2023年7月27日・28日
朝日鉱泉から入渓点の二俣までは、沢沿いの登山道を1時間30分ほど歩く。抜群の好天のおかげでとにかく暑いけど、脇から無数の小沢が流れ込むのがありがたい。二俣で河原に降り立ち、ひと休憩入れた後に気持ちを遡行モードに切り替え、沢に入った。
魚は多いが釣りは幕場に着いてからゆっくりとなんて思っていたら、魚止滝を越え、黒倉沢の出合を過ぎる頃にはすっかり魚の姿は見えなくなっていた。そのうち雪渓ブロックが現れ、横吹沢とガンガラ沢とに分かれる。ここから始まるゴルジュ帯が核心らしい。入口にかかる6m滝を尾根側の悪い草付きから巻き、一旦沢に降りるも、この先進めなさそうなので、降り立った地点から再度高巻きを開始した。藪は深く、少しでも薄いところへと尾根へと上がり、炎天下のなかをヒーヒー言いながら藪との格闘を続け、なんとか下降点を見つけて25mの懸垂下降でゴルジュを抜けた先の河原に降り立った。水平距離で300m程のゴルジュを超えるのに3時間以上も費やした。
計画では大滝手前のこの辺りでビバーク予定であったが、まだ14時30分だったので、明日のために大滝を登っておいた。大滝をあがった先には雪渓の末端が見え、そこから吐き出される冷気と真夏の暖かい空気が入り交じるビバークとなった。ぎりぎり薪は集められたので焚き火はできた。魚はなし。
昨日のうちにゴルジュも大滝も越えたので、今日は源頭部まで雪渓で埋め尽くされたY字雪渓を行くのみだ。雪渓が最後まで繋がっている時の記録で稜線まで3時間となっているので、雪渓の状態がどうであれ倍の6時間みておけば余裕だろうとなんて考えていたが、これがまったく甘かった。
雪渓は頻繁に抜け落ちていて、ただでさえ傾斜の強い雪渓歩きで体力を使うところに、幾度となく神経をすり減らす雪渓処理を強いられたものだから、Y字雪渓を抜けるころにはもう身も心もヘトヘトだった。おまけとばかりに最後の草付きとルンゼも悪かった。ようやく稜線が見えた時は無事に沢を抜けられたことに心底安堵した。登山道に出た時、I橋さんとがっちりとお互いの手を握り合ったが、沢を抜けた時にI橋さんと握手をしたのは初めてだった。要した時間は想定を大きく超える8時間だった。
登山道に出てしまえばたちまち元気も湧いてくる。大朝日岳から最短の中ツル尾根を軽快に下りるも、二俣からはメジロアブの大群に襲われて、また元気がなくなった。朝日の沢は最後まで厳しかった。
■メンバー C葉(L)、I橋
■ルート 1日目・・・朝日鉱泉(6:30)〜二股(8:00~8:30)~ガンガラ沢(11:00)~BP(15:30)
2日目・・・BP(7:15)~稜線(15:10)~朝日小屋(15:15~15:55)~朝日鉱泉(19:00)