秩父・旧正丸峠から伊豆ヶ岳 「幽霊会員」の称号返上!

2021年10月10日

飯能駅前の国道を秩父方面に歩くと間もなく脇道に入る。高麗川に沿う脇道で幅一間あまりはあろうか、道に沿い散在する民家の前をすこしずつ登ってゆく。高麗川の水は岩にぶつかりながら流下している。ところどころ流れの穏やかなところがあって、そこの水は澄んで底が見える。ヤマメや岩魚が棲んでいそうな流れである。民家の庭先には秋桜が咲いている。今は舗装されているが、この道こそが飯能経由で江戸と秩父をむすぶ旧秩父往還であろう。

登るにつれて民家はなくなり細い岨道になる。この日は曇り日で杉林の山には東山魁夷の日本画を彷彿とさせるような霧がかかっていて、東京の動静をいちはやく伝えようとする秩父困民党の伝令がかつてこの道を駆けたのかな・・・などと連想しながら歩くのであった。

ここは秩父盆地内ではない。しかし秩父のにおいがする。止むに止まれぬ思いで一揆した秩父農民を鎮圧すべく派遣された天皇の軍隊は、ここからではなく、熊谷方面から秩父に侵攻した。壊滅した一揆農民は秩父の奥なる長野方面にのがれた。北海道に逃れた井上伝蔵は名前を変えて生き延び死ぬ前に本当のことを打ち明けた。などなどが記憶のおくで蘇ってきた。

今年の春、半ば幽霊会員であった私は久しぶりに会活動に参加した。TNさん・I瀬さんに申しつけられて教育部主催の学習会の講師をした。「山と酒」と題した講義で、山岳遭難の報告書にアルコール関連事象をみることは少ないが、遭難の背景には飲酒/酩酊が要因的に存在することがあるので、そのような視点から山岳遭難事故を集計解析しておく必要があろう、というのが要点であった。

日本画を彷彿とさせるような霧

しばらく歩いたところで小休止があった。K池さんがパンケーキをお裾分けしていた。パンケーキは取りやすく切られた状態でタッパに整然と並んでいた。「〇〇食〇〇」(聞き取れなかった)を「なりわいとしています」との自己紹介あり、食して、美味これにまさるものなし、といえるほど絶妙においしかった。なるほどプロ、さすがだ、と思った。

わたしの大宮労山・山行は会津アルプス・窓明山いらいである。五年ぶりの山行であろうか。あのときご一緒したS田とさん・MSさんが今日は参加している。車をだしてくれたU村さんがいないのは、ちょっと寂しい。でも、S田とさんがあの山行のメンバーをズラリと記憶していたので幾つかの場面を再生できた。歩きながら話し聞く昔の山行は懐かしいものだ。それに改めて気付いた、S田とさんの記憶力も話術もたいしたものである。旧知のO野さんとS藤さんも参加している。みんな相応に年をとっている。しばらく会活動に参加していなかったが今回の山行で「幽霊会員」の称号は返上できるようだ。

一時間二十分歩いて正丸峠に着く。売店の裏にある尾根への取り付きを登り伊豆ヶ岳を目指す。進行方向に向かって左側(北)の植生は杉林かな・・・と思っていたらS藤さんが、杉と檜の葉の相違を示して檜林であると教えてくれた。進行方向に向かって右側(南)は自然林で、登山道にはドングリが落ちていた。米粒ほどの朱色の木の実も落ちている。ナナカマドの実に似ているが、ナナカマドの樹は見当たらない。「ナナカマドの実はあかい。しかし実があかいからナナカマドの実である、とは言えない。逆は真ならず」などと戯れ言をいいながら歩いた。

一時間四十分ほどで伊豆ヶ岳山頂に着く。ここでK原塚さんグループ5名と合流し昼食をともにする。K原塚さんとは春山の白山縦走いらいの再会である。もう二十年も経つか。あの山行ではT重さんがいてS古よさんもいた。K原塚さんは腓腹筋が攣って苦労していた。などなど思い出すが、相無事これ貴人、とでも言えよう。女史が持参された茹豆は味よし歯ごたえよしで、うまし、とご馳走になりました。

下山は正丸駅脇にでるルートを下った。滑りやすい土道であった。スパイク付地下足袋はワークマンでは買えないがネットで買えると説明していたO知さんに、使用後の足袋の性能をうかがったら、滑らなかった、とのことである。アイディア商品がでてくるものだ。小耳にはさんだことだが、エイトカンはすでに使用されてないらしい。軽量化が進む登攀用具の具体的な話には驚いた。肩ガラミの私は、ロープではなくザイルと言い、クランポンではなくアイゼンと言う。幽霊会員ではなくなった、としても山岳博物館にいて染みついた匂いは、しばらくは消えないかもしれない。

会員外として参加したN田さん、S戸さんについてはS田とさんが懇切丁寧に大宮労山を紹介していた。お二人が正式に入会する日は遠くないかもしれない。最後に、セレナをだしてくれたS藤さん、ナビゲーターをされたI丸さんに感謝します。

■コースタイム

正丸駅0915発、正丸峠1035着、10分休憩、川越山着1055、正丸山着1105,小高山1150、伊豆ヶ岳山頂着1225、発1310、正丸駅着1445

■参加者

O野(L)・S藤(SL)・Y崎(記録)・O知・S田と・MS・K池・I丸・他2