会越 錦に燃える 前が岳南壁右スラブ

20231026

 たしか、今年の春だったと思うがC葉さんに霧来沢あたりの沢の話をした覚えがあった。もうがけ沢に行ってみたいと話したような? 自分はもうがけ沢はもちろんですが前が岳の右スラブを紅葉で青空のもとお日様に見守られて登ってみたいとかねがね思っていました。その思いは・・・19976月にV字第2スラブ、19996月に三本スラブ右ルート(この文面を書くのに記録を見返しました)と登っていて楽しめた思いが強く残っていて、右スラブであれば歳をとってからでも単独で登れると思っていて取っておいた所でした。

 8月に右のふくらはぎ肉離れがあって繰り返し、その後左足にモートン神経腫が発症して少し休んでいたのち、ハイキングから体調の確認を積み上げながら日帰りの大沢で肉離れは再々発せずにすんである程度歩けることを確認でき、C葉さんに霧来沢周辺に行きませんかとお伺い。この気持ちを強くしたのは、退会したT井さんから「御神楽の新高ルンゼって行ったことありますか?」と、「行ったことないですが行きたいところで候補の一つ」などとやりとりする、メールいただいたことが発端でした。日程はC葉さんにあわせる形で実施することに。この日程が天気的にはドンピシャ。ですが、25日は南部で雨の予報も聞こえてきたので、仕方なく自分の中の本命、右スラブは後回しとして26日にしました。6月の雪渓(悪かった印象部分あり)とは異なる印象で沢はほのぼのでした。

 前日の「もうがけ沢」で綺麗な紅葉の沢登りで疲れを蓄積していましたが足の痛みは無く朝も起きることができ下山用の靴も入れて早速登山道へ踏み出す。今日のリーダーは自分の番なのでC葉さんには先を譲っていただいている。

大きく登りになる前の枝沢を下って霧来沢を歩き出す。昨日もそうでしたがうっすらとガスに覆われてまさに霧が来ている沢だ。そんな中に釜を持った小滝が美しい。

早く進むとガスの中で景色を楽しめないと思いゆっくり、実は昨日の疲れで? やがて特異な地形のミニゴルジュが出てきて岩肌が青く美しい。

順調に進んで、空を眺めると少し明るくなってきた。そこに前方にすこし南壁が顔を覗かせる。景色を見たくしばし時間つぶしをして景色の移ろいを楽しむ。C葉さんはお湯を沸かしてコーヒータイム。時間の経過が楽しい。

右スラブが正面に見えはじめました。完全にガスが切れるのを期待しながら進んでいると期待通り眼前に南壁が広がってきます。側壁の上の紅葉も綺麗です。みるみるうちに青空に

なって行きます。

V字スラブの第14が右に尾根の左が赤いスラブその左に三本スラブの上部が見えています。飽きないで見ていられますが先を急がないと(先ほどまでの時間の消耗も忘れ)帰宅時間が遅くなるので先を急ぐことに。

沢を分ける所は大きな岩の堆積、結構急な岩の間を縫うように高度を上げていきます。振り返ると逆光で黒くうねる山々と谷間に雲が白く光ってこれもまた美しい。すぐにV字スラブへ向かう小沢と右スラブにいく小沢に分かれます。小休止。

 ゴーロを行くとすぐに岩肌が現れて期待が膨らみます。が、水がチョロチョロ流れて苔が付着しているので登るのに気を遣います。先ほどの分岐でフェルトタビを外してラバーになっているので、内心失敗したかな? と。細くツルツルの滝をむかえ、ルートを間違えたのかと思うほどスラブ登りに来た気持ちをくじかれた部分がここで、核心部と自分の中では位置づけた。そこを過ぎると広がりを見せてくれるようになったので後はお好きにどうぞという感じ。後ろにC葉さんが控えているので安心して登っていける。単独ではもう少し緊張感があると思うが。

スラブは黒く見える水流跡は苔で危険なのでその両脇の白く乾いた岩にルートを求める。傾斜の強いスタンスのない所などは灌木を頼ることもしながら良いペースで高度を上げている。青空と紅葉と白い雲と岩肌、まさに思い描いた条件の下スラブ登りを楽しんでいる。

最上部になると岩の風化が顕著になり岩塵が乗っているので、苔と異なる注意が必要と自分に言い聞かせて通過します。最後は灌木が太くなってきて稜線だ。稜線からは御神楽岳が大きく見える。今日は特に遠くに見えてしまっている。

藪こぎが避難小屋まで続く。これがまた体力を奪い続ける。すぐに足が攣った。この稜線は214月にも藪を漕ぎながら歩いている。御神楽岳や日尊ノ倉山や貉ヶ森山などには雪が着いていたのですが細く低く続く稜線と言うことなのかここだけは藪でした。そのときの方が大荷物だったのに今回の方が進んで行かない。昨日の沢の疲れが理由では無く「加齢」だと自分では思っています。

 計画では本名御神楽を踏んで下るということでしたが自分は避難小屋で休んでいることにしてC葉さんは空荷でピストンして展望を楽しんでこられた。その間、お日様に温められて居眠りを楽しんだ。贅沢な時間、でした。

 下りは道があるが結構狭く急なので緊張が無くなった頭で対応するのが大変ですが紅葉の景色を撮影しながらゆっくり降りる。靴に履き替えるのが面倒でラバーを通して足裏が岩の道を感じる。左には本名御神楽の南東面の紅葉、右にはやがて登った右スラブがはっきり見えるようになり満足感を味わうことができます。下りもC葉さんは自分と距離を取ってくれてプレッシャーをかけないよう配慮してくれている、ありがたいことです。

そのうち「ぎゃー」「わー」とかよくわからない内容の人の声がしたから聞こえだした。はじめはよく分からなかったが滑落でもした? 助けを呼んでいる? としか考えられずに降りていくと声は近く「がー」みたいに脅しているよう。自分は大きな黄色く色づいた木を撮影したく寄っていくと近くの木陰に黒い耳と頭が・・・10mもない。目を疑いながら後ずさり・・「熊・・・」C葉さんとさらに後退。笛を「ピーピー」吹いて待機します。声の主は熊を見て追い払うのに大声を出していたと納得しました。自分が見たときは、熊は声の方を向いていたので自分の方には気がつかず助かったものと今は理解しています。アプローチの時とか笛を吹きながら進んでいたのに、満足したボーッとした頭は笛を吹くのを忘れてしまっていたのでこんな遭遇の仕方になってしまったと反省です。そのご、そ~と、先ほどの所まで進んで熊がいなかったので笛を吹きながら無事下山できました。モートン神経腫の痛みは少し出てしまったのは靴に履き替えなかったのが悪かったかもしれません。C葉さんはV字スラブに意欲を見せていました。次につながる山行が出て良かったです。

コースタイム

御神楽岳登山口 649

右スラブV字スラブの分岐 93044    稜線 1144

避難小屋 12261313

(装備解除、その後C葉単独で本名御神楽登頂)    御神楽岳登山口 1509

メンバー:L I橋、C葉

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