取り直して出発。
白錫尾根まで上がると中禅寺湖とその周りの山々が朝日に照らされていた。
白根隠山までは以前行ったので様子は分かる。その先は未踏の峰々だ。
ザレ場を下り、白檜岳〜2296m峰を行く。噂通りの膝上笹漕ぎ。地面が見えないし滑る。

(見かけは素敵な尾根だが)
その後はシャクナゲやコメツガの原生林の藪漕ぎ。原生林の中のただっ広い尾根ではルートミス。散々だ。

(原生林)
錫ノ平まで来てホッと一息。今まで遠くに見えていた山頂が段々と近づき、射程距離圏内に入って来た。行けるかも!

(錫ヶ岳山頂がチラリ)
その後、膝上笹漕ぎの急登を抜け原生林を行くと…あったぁ! 『錫ヶ岳』の山名版! やったー! 来たぁ! 片想いの君に会えたぁ!

(山頂)
下山もアップダウンしながら笹と原生林との格闘だ。もうヘロヘロ。
ロープウェイの最終時間を気にしながらなんとかヘロヘロの脚を動かした。

仲間がいたから来られた山だった。1人だったら、絶対途中で撤退していた。
皆な、ありがとう。


【失敗の連鎖】
記:HD

久々の泊まり山行。色々と失敗ばかりした。夕食時のつまみと思ってひじきを作ったのだが、作りすぎた。朝食時にも食べたが余ってしまい結局捨てる羽目に。

(多すぎた)
夜中に寒くて目が覚める。シュラフを持ってこなかったツケだ。考えてみたら今までこの時期、沢筋でばかりビバークしていたのでシュラフカバーだけで大丈夫だったのだが、やはり関東一の高峰直下だ。と言いつつ、3時に起きようと思っていたのだが30分起きるのが遅くなり、出発も25分遅れとなってしまった。
白檜岳まではまあまあまともな踏み跡があったが、そこから先は道が乱れる乱れる。先頭を歩いていたけれども何回もロストしてしまい仲間に迷惑をかけまくり。ただ、遠くに富士山を望む事ができたのは眼福だった。

結局出発から丁度4時間かけてようやく錫ヶ岳山頂を踏むことができた。TKさんとTHさんがえらく喜んでいる。なんでそんなにうれしいの? と私とSMさんは思っていたのだけれども、あとから登ってきた夫婦2人組から栃木100名山の難関4座と知ってなるほどと納得する。
帰りは行き程道を迷わずに歩くことができた。がしかし、ロープウェイの終電が16:30なので間に合わないかもしれないということで白檜岳手前の登りで私がTK車のキーを受取り、先行する事になった。だけれども、登りなので中々差がひらかない。そうこうしているうちに白檜岳の山頂を12:00頃通過したのだが、そこで右にターンしないといけないのだが気が付かずにそのまま北進し、白根山前衛の2353m峰との鞍部に向かって下ってしまっていた。まあこちらについてはヤマレコの「みんなの足跡」がかなりべったりついていたし、何とかなるかと思って下ったが踏み跡も何もわからないまま、生い茂るクマザサをつかみながら歩きを進める。見た目、向かって右側の斜面の方がまだ多少立木があり何かあっても掴まることができそうで、傾斜も少し緩かったのでそちらに向かって若干ターンしながら、山腹をスプーン上にしゃくった形の雪渓跡の底(冬季には雪原になるであろう)に向かって下っていく。

この間約15分。単独ではまってしまったが私的には結構面白い時間を過ごした。
やっと下りきった雪渓跡は山頂直下とは思えないくらい平らで野球ができそうだ。

行きついた先がダムみたいに盛り上がっていてそれを越えないと進めない。もう一ヶ所平地とダムを越すと白根山からの登山道が合流し、間もなく12:45頃に避難小屋についた。
パッキングをして改めて避難小屋からロープウェイまでの経路の所要時間をヤマレコ使って積算したら行きは3時間かかったけれども帰りは2時間で行けそうだったので、その事について手帳を破って紙に書き、菅沼登山口の到着時間で判断してくれと書き置きしてから先行して出発しようとしたら、13:20頃に皆が戻ってきたので一団となってゆっくり下山する。結果、16時頃に無事ロープウェイに到着できました。

(コースタイム)
6月21日(土)
10:00ロープウェイ駅‐10:42七色平分岐10:45-11:50白根山分岐‐12:05弥陀ヶ池12:15‐13:21避難小屋(日高は財布を忘れたため途中で小屋に戻り、皆は白根山登頂後に小屋に戻る)食事後21:00頃就寝

6月22日
3:30起床‐5:25発-6:15白根隠山6:20-6:50白檜岳6:55-9:25錫ヶ岳9:50-11:30頃日高と皆が分かれる-(以降日高)12:00白檜岳-12:25雪渓跡-12:45避難小屋13:20皆と合流-13:50発‐14:32弥陀ヶ池14:48‐16:00ロープウェイ駅


【百名山と錫ヶ岳】
記:SM

避難小屋に泊まる山行をしよう!とお誘いいただき、いつもの「いっすね!」と軽いノリで返事したのはいつの事だっただろうか。天候不良で延期となり、梅雨の合間の山行となった。当初は丹沢方面の予定だったが、暑いしヒルも多いだろうとの事で日光白根・錫ヶ岳へ行くことになった。
計画としてはロープウェイで上がり、五色沼避難所に着いて荷物をデポして日光白根山の山頂を踏み、夜は宴会。
翌日は避難小屋の裏から白根隠山へ上がり、白檜岳、錫ヶ岳へ向かう。
錫ヶ岳については破線ルートだけど、頑張れば何とかなるだろ、くらいの認識しかなく、それより夜は宴会なのに避難小屋の傍に水場が無さそうな事が気がかりで、ひたすらザックに水を詰め込む!

調子に乗って入れるだけ入れたら小物も含めて27kgほどになってしまい、背負って歩くと重さよりも肩ヒモが肩に食い込んで痛い。小屋に着いてザックをおろした時の爽快感は格別だった(笑)
一休みして、荷物をデポして軽い身で日光白根山の山頂を目指す。何度か計画はあったが、お流れになってばかりで登れていなかった山に取りかかれて嬉しい。いくらかザレている足元に慎重になりながら無事に登頂。あいにくのガスだったが満足度は高い。下山後の宴会ではTHさんの鍋屋ハヤシライス、HDさんの料理を楽しみながら、寝るぎりぎりまで話をしながら盛り上がった。
翌朝もHDさんお手製の朝食で腹ごしらえ。なんて贅沢な山行だろうか。用意を済ませ小屋の裏道から白根隠山へ向かう。150mほど一気に登ればもう稜線で、吹く風が気持ちよく展望も素晴らしい。

右手に日光白根、左に男体山と中禅寺湖を望むこの稜線はパノラマコース。白檜岳までは。白檜岳から先は少しずつ濃くなっていく藪を漕ぎ、最終的にはピンクテープはあるものの崩壊した森を抜けて錫ヶ岳へ向かう。距離と標高差だけで言えば大した事はないが、慣れない藪漕ぎのせいでとにかく気疲れする。
これもたくさん経験を積んでいかないとダメだろう。やっとこ錫ヶ岳へ着き、もうこれ以上進まなくていい安堵感とまた同じ道を戻る現実とで複雑な心境だ。
戻りの道中で、TKさんから錫ヶ岳への想いと到達難易度の話を聞き、マイナーな山を目指す人の中では憧れの山である事を知り、何も知らずに来てしまった私としては少し申し訳ない気持ちになりつつもお得だった事は否めない(笑)
この二日間で百名山というメジャーな山と錫ヶ岳というマイナーの中のメジャーな山の対比、両方のピークを問うめた事はとても素晴らしい経験であった。

■メンバー L:HD、SL:TK、SM、TH
■ルート 1日目 ロープウェイ〜弥陀ヶ池〜五色沼避難小屋〜日光白根〜五色沼避難小屋(泊)
2日目 五色沼避難小屋〜白根隠山〜錫ヶ岳(往復)〜弥陀ヶ池〜ロープウェイ

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